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公開日 2026/06/01 06:30
開放的でナチュラルな伝統の音質と スタジオモニター的な音質が融合

DALI、デンマーク伝統の佇まい。音楽の躍動感や緻密な空間表現、「SONIK 9」の魅力

角田郁雄

2022年に最高峰モデルである「KORE」の誕生から新たなるフェーズへと突入したDALI(ダリ)。その技術は中核製品にも投入されてきており、人気のライン「OBERON」が、この度「SONIK」へと生まれ変わった。ここでは最高峰のフロア型モデル「SONIK 9」を中心に、新たなシリーズ名を冠したDALI入魂のシリーズの魅力に迫ろう。



DALI スピーカーシステム「SONIK 9」215,600円(1台/税込)ペア販売品


躍動感や空間表現が卓越、シリーズ最高峰のフロア型


DALIのスピーカーはいつみても北欧の美しい家具を彷彿とさせ、どのモデルも部屋に招けばイメージを一気に変えてしまうほど存在感がある。


そのブランド名はダニッシュ・オーディオファイル・ラウドスピーカー・インダストリーズの頭文字をとり、1983年にデンマークでピーター・リンドルフが創業。今年で43年を迎えたブランドである。その名のとおり、デンマークが世界のオーディオファイルに向けて発進する老舗のスピーカーブランドである。


同社から新たなスタンダード・クラスが誕生した。その名は「SONIK」(ソニック)シリーズ。これは2018年の登場以来、世界的な人気を博した「OBERON」(オベロン)シリーズの進化モデルとなる。ラインアップは5モデル。ブックシェルフのSONIK 1と3はドームトゥイーターとミッド/ウーファーが一体化されたようなデザインに惹かれる愛好家も多いだろう。音が左右一点から放射されるイメージで、その空間描写性とサイズを超えた音楽の表現力のさらなる進化が魅力である。


フロア型のSONIK 5と7はさらに精緻で豊かな音楽世界へと誘ってくれるのだが、その上に存在するのが、今回紹介するシリーズ最高峰の位置付けとなるSONIK 9である。音楽の躍動感や緻密な空間表現はさすがにSONIK 5や7を凌駕する。



SONIKシリーズ。ブックシェルフ型は「1」と「3」、フロア型は「5」のほかに「SONIK 9」と同じくハイブリッド・トゥイーターを搭載した「7」もラインナップ。その他にセンタースピーカーの「SONIK CINEMA」、壁掛けタイプの「SONIK ON-WALL」も揃う


SONIK 9はデンマークの製品らしいオーセンティックで美しいエンクロージャーで構成されている。その内部は中高域と低域のチャンバーが区分され、適所に補強を加えて剛性を高めている。リアに3基設置されたポートは両端を滑らかに広げ、風切り音を低減させることができ、デュアルフレア・バスレフポートと呼ばれている。



「SONIK9」のキャビネット構造。高密度MDFのキャビネットパネルとソリッドフロントバッフルで構成。バスレフポートにはデュアルフレア構造を採用。ウーファーの比較的後ろの近くに設置され、スピードの速い低域を実現する


エンクロージャーを支えるベースは、アルミ製のスパイクアウトリガーで、上位シリーズのEPIKOREからインスピレーションを受けて新規設計されたものだ(OBERONは額縁型ベース)。カラーは、ブラック・アッシュのほか、ナチュラル・オーク、ウォルナット、ホワイトの4種類から選べる。



シングル仕様の端子。OBERONはプラスチック製ノブと真鍮ターミナルであったのに対し、SONIKはノブも真鍮製を採用。脚部のアウトリガーはOBERONが額縁形状であったのに対し、SONIKはしっかりしたアーム型を採用する。カラーはブラック・アッシュのほか、ナチュラル・オーク、ウォルナット、ホワイトの全4色が揃う


プレーナー型トゥイーターをシリーズとして初めて搭載


OBERONからSONIKへと移行するにあたって大きく進化した点はユニットにある。なかでも本機、SONIK 9と7には同ランクとしては初となるプレーナー型トゥイーターを搭載。ドーム型と合わせてダリ・ハイブリッド・トゥイーター・モジュールと呼ばれる高域部を構成している。この部分を見ただけでもダリのハイエンド・シリーズと同様の高級感溢れる佇まいを感じさせてくれる。


上部に搭載された17mm×45mmのプレーナー型トゥイーターは、14,000Hz以上30kHzまでの超高域を担当。高域特性のディテールと滑らかな繊細性とともに、音源に内包するエアーまでも再現することができる。


