すべて受注生産。R1シリーズとC700シリーズ

テクニクス復活、国内展開も正式発表 − '15年2月から順次発売

2014/09/29 ファイル・ウェブ編集部
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パナソニックは本日、記者発表会を開催。オーディオブランド「Technics」(テクニクス)を復活させ、日本市場でも商品を発売すると発表した。

同社は今月初旬、ベルリンで行われたIFA 2014で、Technicsブランド復活をアナウンス(関連ニュース)。欧州市場に商品を投入してから、グローバルで展開していく計画を発表していた。今回、正式に日本国内展開が告知された格好となる。

テクニクスは1965年の密閉型2ウェイ2ユニットスピーカー「Technics 1」でブランドをスタート。2008年発売のアナログディスクプレーヤー「SL-1200MK6」を最後に、一部製品を除いて展開を終了していた。

1965年の密閉型2ウェイ2ユニットスピーカー「Technics 1」

2008年発売の「SL-1200MK6」

発売するのは“リファレンスシステム R1シリーズ”と、“プレミアムシステム C700シリーズ”の2ラインナップ。価格と発売日は以下の通り。すべて受注生産となる。

【リファレンスシステム R1シリーズ】  2015年2月発売
・ステレオパワーアンプ「SE-R1」¥1,580,000
・ネットワークオーディオコントロールプレーヤー「SU-R1」¥838,000
・スピーカーシステム「SB-R1」¥1,348,000(1本)

リファレンスシステム R1シリーズ
>>各製品の詳細はこちら


【プレミアムシステム C700シリーズ】 CDプレーヤーは3月、それ以外は2月発売
・ステレオインテグレーテッドアンプ「SU-C700」¥158,000
・ネットワークオーディオプレーヤー「ST-C700」¥138,000

プレミアムシステム C700シリーズ
・CDプレーヤー「SL-C700」¥128,000
・スピーカーシステム「SB-C700」¥158,000(ペア)
>>各製品の詳細はこちら

今回発表されたのはピュアオーディオシステム2ラインだが、今後は車載や住設などとの連携、そしてヘッドホン等の展開も検討中であるとのこと。パナソニック創業100周年にあたる2018年度までに約100億円規模での展開を狙う。

なお同社は、Technicsリスニングルームを大阪と東京に開設する。大阪はパナソニックセンター大阪1Fに「テクニクスサロン」として10月1日にオープン予定。東京は「テクニクスリスニングルーム」として、パナソニックセンター東京1Fに、10月25日にオープン予定となる。詳細はこちら

また、テクニクス新製品のデビューを記念して、オリジナルUSBメモリー(8GB)が当たるプレゼントキャンペーンも実施される。期間は9月29日から11月30日まで。キャンペーンの詳細はこちら


ブランド休止後も各部門で受け継ぎ育まれたテクニクスの技術
 “過去のテクニクスから更に進化した、全く新しいテクニクスの新生”


本日、サントリーホール ブルーローズ(小ホール)にてテクニクスブランドの発表会が開催された。

サントリーホールのロビーで、第1弾製品「Technics 1」など歴代の銘機を展示。




登壇したテクニクス統括ディレクターの小川理子氏は「IFAでのアナウンス以降、予想以上の反響をいただき、メンバー一同嬉しく思うとともに、期待に応えなければと決意を新たにしている」とコメント。テクニクス復活までの経緯を説明した。

Technicsブランドの小川理子ディレクター

発表会の冒頭と最後には、小川氏らによるジャズセッションも披露された

2010年以降新製品の投入がなかったテクニクスブランドだが、その技術は消えたわけではなく、BD再生機などパナソニック社内の様々な部門に異動した技術者たちに引き継がれ、さらに積み重ねられていった。たとえばBDプレーヤーにはDSP技術をもとにしたデジタルリマスターやオーバーサンプリングなどの高音質化技術が搭載されている。

急速な動きが生まれたのは2012年秋ごろ。テクニクスの初代CDプレーヤー「SL-P10」も手掛けた井谷哲也氏(現・Technicsチーフエンジニア)を中心に技術者が自主的に集まり、「今こそ普遍的で感動を呼ぶテクニクスの音ができるはず」という機運が高まったという。また同じ頃、オーディオ事業を再興するという動きがあり、検討を重ねた結果2013年8月に正式プロジェクトとして認定。製品の開発がスタートした。

そして今年5月には小川氏がテクニクスプロジェクトに参加。これは、あるプロジェクトメンバーが、パナソニックの音響研究所で音響心理などを研究していた経歴を持ち、ジャズピアニストとしても活動する小川氏に「感動の音とはなにか? 新しい時代が求める、これまでのテクニクスを超える“何か”が足りない…」と相談したことがきっかけだったという。「志をひとつにするメンバーが何かにひかれるように(テクニクスブランドに)集結したのも、音と音楽の持つ無限の可能性ゆえだと思う」と語る小川氏。

昨今“ハイレゾ”が盛り上がりを見せており「再び『音楽の感動』をお届けできる環境が整った」とするパナソニック。当時テクニクスを支えた若手エンジニアたちも今や幹部として活躍しており、「かつてテクニクスが目指してきたものを、もう一度世に問う絶好の機会」であるとの考えから、今回のブランド復活に至ったという。

新生テクニクスのキャッチフレーズは「Rediscover Music(音楽の再発見)」。音楽を愛する全ての人へ向けて「サウンド」「デザイン」「テクノロジーが」三位一体となった製品群を送り出すことを哲学とする。「音楽には国境も世代も関係ない。純粋に音楽を愛する人のために、感動を届けていきたい。様々な音楽の発見と感動を繰り返して私たちは成長していく。音楽に感動するという、人生においてかけがえのないことを、テクニクスというブランドを通じてみなさまにお届けしたい」と語る小川氏。

テクニクスブランドの製品は、コンセプト決定から技術開発、製造、マーケティングに至るまで、全プロセスで音にこだわる専任体制を構築。素材や部品の選定、回路構成検討はもちろん、サウンドコミッティによる厳正な音質評価を行うという。小川氏は「限界も、妥協もない」と自信を見せた。


技術の詳細は井谷哲也氏が説明を行った

ホームエンターテインメント事業部の楠見雄規事業部長
また発表会にはパナソニック アプライアンス社 ホームエンターテインメント事業部の楠見雄規事業部長が登壇。「音楽には過去の記憶を呼び覚まし、いまの幸せを気づかせ、明日に希望を与えてくれる力がある。素晴らしい音、音楽を、優れたクオリティで伝えたい。パナソニックにはその使命が与えられていると強く実感している。テクニクスを復活させたいという思いから、技術者を中心とした取り組みを行ってきた。過去のテクニクスから更に進化した、全く新しいテクニクスの新生をここに宣言する」と力強くコメントした。

全日空ホテル内に特別試聴室も用意。こちらは朝4時入りで音を作り上げたという

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