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公開日 2026/01/23 06:40
完全ワイヤレスイヤホンTIPS

アップルが推してる「コンピュテーショナルオーディオ」って結局何のこと?

高橋 敦

アップルのAirPodsに代表されるテック系企業によるイヤホンやヘッドホンの製品について語る文章において、「コンピュテーショナルオーディオ」という言葉を見かけることってありますよね。何かすごそうな言葉ではありますが、実際はどんなことを意味しているのでしょう?


「コンピュテーショナルオーディオ」は、マーケティング兼技術用語みたいなものなので、それが指すものが厳密に定義されているわけではありません。


ですが、テック分野あるいはオーディオ分野におけるおおよその共通認識としては、「ドライバーやアコースティック機構等のフィジカルなオーディオ要素だけに頼らず、デジタル領域での処理、機械学習の成果や各種センサーによるフィードバックといったものも、これまで以上に積極的に活用し、最終的にアウトプットされるサウンドをよりよいものへと作り込む手法」といったところでしょうか。


これまでも、たとえば振動板や音響構造の設計などで、有限要素法解析やそのほかデジタルの手法でのシミュレーションが用いられていました。


しかしコンピュテーショナルオーディオは、そのようなハードウェア設計での話ではなく、ソフトウェア処理の話になります。その処理が再生時にリアルタイムで行われる場合が多いのも特徴的な部分です。


また実は我々、オーディオではなく他の分野では、この「コンピュテーショナル〇〇」に、すでにすっかりお世話になっています。それは「コンピュテーショナルフォトグラフィ」です。


本格的なカメラと比べたら貧弱なレンズやセンサーしか搭載できないスマホのカメラ。それが現在のような美しい写真をアウトプットできるようになったのは、レンズとセンサーがキャプチャーした生データに適用される、様々な画像補正技術が大きく進化したおかげと言えるでしょう。


ただしそういった後処理が綺麗に発揮されるためには、ある程度以上のフィジカル要素、ハードウェアのポテンシャルも結局は必要です。


フォトグラフィであれば、処理前の映像素材の入り口となるレンズやセンサーがあまりにも貧弱では、素材の情報量が不足し、補正するにもそのための手がかりが不十分となり、写真の出来栄えに影響するはずです。


オーディオであれば、処理した音声素材の出口となるアンプやドライバー以降があまりにも貧弱では、その貧弱さの補正のために大幅すぎる処理が必要となり、音の鮮度が決定的に失われてしまうかもしれません。


「コンピュテーショナルオーディオ」は、従来のアコースティックやエレクトリックの領域でのオーディオクオリティの向上に取って代わるものではなく、それらと両輪のように並んで機能し、オーディオクオリティのさらなる向上をもたらしてくれるもの。そのように理解し、そうなるように願っておくのがよさそうです。

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