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公開日 2023/03/31 13:16
サプライヤー同士を競い合わせて部品コストを下げる戦略

iPhone 15 Pro Maxのペリスコープ望遠レンズ、部品メーカーに利益なしの安さか

多根清史
今年秋に発売とみられる「iPhone 15」シリーズのうち、注目される新機能の1つは、高倍率の光学ズームを実現するペリスコープ望遠カメラの採用だ。最上位モデルの「iPhone 15 Pro Max」のみに搭載され、少なくとも10倍ズームが可能になると予想されている。iPhone 14 ProおよびPro Maxの最大3倍から、大きな飛躍となる見通しだ。

新たなカメラの採用は、アップルにレンズを供給するサプライヤーにも莫大な利益をもたらすと期待されていた。だが著名アナリストは、1枚当たり約4ドルしか支払われず、サプライヤーの利幅はかなり薄いと述べている。

ここでいうペリスコープ望遠カメラとは、反射鏡やプリズムで光の向きを90度変え、本体に対して横方向にレンズを複数置く方式のことだ。従来のレンズとイメージセンサーを縦に積み重ねる方式よりも本体の厚みやレンズの出っ張りを抑えつつ、高い光学倍率を実現しやすい。

さて、アップルのサプライチェーン情報に詳しいMing-Chi Kuo氏は、自らのブログで今後のiPhone向けレンズの需要を語っている。それによれば、台湾Larganがペリスコープカメラ向けレンズを独占的に供給する見込みとのことだ。もう1つの台湾サプライヤーGeniusには発注がなく、市場は同社の売上と利益に対するペリスコープレンズの貢献度を過大評価したかもしれないという。

しかし、Larganが出荷したペリスコープレンズ(プリズム含む)の平均売価は約4ドルであり、4.5〜5ドルという予想よりも顕著に低い。そのためLarganもまた、ペリスコープから利益を得られないというわけだ。

iPhone用カメラレンズの発注は、主にLarganとGeniusが引き受けることが恒例だ。アップルはたびたび両社に受注を競い合わせているが、今年はLarganがすべての注文を受けたようだ。その代わり、価格を大幅に引き下げざるを得なかったと思われる。

さらにKuo氏は、Geniusは来年の「iPhone 16」向けペリスコープレンズを受注し、部品コストをさらに下げることになるだろうと述べている。新たな望遠カメラの採用は、iPhoneのコストや価格を大幅に引き上げるとの予想もあったが、影響は最小限に抑えられるのかもしれない。

アップルは各部品につき複数のサプライヤーを採用する傾向があるが、それはLarganとGeniusのように価格引き下げ競争をさせるためだとみられている。

この戦略が通用しない唯一の製造パートナーが、有機ELパネルを供給しているサムスンだろう。LGディスプレイや中国BOEがサプライヤーに加わりながらも、サムスンへの依存度を下げるのが困難なため、アップルは自らマイクロLED開発に巨額を投じて「脱サムスン」を目指しているとの報道もあった。

iPhone 15世代ではPro Maxモデルのみペリスコープ望遠カメラ搭載が確実視される一方で、iPhone 16シリーズに関しては識者の間で「Proモデル2つとも搭載」と「やはりPro Maxのみ」に見解が割れている。いずれにせよ、アップルはレンズメーカーに儲けさせるつもりはないかもしれない。

Source: Medium
via: 9to5Mac

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