下部に設置された29mmソフトドーム・トゥイーターは2,100Hzから26,000Hzまでをカバーする。ここにOBERONでは一般的な粘度の磁性流体を使用していたが、SONIKでは低い粘性のものを使用している点もポイントだ(ちなみにKOREは磁性流体自体を使っていない)。ドームを囲うアルミ製のフェイスプレートもOBERONよりも高拡散できる形状に変更。さらなる明瞭度やスピード感、そしてダイナミクスを身に付けている。



フェイスプレートは新形状のアルミニウム製高分散フェイスプレートを採用。プレーナー型のフランジにもアルミプレートが使われている




このランクのシリーズとしては初。本機とSONIK 7に搭載された17×45mmサイズのプレーナー型トゥイーター(写真左)と、29mmのソフトドーム・トゥイーター(写真右)。こちらは同社のKUPIDと同様に低い粘性の磁性流体を採用する


3つのミッドとウーファーは凹みのある馬蹄型のクラリティコーン


その下部に18cmのSMCウッドファイバー・クラリティ・コーン・ドライバーを3基搭載しているが、これが見た目としても OBERONと大きく異なる点として確認できる。


クラリティコーンと呼ばれるKOREの象徴ともいえるあの凹みのある馬蹄型のウッドファイバーコーンをシリーズ全モデルに搭載している。3基あるうちの最上部のドライバーはミッドレンジの役割も果たし、最低域から2,100Hzまで再生。その下の2基は並列駆動であり、400Hzでロールオフする。従ってクロスオーバー周波数は400/2100/14,000Hzとなる。再生周波数特性は34Hz〜30kHzと非常に広帯域特性で、感度も90dBと高い音圧を実現した。


磁気回路は OBERONと同様で、鉄製ポールピースの上部にSMCディスクを配置。これは絶縁コーティングを施した鉄粉を焼結しプレスしたディスクで、磁気回路の電流歪みを大幅に低減することができる。振幅のレスポンスを高速化するため、低損失ラバーサラウンドとサスペンションも採用。その結果、ストレスのない低域のダイナミクスと自然で滑らかな中域特性を実現し、高い音圧も実現させる。



ウッドファイバー製の18?のバス・ミッドレンジ・ドライバーにはKOREで採用されたクラリティコーン・テクノロジーを投入。磁気回路構成やパーツはOBERONを継承する


ネットワーク回路も同社ならではの素直な音作り。 OBERONはラミネートコアコイルと電解コンデンサーで、SONIKもこれを継承しているが、本機「9」と「7」に関してはフィルムコンデンサーを採用している。端子はノブとターミナルともに真鍮製。OBERONはノブの部分がプラスチックだったのでここも大きな進化だ。


奏者の実在感や臨場感を透明かつ3次元的に表現する


SONIK 9の音質には新たな搭載技術が見事に反映されている。澄み切った音の透明感が特徴的で、高域の伸びも拡張されている。中域は極めて解像度が高く、高域ドライバーとともに演奏の実在感や臨場感を鮮明にする。繊細で柔らかいピアノの余韻や録音場所の空気感などの微細音を敏感に再生する。


低域はチェロやコンバスの弦楽の長い旋律でも、曖昧さや閉塞感を感じさせず透明感を維持してくる。全帯域においてどこかを強調するピーク感がなく、シームレスな帯域を実現。スタジオモニターとしても使用できるクオリティを身につけている。


DALIのスピーカーというと、一昔前は中低域に厚みがあり、特に弦楽の響きが魅力であるため、クラッシック向きと言われた時期もある。しかしながら現在のDALIは、開放的でナチュラルな伝統の音質を維持しながらも、KOREの技術により格段の進化を遂げ、あらゆる音楽に対応できる要素を身に着けていることを感じる。


今回の試聴では、愛聴のリファレンス・ヴォーカル曲であるホフ・アンサンブルの『クワイエット・ウィンター・ナイト』はもちろんのこと、キース・ジャレットのピアノトリオが躍動する『チェンジス』、ユジャ・ワンの巧みな演奏が聴けるショスターコーヴィチのピアノ協奏曲を再生したが、奏者の実在感や演奏の臨場感を透明度の高い、3次元的表現で再現してくれた。これは本当に大きな特徴と魅力だ。思わず仕事を忘れてしまい、音楽に没頭してしまった。


音質はもちろん、美しいデザインも含めて長く愛用したくなるスピーカーである。



試聴音源は左から『Quiet Winter Night』ホフ・アンサンブル(2LKKC-10009)、Changes』キース・ジャレット(ECMPOCJ-2414)、『ショスターコーヴィッチ/ピアノ協奏曲第1番・第2番 他』(グラモフォン/UCCG-45122)、 『The WindSimin TandeJazzland RecordingsQobuzで再生)


(提供:ディーアンドエムホールディングス)


本記事は『季刊・Audio Accessory vol.201』からの転載です

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