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PR時を止めて、落ち着いて音に集中する世代の理想郷

昭和のコンポの魅力を、令和のエンジニアがブラッシュアップ。終のシステムにふさわしい、デノン「3000シリーズ」

公開日 2026/03/16 06:35 岩出和美
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高額化が進む昨今のピュアオーディオの世界にあって、もはや機器の買い替えはしたくない、残りの人生は黙って好きな音楽だけを楽しみたいと思っている方は多いはず。そんな方々にとって、DENON(デノン)の「3000シリーズ」はまさにそのコンセプトにぴったりだ。

デノンの最高峰にして価格設定も今の時代にしてはとても現実的。好きなスピーカーとセットで「これだけあれば、あとは一生音楽を楽しむだけ」というシステムを構築することができる。本項ではデノンの今と昔に精通する1950年生まれの岩出和美氏が、好きな音楽を手に、その魅力をたっぷりと味わっている。

デノンの3000シリーズ。写真右上がアナログプレーヤーの「DP-3000NE」、右下がSACDプレーヤーの「DCD-3000NE」、左がプリメインアンプの「PMA-3000NE」
後ろに並ぶのは今回組み合わせたスピーカー。左からJBL「L100Classic MkII」、B&W「705 S3 Signature」、DALI「RUBIKORE6」

終のシステム、その条件は信頼と性能、先進の音質

私はオーディオファンの端くれだから、当然向上心は持っている。よりよいものを、理想の音を長い時間をかけて探すことが趣味の本質だから。とはいうもののオーディオ機器はどんどん高くなるし、そうそうエキゾティックハイエンドに行くわけにはいかない。夢は見させて貰っても現実的ではない。

音のユーフォリアを実現するちょいどいいハイエンドはないだろうか、落ち着きどころはないだろうか、と常々考えていた。そんな折りに編集部から提案があったのがデノンのトップエンドのペアであった。

「いいかも」と思った。デノンは創業110周年記念モデルから一昨年のトップエンドのブラッシュアップで、充実したハイエンドラインを構築してきた。

特に一昨年秋に登場したプリメインの「PMA-3000NE」とSACDプレーヤーの「DCD-3000NE」に関する評価が高く、筆者もその性能と音質を確認しているし、同社を訪ね取材もしている。何よりペアでの佇まいが秀逸で、昭和のコンポを思わせる。しかし音質は若いエンジニアが大きく関わったことにより令和のフレッシュさが溢れるものだ。もちろん信頼性も十分。ここは「終の」にとって重要なこと。

このペアに最適なレコードプレーヤーは「DP-3000NE」、そしてカートリッジは伝統の名機「DL-103」になるのが必定。

スピーカーは編集部推薦のBowers&Wilkins「705 S3 Signature」、DALIの「RUBIKORE6」、JBLの「L100 Classic MkII」というラインで確認試聴を行った。よく見るとすべて同じ建屋の様なもの、オーディオ界の社台グループか。ミッド、ハイエンドを席巻している機種ばかり。



B&W「705 S3 Signature」で聴く

濃密なデノンサウンドに新世代の要素が加わる

まずは人気の705 S3 Signatureをつなぎ、PMA-3000NEとSACDプレーヤーのDCD-3000NEの確認をした。

これほど価格と性能のバランスの取れた組み合わせは世界を探してもそうないだろう。マルッキのバルトーク/オケコンの音の広がりと深さ、そして細部が照らし出される。

リトナー/グルーシンの「ブラジル」を掛けると、かつてのやたら派手だったフュージョンとは一線を画す、落ち着いたサウンドを心地よく再現してくれた。すこし低域は薄味だがさすがモニター直系スピーカーだ。

デノンとのペアはどうかというと、かつて言われた、中域の充実した濃密なデノンサウンドを残しながらも、新世代の爽やかさにシフトしている。ただし肌触りのよい聴きやすさは相変わらず、伝統のなせる技とみた。

