石川県・こまつドームで開催

6/2開催「第7回ヨーロピアン カーオーディオコンテスト」レポート。AV Kansaiが今年も圧倒的強さを見せた

公開日 2019/06/11 11:19 季刊NetAudio編集部
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■実践的なアイデアに溢れるホームオーディオのセミナー

また、昨年同様ホームオーディオの試聴会も開催された。今回はエスカートが参加し、カラムやピラミッドウォールなどのルームチューニングアイテムを駆使して、昨年以上に充実した試聴環境を実現していた。SOULNOTEや地元・石川県に本社を構えるアイ・オー・データ機器、オリオスペックなども参加。

さらに、サエクは話題のダブルナイフエッジ機構を搭載したトーンアーム「WE-4700」でアナログのデモンストレーションも行なっていた。カーオーディオユーザーの中には、ホームオーディオにも力をいれている人も少なくなく、カー再生のためのヒントや、普段なかなか聴くことのできないアナログ再生の魅力に、じっくりと聴き入っていた。

ルームチューニングアイテムの重要性を解説するエスカート鈴木氏。車向けのチューニングアイテムの開発も行なっている

サエクは最新のトーンアーム「WE-4700」(119万円/税別)をラックスマンのPD-171A、MUTECのカートリッジLM-Hとともにデモ

土方久明氏も、「ハイレゾ解説」というテーマでセミナーを開催。ユーザーのみならずカーオーディオショップのスタッフが多数来場し、上位入賞のためのコツや、課題曲のどういったところに着目してサウンドを追い込めば良いかといったアイデアを多数紹介。まいど大阪の「春のプチ車音祭」の課題曲となったホセ・ジェイムズの「ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス」を試聴しながら、定位感や音楽のグルーヴ感など、チューニングのポイントを実践的に解説していた。

特に土方久明氏のセミナーは、ショップのインストーラーも多数来場し常時満員

表彰式では、各コース6位までに入賞した車が表彰され、1〜3位にはトロフィーが、4〜6位には表彰状が送られる(ただし参加カーが9台以下の場合は1〜3位までの表彰)。一年間かけてチューニングしてきた車の評価が発表されるということで、参加者の表情は真剣そのもの。入賞で名前が呼ばれると、「よっしゃ!」という勝利のガッツポーズを見せた。

ディーラープロフェッショナルクラスは、安定して上位入賞を重ねるAV KANSAIの岩元秀明さんがチューニングしたショップデモカー「AUDI A5クアトロ」が見事優勝。実際に試聴してみると、他の車とは一線を画す音楽表現力に舌を巻く。ダイナミックレンジや位相の揃い方など、基本的なスペックをきちんと押さえた上で、音楽の内容解釈にまで踏み込むようなサウンドチューニングを実現している。他の車よりも数段階先をゆくサウンドメイクの技術を持ち合わせていると感じさせてくれた。

ディーラープロフェッショナルコースはAV Kansaiの岩元秀明さんが優勝を獲得

AV Kansaiのデモカーは、音楽の解釈にまで踏み込んだ一歩先をゆくチューニングが特徴

炭山アキラ氏の講評では、車の「接点の汚れ」による音質劣化を指摘。どうしても車は日常的な使用でさまざまな埃や汚れなどに触れることが多いため、ホーム以上に接点の汚れが及ぼす音質への影響は大きい。現在はさまざまな接点クリーンアップツールが登場してきているので、普段はなかなか磨くことのできない接点も、コンテストの前にはぜひ磨いてほしい、1つ2つ上のランキングを狙うためには大切なポイントだと訴えていた。

DYNAUDIO ESOTECコースでは女性がワンツーフィニッシュ

DYNAUDIO ESOTER・Venture Audioコースでトロフィーを授与する炭山アキラ氏

小原由夫氏は、軽自動車の躍進を大きく評価していた。BMWやベンツといった大型の車であれば音質上有利であることはもちろんだが、軽自動車でも車体の特性を十分に生かしたセットアップや追い込みで広いサウンドステージが実現可能であることを強調。実際、コンテストの上位にも多数の軽自動車が食い込んでいた。

最後に審査委員長の山之内 正氏より、全体の講評が述べられた。今回はケンドリック・ラマーとクラシックという対極的な楽曲が課題曲となっていたため、苦労した参加者が多かったと感じたことを指摘。しかし、あまり簡単すぎても課題曲としては不足であり、双方を上手に鳴らしきることで、他の楽曲に対しても応用可能なセッティング術が身についてくるはずだと解説した。

全体の講評を述べる審査委員長の山之内 正氏

さらに、「ワルツのリズム感」の重要性についてもコメントした。「くるみ割り人形」はワルツ、つまり「踊り」のための音楽であり、車によっては眼前で踊りが展開されるようなリアリティを感じるものと、ただ綺麗な音楽が流れているだけ、という違いがはっきり現れたという。この違いがどういったところから生まれたかというと、それは「ワルツのリズム感」、つまり3拍子の拍の取り方を、埋もれさせずにきちんと再生できていたかどうかが、勝利を分けるポイントになっていたと解説する。

そして最後に、「生のコンサートにも積極的に足を運び、本当にリアルな音をたくさん体験して欲しい。またホームオーディオのシステムからも多くの参考になる情報が得られるでしょう」と、コンテストだけではないさまざまな音楽体験を通じて、より自身の感性を磨き上げることの大切さを語ってくれた。

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