デジタル・アイソレーション・システムで音質面も強化

マランツ、「NA8005」正式発表 − 約13万円、DSDネットワーク再生対応

公開日 2014/05/16 10:00 ファイル・ウェブ編集部
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
ディーアンドエムホールディングスは、MARANTZブランドより、DSDネットワーク再生に対応したネットワークプレーヤー/USB-DAC「NA8005」を6月中旬に発売する。価格は129,500円(税抜)。

「NA8005」

また、NA8005の発表に合わせて本日より、MARANTZのネットワークオーディオプレーヤーとUSB-DACの情報をまとめた(特設サイト)も公開された。

型番が示す通り、本機は先行して登場しているSACDプレーヤー「SA8005」、プリメインアンプ「PM8005」と同じ“8005”ラインに投入されたネットワークモデルとなる。USB-DACに加え、ネットワークでも192kHz/24bit PCMおよびDSD 5.6MHz/2.8MHzの再生にも対応した。先日、本誌が開発中に取材したモデルが(関連ニュース)、今回正式に発表されたかたちだ。

背面端子部

筐体内部

■DSDネットワーク再生を実現するなど上位機を超える対応フォーマット

NA8005は、DLNA1.5準拠のネットワークオーディオプレーヤー機能を搭載。新たにDSD 5.6MHz/2.8MHz(dsf、dff)、AIFFフォーマット(最大192kHz/24bit)のネットワーク再生に対応した。これらはいずれも、2013年に登場したフラグシップモデル「NA-11S1」が対応していないフォーマットだ。

NA8005のデジタルオーディオ部

ネットワーク再生ではAIFFに加え、WAV、FLACが192kHz/24bitまでの再生に対応。Appleロスレスは96kHz/24bitまでの対応となる。そのほかAAC、MP3(320kbpsまで)、WMA(192kbpsまで)の再生が可能だ。FLAC、WAVに関してはギャップレス再生に対応する。

従来モデルに引き続き、AirPlayに対応。インターネットラジオ再生にも対応し、MP3、WMA、AACで配信される番組の再生が可能で、vTunerから18,000を超える放送局を検索することができる。

NA8005を用いたネットワーク再生の接続図

同社のiOS/Androidコントロールアプリ「Marantz Remote App」にも引き続き対応し、NASのブラウジングや再生操作、入力切り替えが可能。リモートケーブルで同社プリメインアンプに接続することで、アプリから音量調整を行うことも可能だ。

■DSD 5.6MHz、PCM 192kHz/24bitに対応のUSB-DACを搭載

NA7004、NA-11S1に続き、アシンクロナス伝送に対応したUSB-DACを内蔵。DSDは5.6MHz/2.8MHzに対応し、DoP再生、ASIOドライバーによるネイティブ再生に対応。PCMは192kHz/24bitまでの入力に対応する。Windows PCについては専用ドライバーのインストールが必要となる。対応OSはWindows Vista/7/ 8、Mac OS 10.6.3以降。

フロントUSB-A端子からのUSBメモリー再生機能も強化。DSD 5.6MHz/2.8MHzに加え、PCMではAIFFフォーマットの再生にも対応した。AIFF、WAV、FLACは192kHz/24bitまで、ALACは96kHz/24bitまでの音源が再生可能。そのほかAAC、MP3、WMAの再生もできる。iPod、iPhoneを有線で接続してのデジタル再生にも引き続き対応する。

LANに加え、USB-B入力、光/同軸デジタル入力を背面に搭載

USBメモリーからのDSD再生にも対応

USB入力に加え、同軸/光デジタル入出力を搭載。入出力ともにそれぞれ192kHz/24bitまでのPCMが再生可能。デジタル出力のオフも設定できる。

■デジタル・アイソレーション・システムを搭載

ネットワーク接続されたNASや、USB接続されたPCから流入する高周波ノイズによる音質への悪影響を排除するため、6素子、12回路の高速デジタル・アイソレーターから構成される「デジタル・アイソレーション・システム」を搭載した。これはSACDプレーヤー「SA8005」でも実装されたノイズ対策技術で、NA8005用に最適化して採用している。

