山之内正のミュンヘンハイエンドショー・レポート − 今年も高級オーディオが出揃った

公開日 2006/05/29 09:58
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採光を工夫したオープンスペースがHIGH ENDショーのトレードマーク
有数のオーディオ大国ドイツで毎年5月に開催されるハイエンドオーディオのイベント「HIGH END 2006」に今年も出かけた。W杯開幕を目前に控えた南ドイツ、バイエルン州の州都ミュンヘンの広大な見本市会場が舞台である。


ライブを増やしたり、通路にミュージシャンや作曲家の名前を付けるなど、今年は会場運営にも細かい工夫のあとがうかがえる

fastaudio社の吸音パネルは各社のブースで音響チューニング用に活用されていた
ドイツは長期的視点で都市計画や環境整備を進めることで有名だが、今年はさすがにあちこちで突貫工事の音が響き、W杯開催に間に合わせようと慌しい雰囲気に包まれている。ショーの会場(M.O.C.)は昨年新設されたスタジアムの隣駅に位置することもあって、会場に向かう地下鉄は例年にない混雑ぶり。開幕の25日が祝日と重なったこともあり、ドイツの都市では珍しいラッシュにも遭遇したが、その活気はハイエンドショーの会場でもそのままで、二重にびっくりさせられた。


コンティニュウムオーディオの超怒級ターンテーブルシステム「カリバーン」がドイツにも上陸!

アナログレコード売り場はいつも活気にあふれている
ドイツ人のアナログレコード好きは有名だが、その人気は年々亢進しているようだ。ほぼ全ブースに高級ターンテーブルが用意され、CDやSACDと変わらぬ頻度で稼動している。ドイツ人らしい生真面目さでセッティングを厳密に調整していることもあり、いくつかのブースでは滅多に聴けないほど水準の高い音を鳴らしていた。特に、オーストラリアのコンティニュウムオーディオラボの超怒級ターンテーブルシステム「カリバーン」は別格ともいえるスケールの大きな音を聴かせていた。黒山の人だかりが集まったのも無理はない。

アナログレコードの即売コーナーも年々増える一方だ。どこから集めてきたのかと思うほどクラシック、ジャズの貴重なアルバムが所狭しと並んでいる。いまはユーロが高いので日本人には少し割高感があるが、筆者も何枚か仕入れてきた。

ところで、このショーはピュアオーディオに焦点を合わせたイベントだが、最近は映像のデモンストレーションも少しずつだが増えてきた。ドイツのホームシアター人気は欧州の他国を凌駕しており、大画面指向も強い。昨年のベルリンショーではハイビジョンへの注目の高さが目を引いたが、放送も定着して徐々に浸透し始めているようだ。


パイオニアはブルーレイディスクプレーヤーを公開。スパイダーマン2など映画タイトルのデモンストレーションを行った。スピーカーはEXシリーズ

パイオニアの試作BDプレーヤー
そんな状況に敏感に反応し、パイオニアは発売前のBDプレーヤーを出品し、プラズマディスプレイ、EXシリーズのスピーカーと組み合わせてハイビジョンプログラムを公開。映像系の展示ではひときわ高い注目を集めていた。

Finite Elements社のラックはデザインが秀逸。クオリティ指向も強い

TKE社のスピーカーはユーモラスな形状と思い切った色彩が目を引いた

B&WはCMシリーズを公開。トールボーイ型CM7、センタースピーカーCMCが登場する


エソテリックはユニバーサルプレーヤーの最新モデルDV-60を公開した。1080p対応、DSDコンバート機能の搭載が話題を集めそうだ

DV-60の内部構造を公開する展示




山之内 正(Tadashi Yamanouchi)
神奈川県横浜市出身。東京都立大学理学部卒。在学時は原子物理学を専攻する。出版社勤務を経て、音楽の勉強のためドイツで1年間過ごす。帰国後より、デジタルAVやホームシアター分野の専門誌を中心に執筆。また年に数回、オペラ鑑賞のためドイツ、オーストリアへ渡航。音楽之友社刊の『グランドオペラ』にも執筆するなど、趣味の枠を越えてクラシック音楽の知識も深く、その視点はオーディオ機器の評論にも反映されている。

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