無帰還増幅構成

ラックスマン、“31年ぶりの300B真空管搭載”ステレオパワーアンプ「MQ-300」

2015/09/18 編集部:小澤貴信
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ラックスマンは、直熱三極管TA-300Bを搭載した真空管ステレオパワーアンプ「MQ-300」を10月下旬より発売する。価格は1,600,000円(税抜)。

「MQ-300」

本機は9月25日より開催される「2015東京インターナショナルオーディオショウ」(ラックスマン特設サイト)にて初披露され、試聴デモも行われるとのこと。

Q-300は1984年に発売された真空管モノラルパワーアンプ「MB-300」の外観デザインや基本的な回路構成をモチーフに、現代における最新パーツの投入と設計を行ったステレオパワーアンプ。真空管シングル構成で出力は8W+8W(4、8、16Ω)。

回路は、6SN7GTB真空管によるパラレル接続2段増幅による電圧増幅ブロックと、同社オリジナルのオイルコンデンサーにより結合されたTA-300Bシングルのパワーブロックというシンプルな構成。全体を無帰還とすることで、数値上の大出力やHi-Fi的な性能よりも、300Bの特質を活かしたナチュラルで音楽性に満ちた音調を目指しているとのこと。

ケースを装着したところ

出力管には信頼性の高い高槻電器工業製のTA-300Bを採用し、バイアス回路は、温度や電圧変動による特性変化の少ない自己バイアス方式を用いている。電圧増幅段の6SN7GTBと出力管のTA-300Bにはヒーター直流点火方式を採用することで、ハムの発生を抑えた。整流管には、内部インピーダンスが低くレギュレーション性能の高い傍熱管5AR4を採用し、電源供給を緩やかに立ち上げることで出力管の長寿命化を可能としている。

カップリングコンデンサーには、前述のようにオリジナル開発のオイルコンデンサーを採用、厚みのある音質を獲得したとのこと。カソード抵抗には、伝送信号に有害な誘導成分を発生しない米デール社の無誘導メタルクラッド抵抗を採用した。

電源部については、最大出力時にも全帯域で均一なエネルギーバランスを実現するため、大型サイズのオリエントカットコアによる大容量出力トランスを搭載。チョークコイルには低磁心損失・低磁歪の特徴を持つファインメットコア材を用い、リップルフィルターレス回路のような素直で開放感あふれる音質を実現したとのことだ。また、電源トランスの2次側巻線を含む整流管/チョークコイル/ブロックコンデンサーを左右完全独立とすることで、チャンネル干渉も排除している。

筐体には、1.6mm厚の鋼鉄製シャーシと2mm厚の底板、12mm厚のアルミ押出材トップパネルとの組み合わせによる高剛性制振シャーシ構造を採用。そのデザインは1984年発売「MB-300」をモチーフに、トランスケースや銘板、ピアノ塗装仕上げのウォールナット木枠などをあしらっている。

出力管と整流管の根元には、耐熱素材によってマイクロフォニックノイズを抑える制振構造を採用。配線用ラグ端子には、高耐圧のステアタイト製パーツを用いている。フット部にはグラデーション鋳鉄製レッグを装備する。

背面部

入力端子には、銅の導電率と真鍮の硬度を併せ持った新素材カッパーアロイ製のRCA端子(1系統)を採用。また4/8/16Ωで独立した大型スピーカー端子を装備しており、接続するスピーカーのインピーダンスに合わせて最適な出力が得ることができる。

ACインレットには非磁性ニッケル処理と金メッキを施している。電源ケーブルは、ノンツイスト構造の3.5mm2高純度OFC線と金メッキ仕上げのプラグを採用した同社「JPA-15000」が付属する。

入力感度/入力インピーダンスは490mV (8W)/240kΩ、周波数特性は20Hz〜20kHz (+0.3、-1.5dB)、10Hz〜30kHz (+0.3、-3.0dB)、全高調波歪率は1%以下 (1kHz/8Ω/1W)、S/N(IHF-A)は105dB。

消費電力は160W(無信号時160W)。外形寸法は460W×237H×340Dmm、質量は29.0g。

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