DALI「RUBIKORE 6」で聴く

温かくて深くて重い再現性、気分は昭和のジャズ喫茶

スピーカーをRUBIKORE 6に変更する。たしかダリの創始者はそのショップでB&Wを販売していたはず。彼はB&Wに匹敵するデンマーク製スピーカーができないかと試行錯誤した結果成功した。ハイファイの要件はともに高いレベルであるが、B&WとDALIのサウンドの方向性は別物となった。

エマーソン弦楽四重奏団のショーソンを聴く。705 S3 Signatureでは描き方が分析的で透明度が高い。特にソプラノのバーバラ・ハニガンは若干クールかもしれない。これをRUBIKORE 6で聴くと、そのソプラノに温かみが加わる。弦楽の音も幾分柔らかく浸透力に溢れる。ネオソウルのハーピスト、ソフィー・ソリボー/イニシエーションの重低音はさすがにフロア型、重く深い。

ソースをLPレコードに変えてみる。DP-3000NEは立ち上がりの早いDD方式に、カートリッジ交換が容易なユニバーサルアームという、昭和の人には馴染みやすいモデルだ。クリティカルな要素が少なく誰にでも使いやすい。

カートリッジは60年を超える定番MC、DLー103を使用。ビリー・アイリッシュの10インチライブ盤、「スキニー」は独特の泣けるサウンド。静謐な悲しみ溢れる空間再現が心に染みる。

次にオスカー・ピーターソン/シンガーズ・アンリミテッドの『イン・チューン』のお馴染み「セサミ・ストリート」。音が出た瞬間、もう気分は昭和のジャズ喫茶。若き日のイーリ(ジョージ)・ムラーツのベースが元気すぎるくらいで気持ちよい。

JBL「L100 Classic MkII」で聴く

重低音やコク深い音質と明るく明快なタッチが楽しめる

ジャズといえばスピーカーは、やはりJBL。多くのジャズファン、オーディオファンが、今も憧れを持っている。そこでL100 Classic MkIIに変更する。同ブランドの家庭用中堅機、L100 Centuryはちょうど『イン・チューン』が流行った頃のモデル。本機はその現代版だ。

軽く抜けの良いドラムス、リズミカルなベース、小気味よいピアノ、そして明度が上がったコーラスはさすがウエストコースト・サウンドの雄。重低音は軽めだが重苦しくない低音はかつてのジャズ喫茶を彷彿として懐かしい。

試聴の最後に筆者が愛してやまない、ちあきなおみの「夜間飛行」に針を落とす。一連の好評だった吉田旺/中村泰士の作詞作曲のポップ歌謡で、もちろんレーベルは日本コロムビアだ。ちあきの歌のうまさとコブシ回し、ポップセンスを克明に聴くことができ、この感情表現を聴くと、これもまた昭和に戻る。

デノンのアンプはよく歌謡曲や演歌を上手に鳴らすと言われたものだが、PMA-3000NEはそのコクに加えて、明るく明快なタッチに進化したのだと思う。

音に集中する世代の「理想郷」

駆け足で試聴してきたが。システムの中心となる2機種のエレクトロニクスのデザイン、使い勝手を含めた性能の高さに改めて気がついた。

もちろんサウンドマスター、山内慎一氏や若手エンジニアの方が目指した‟ビビッド・アンド・スペーシャス”な音の進化が鍵と言える。プリメインアンプには最先端のDACが搭載されるし、MM、MC対応のフォノイコライザーも装備され、システムの核としては万全だ。

あとはターンテーブル、これは前述のモデルが最適解だが、カートリッジを選ぶ楽しみもあろう。さらにストリーミング系では「DNP-2000NE」を組み合わせるという手もある。

この企画のテーマである「終のシステム」にふさわしい、まさにアルカディアといえるかもしれない。すこし時を止めて、落ち着いて音に集中する年代なのかもしれない。

デノンの3000シリーズを堪能した岩出和美氏(1950年生まれ)。人気と信頼を備え、長らく愛用できるスピーカーとして選ばれた3モデル、B&W「705 S3 Signature」とDALI「RUBIKORE6」、JBL「L100 Classic MkII」と組み合わせて様々なジャンルの音楽を楽しんだ

(提供:ディーアンドエムホールディングス)


※本記事は『季刊・オーディオアクセサリー 200号』からの転載です。

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