6つ並んだ素子が高速デジタル・アイソレーターだ

このデジタル・アイソレーション・システムにおいては、チップ上に組み込まれたトランス・コイルを介し、磁気によりデータ転送を行うマグネティック方式により、入力側と出力側を電気的に絶縁された状態としている。その上で、前述のアイソレーターをD/Aコンバーターの前段に設置し、ネットワークやUSBをはじめとした全てのデジタルオーディオ回路とD/Aコンバーター間の信号ラインを絶縁し、DAC回路およびアナログオーディオ回路への高周波ノイズの影響を排除。コントロール回路にまでもアイソレーターを使用し、ノイズの影響を最小化している。こうした対策の徹底により、高周波ノイズによる音質劣化を防止し、「透明感が高く、広大な空間表現」を実現したとしている。

DACチップには、多くのマランツ製SACDプレーヤーで採用実績があるシーラス・ロジック「CS4398」を採用。DSD信号のダイレクトD/A変換、192kHz/24bit PCM信号に対応しており、NA7004やSA8005でも採用されているものだ。

最上位モデル「NA-11S1」と同じく、NA8005もデュアル・クリスタル・クロックを採用。高精度なD/A変換のために、クロック回路にNA-11S1と同等の超低位相雑音クリスタルを搭載し、さらに44.1kHz系、48 kHz系それぞれに専用のクリスタルを用意することで、入力ソースのサンプリング周波数に応じて最適なクロックを供給する。

デュアル・クリスタル・クロック。48kHz系と44.1kHz系でそれぞれ1つずつ、合計2個の超低位相雑音クリスタルを搭載

■作り込まれたアナログオーディオ回路

D/Aコンバーター以降のアナログ段については、フルディスクリート構成のオーディオ回路を採用。マランツ独自の高速アンプモジュール「HDAM」及び「HDAM-SA2」によって構成され、左右チャンネルの等長、平行配置を徹底してレイアウトされている。

アナログ回路はHDAMによるフルディスクリート出力回路を採用

電源部には、大容量のEIコア電源トランスを搭載。トランスはNA7004の約2倍のサイズで、シールドケースに収められている。また、上級機にも使用されている高音質フィルムコンデンサーやオーディオ用電解コンデンサーを使用。アナログ回路電源用のブロックケミコンには、ニチコン製のマランツ専用3300μFカスタムブロックコンデンサーを採用している。

大容量のEIコアトランスを搭載

マランツ専用のニチコン製カスタムブロックコンデンサー

筐体については、同社の多くのプレーヤーでも培われたダブルレイヤードボトムシャーシを採用。本体前面には、オン/オフが可能な有機ELディスプレイを搭載している。

アナログ音声出力端子には、真鍮削り出しのピンジャックを採用。金メッキを施し、経年変化による音質の劣化を防止している。端子の間隔を広く取っているため、プラグの大きなオーディオケーブルも容易に接続できる。

SA8005と同様にヘッドホンアンプにも注力。ハイスルーレートオペアンプとHDAM-SA2によって構成されたヘッドホンアンプを搭載している。従来型の回路に比べ、出力インピーダンスを低くすることで、勢いのある再生音を実現したという。

ヘッドホンアンプにはHDAM-SA2を採用

消費電力は30W(待機時0.4W、Network Controlオン時:4W)。外形寸法は440W×105H×336Dmm、質量は7.2kg。

その他の主な仕様は以下の通り。再生周波数範囲は2Hz〜96kHz。再生周波数特性は2Hz〜50kHz(-3dB)<DSDモード、PCMサンプリング周波数:192kHz>、2Hz〜20kHz(PCMサンプリング周波数:44.1kHz)、S/Nは110dB(可聴帯域)。ダイナミックレンジは106dB(DSDモード、PCMサンプリング周波数:192kHz、可聴帯域)、101dB(PCMサンプリング周波数:44.1kHz)。高調波歪率は0.0012%(1kHz,可聴帯域)。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE