新モデル4機種が発表に

<IFA>テクニクスからヘッドホンやミュージックサーバー登場。アナログプレーヤーも開発予告

2015/09/02 編集部:小澤 麻実
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現在開催中のIFA 2015。現地時間2日15時から開催されているパナソニックのプレスカンファレンスでは、テクニクスの新製品が発表された。ラインナップはヘッドホンや、新“Grand”クラスのリッピングサーバーなど合計4機種。また、アナログターンテーブルを開発中であることも明らかにされた。プレゼンテーションはテクニクス事業推進室 室長の小川理子氏が行った。

今回発表された新製品のラインナップ。左からヘッドホン、OTTAVA、リッピングサーバー「ST-G30」、アンプ内蔵ネットワークプレーヤー「SU-G30」

10数年ぶりのテクニクスHi-Fiヘッドホン「EAH-T700」。バランス接続にも対応

今回発表されたテクニクスブランドのヘッドホン「EAH-T700」

テクニクスブランドの密閉型ヘッドホン「EAH-T700」が登場。DJ向けモデルの発売はあったたものの、ハイファイモデルである「EAH」を型番に冠したモデルは10数年ぶりだという。価格は未定だが、発売は今年12月頃を予定。日本でも販売予定とのこと。

特徴は、φ50mmダイナミックドライバーとφ14mmスーパートゥイーターの2ウェイ構成とし、100kHzまでの再生に対応している点。ダイナミックドライバーの振動板にはAdvanced MLF(マルチ・レイヤー・フィルム)ダイアフラムを、トゥイーターにはアルミ振動板を採用。2つのドライバーは最適な角度に傾けられており、自然な臨場感を実現するという。

φ50mmダイナミックドライバーとφ14mmスーパートゥイーターの2ウェイ構成

筐体には制振性の高いPLA樹脂と、剛性の高い鍛造アルミを採用し、不要振動を抑えている。

剛性の高い筐体や、装着感を高める水平スライド機構も備えている

なお、バランス接続にも対応するとのこと。ただし現状、標準付属品としてバランスケーブルを同梱するかは未定。ケーブルは着脱可能で、プラグ部は両端とも3.5mmステレオミニ。標準プラグ変換アダプターも付属する。

また装着感を高める機構として、RP-HD10にも採用された水平スライド機構を本機も採用している。


会場では実機のサウンドを確認することもできた
会場では実機の音を早速確認することができた。現段階での音の完成度は「80%程度」(開発担当・鈴木氏)とのこと。試聴してみたところ、余計な色づけのないナチュラルサウンドで、女性ボーカルなどと相性が良い。いわゆるドンシャリではなく、どの帯域もバランス良く聴かせるリファレンスモニター的な音だと感じた。サウンドのインプレッションについては後日評論家によるレビューを掲載予定なのでご期待いただきたい。


要望の多かったアナログターンテーブルも開発中

多くのユーザーから要望が寄せられていたアナログターンテーブルについても、現在開発中であることが明らかにされた。2016年発売予定で、詳細については今年冬発表されるとのこと。

アナログターンテーブルも開発中。今年冬に詳細が発表される予定とのことだ

筐体からDDモーター、モーター制御回路まで全て新設計。小川氏は、ブランドフィロソフィーの「Rediscover the Music」にひっかけて本機を「Re-Technics」なモデルだと紹介。同ブランドの伝説的銘機である「SP-10」や、「SL-1200」といった過去の銘機のノウハウを活かした、DDドライブターンテーブルのリファレンススタンダードを再定義するようなモデルだという。なお今回発表されたものは外観は全くのモックであり、最終デザインではないとのことだ。

会場には本機のDDモーター試作品が展示されていた。鉄芯+磁石という構造だったSP-1200は回転がカタカタしてしまう問題点もあった。DDドライバーを再開発するのならその部分も改善したい、という思いから、モーター自体はもちろん、モーターの制御回路も新しいものを採用。コギングが発生しないコアレス構造としたほか、高トルクを実現するためにツインマグネットを搭載。また、スムーズで安定した回転のために、高慣性デザインとしているとのことだ。

新ターンテーブルに搭載されるDDドライバーの試作機

新しいDDモーターの両脇には、1970年に作られたSP-10のDDモーター試作機と、1979年に開発されたSP-1200MK2のDDモーターが展示されていた。

1970年に作られたSP-10のDDモーター試作機。45年前のものにも関わらずきちんと動いていた

こちらは1979年に開発されたSP-1200MK2のDDモーター


新“Grand”シリーズのリッピングサーバーなどが登場

また今回、新シリーズとして“Grand”クラスが発表された。これまでの“Reference”シリーズと“Premium”シリーズの中間にあたる位置づけで、優れたサウンドと、心地よい音楽体験の実現がコンセプト。価格帯が大きく離れていたReference〜Premiumシリーズのあいだを埋める格好だ。第一弾のラインナップは、アンプ内蔵ネットワークプレーヤー「SU-G30」と、リッピングサーバー「ST-G30」。

