家の中をまるごとロスレスのネットワークオーディオに

【CES】THIEL、DAC/デジタルアンプ内蔵スピーカー&ミュージックサーバーを公開

公開日 2010/01/09 23:50 山之内 正
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THIEL(ティール)はブックシェルフスピーカーSCS4をベースに192kHz/24bit対応DACとデジタルアンプを内蔵した「SCS4D」を、「Olive」のミュージックサーバーと合わせて公開した。

Oliveは2TBのHDD、CDドライブを内蔵する高音質サーバーで、最大で4ペアのSCS4Dに対してデジタルストリーム信号を供給することができる。このサーバーとスピーカーがあれば、家のなかをまるごとロスレスのネットワークオーディオで満たすことができるというコンセプトだ。


DACとデジタルアンプを内蔵したSCS4D。内蔵するDACはバーブラウンのPCM1792Aを採用。電源回路はアナログである

SCS4Dと組み合わせるOliveのミュージックサーバー「Olive 4+」。CDドライブはリッピングのほか、CD録音機能もそなえる
Oliveにはアナログ入力とUSB入力が付いているので、CDプレーヤーやパソコンなど、他のソース機器も接続することが可能。操作はSCS4Dの赤外線受光部を利用して通常のリモコンで行えるほか、UPnP準拠のアプリを利用してiPhone/iPod touchのタッチスクリーンでコントロールすることもできる。


背面にイーサネット端子、AC入力、ゾーン切り替えスイッチなどが用意されている
サーバーとSCS4D間の信号伝送はイーサネットを利用するが、スピーカー内蔵のDACはモノラル仕様のため、それぞれのSCS4Dに1本のLANケーブルをつなぐ必要がある。リアパネルのセレクターを利用してスピーカーの左右の指定を行うなど、既存のシステムにはない機能を積んでいるが、ネットワーク内でチャンネル間の信号は完全な同期を実現しているので、接続と設定を終えた後の使い勝手は通常のスピーカーとなんら変わることはない。同技術はTHIELが昨年公開したHDMI搭載のマルチルームオーディオシステム「zoet(ゾーエット)」のコンセプトとノウハウを継承している。


THIELが昨年発表したHDMI対応のマルチルームオーディオシステム「zoet」
SCS4D内蔵のデジタルアンプは200Wの出力を実現しているが、効率の良さは驚異的で、平均消費電力は10W程度に収まるという。ブース内の試聴スペースはかなり広いのだが、スケール感と空間再現の伸びやかさは第一級で、ダイナミックレンジにも余裕がある。なによりもLANケーブルを介したデジタル伝送と、DACとアンプをスピーカーに最短距離で接続したメリットが顕著で、音場の透明感の高さとクリアな音像再現に感服した。マルチルームオーディオの便利さも長所ではあるが、このシステムは音の良さに大きなメリットがあると感じた。北米での想定価格は7900ドルで、今月から出荷される予定だ。

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