ハイクオリティCDのさらに上をいくCD製法

メモリーテック、マスター品位を実現する「UHQCD」開発。CDフォーマットの限界に挑戦

2015/04/17 季刊オーディオアクセサリー編集部
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メモリーテック(株)は、新しい製造方法による高音質CD「Ultimate High Quality CD」、略して「UHQCD」を開発、4月17日に発表した。

UHQCDのロゴ

従来の「HQCD」のさらに上位のCD製法として位置づけられる。独自の再生環境は一切なく、既存のCDプレーヤーで再生可能だが、新しく開発された製法により、従来の高音質ディスクより、さらにマスターの音質に近づいた再現ができる。

同社開発営業総括兼開発営業部長の平田誠志氏は、次のように語る。

「いかにマスターの音に近い状態を作り上げるかを突き詰めてきた。2008年よりHQCDを提案してきたが、今回のUHQCDは、HQCDよりさらに上をいく音質を確保できた。当社はクリスタルディスク(編集部註:別名「ガラスCD」。基板にガラスを使用して高音質化を図った一枚数万円の価格の製品)を製造してきたが、今回のUHQCDは素材は違うが、そのクリスタルディスクと同様の製造方法で作っている。自信をもってこの製法でCDを作っていきたい」。

HQCDなど、従来の高音質CDは、通常のCDの原材料を高品質なものにアップデートすることで音質向上を目指してきた。すなわち、基板に透明度、流動性の高い液晶パネル用のポリカーボネート(プラスティックの一種)を採用し、反射膜も廉価で入手性の高いアルミニウムから、高価で反射率が高い独自の合金に変更する手法であった。

今回開発されたUHQCDで採用されている手法では、ポリカーボネートを基板としながら、スタンパーに刻まれた信号を転写する部位には、ポリカーボネートではなくフォトポリマーを使用している。

UHQCDの断面図

ポリカーボネートは溶けたプラスティックであるため、どうしても粘り気があり、スタンパの細かいピットの隅々まで完璧に入り込むことができない。フォトポリマーは通常状態では液体で、そこに特定の波長の光を当てると固まる特性がある。この特性を利用することで、従来のポリカーボネートでは困難であった細かいピットを限りなく近い転写を実現した。

UHQCDのピット形状と転写率比較

転写性は、接線方向の転写再現率を測定した実測値で、スタンパー自身を100%とした場合、約90%の転写性を誇る(通常CDの場合は約80%)。

4月16日に行われたUHQCDの発表会では、「DDPマスターの音」「通常CDの音」「UHQCDの音」を同音源で比較できたが、どの比較手もUHQCDの再生音は通常CDと大きな差があり、DDPマスターとほぼ同等の音質に感じられた。

CDフォーマットの限界に挑戦したこの手法は、メモリーテックの成熟した技術がぎっしりつまっている。

このUHQCDは早くもポニーキャニオンが採用し、6月17日に「プラチナム・ベスト」シリーズと称し、松山千春、チェッカーズ、南こうせつなどのアルバムをUHQCDでリリースすることが決定している。

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