アンプ内蔵ネットワークプレーヤー「SU-G30」は、SE-R1の設計思想を踏襲した独自のジッター削減回路「JENO Engine」やLAPC機能を搭載。GaN-FET Driverも引き継いで採用するほか、電源部には新開発のスイッチング電源を搭載した。High Res Remaster機能も備える。

アンプ内蔵ネットワークプレーヤー「SU-G30」

「SU-G30」の背面部

USB入力時は384kHz/32bitもしくは11.2MHz DSDの再生が可能。DLNA再生はWAV/AIFF/FLAC/ALAC/DSD/AAC/MP3/WMAに対応する。SpotifyやvTunerにも対応している。そのほか、BluetoothやAirPlayなどの機能も備えている。

リッピングサーバー「ST-G30」は、厳選されたSSDを内蔵(容量は未定)し、リッピングしたCDのデータを保存するとともにDLNAサーバーとしても機能する。USB端子を搭載し、「SU-G30」やUSB-DAC等とUSB経由で組み合わせての使用も可能だ。

リッピングサーバー「ST-G30」

「ST-G30」の背面部

光学ドライブは筐体中央にマウント。リッピング時にエラー訂正を行わず信号を正確に読み取るビットパーフェクト・リッピング・テクノロジーも搭載した。欧州向けには、「Technics Tracks」等ハイレゾ配信サイトから本機に音源をダイレクトダウンロードできる機能も用意されるとのこと。


音楽を気軽に楽しめるセットコンポ「SC-C500」

“Premium”クラスには、より気軽に音楽を楽しめるセットコンポ“OTTAVA”「SC-C500」が新たに加わる。OTTAVAとは“オクターブ”の意味。これは小川氏の命名で「ミュージシャンがソロを演奏するとき、オクターブを使うことでリッチなサウンドを実現できる。C500はコンパクトなボディながらリッチなサウンドを再生できるということで命名した」とのこと。これまであまりオーディオにこだわっていなかった音楽愛好家や、日常生活のなかで音楽を自然に楽しみたいユーザーをターゲットにしている。

“OTTAVA”「SC-C500」

センターユニットは天面にトップローディング式のCDプレーヤーを搭載するほか、USB-DAC機能やネットワーク再生機能も用意。192kHz/24bit PCMや5.6MHz DSD(PCM変換)に対応する。またAirPlayやBluetooth、Spotify、vTunerなどにも対応しており、様々なソースを楽しめることを特徴とする。アンプ部はトゥイーターとウーファーを別々に駆動するバイアンプ方式。JENO EngineやLAPC機能も搭載されている。

天面にトップローディング式のCDプレーヤーを搭載。アクリルのフタを手でスライドさせて使う方式としたのは、“ひと手間かけて音楽の楽しみを味わう”という演出のため

センターユニットの背面部

スピーカーは、3基のトゥイーターを正面+左右に配置し270度の指向性を確保。ウーファーは1基を底面に、もう1基を天面に向けて配置。天面に向けたウーファーの上にはディフューザーを設けているという、非常に凝ったつくりだ。これにより無指向性再生を実現でき、置くだけで部屋中に音が広がるとのこと。100kHzまでの再生が可能な“ハイレゾ対応”のモデルでもある。スピーカー端子は、専用のものを本体底部に用意している。

OTTAVAのスピーカー。非常に凝ったつくり


スピーカー端子は、専用のものを本体底部に用意

360度方向に音が広がるのを体感できるよう、円形の空間内にOTTAVAを置いたリスニングブースも用意されていた
また、Premiumクラス・C700シリーズのスピーカー「SB-C700」にブラックモデルが追加される。こちらは5月のミュンヘンハイエンドショウでも登場していたもので、日本への導入も予定しているとのことだ。

SB-C700のブラックモデル

   ◇  ◇  ◇   


小川氏は、今回発表された製品群は「世界中の音楽愛好家に、音楽の魅力を再発見してもらう(Rediscover the Music)ために開発されたもの」だと説明。「テクニクスブランドは今年2015年に50年という節目の年を迎えた。我々は新しいオーディオの道を掲げていくことを心に決め、次の50年も、音楽の感動を感じてもらうための製品を送り出していく」と力強く語っていた。

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