新型「パジェロ」、そのカーオーディオの実力は?“クリアで荘厳”、音にも現れるフラグシップの誇り
9月2日にワールドプレミアとして発表された、三菱自動車の新フラグシップSUV「パジェロ」。すでに各方面で大きな話題を集めているが、ファイルウェブとして気になる点はやはり搭載カーオーディオのクオリティである。
なんと「アウトランダーPHEV」に続き、ヤマハと共同開発した「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」が採用されているという。パジェロのカーオーディオシステムはいかなるものか。田町にある三菱自動車の本社ショールーム「MI-Playground(マイプレイグラウンド)」で、その実力の一端に触れた。
カーオーディオの詳細情報を独占入手
7年ぶりに聞くパジェロの名と、本格オフローダーの復活にトキメキを覚えた方も多いことだろう。MI-Playgroundには、連日300名近い人が訪れ、パジェロを試座する人で賑わいをみせている。
現時点で、パジェロに関する情報は「全長4,920mm✕全幅1,925 mm✕全高1,910 mm(ホイールベース長さ 2,870mm)、最低地上高 230 mmの7人乗り(3列シート)SUV」ということと、ラダーフレームを採用すること。エンジンは2.4リットル直4クリーンディーゼルターボ型を搭載すること、そしてヤマハと共同開発した「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」を搭載する、といった内容だ。
だが我々は、三菱自動車側と粘り強く交渉した結果、この「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」の詳細情報の入手に成功した。
パジェロが搭載する「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」は、前席が3ウェイ、リアが2ウェイで構成。さらにダッシュボード中央にセンタースピーカー、ラゲッジスペースにサブウーファーを配置。これらのユニットは、最大出力770W(7ch)の中高域用アンプと、最大出力880W(4ch)の低域用アンプという、2基の専用パワーアンプで駆動する。
機能面では、4つのサウンドタイプ(Lively、Signature、Powerful、Relaxing)を用意するほか、2段階のサラウンド設定、5つのリスニングポジション設定を用意。さらに、路面や走行スピードだけでなく、雨の強さ、エアコンの風量に合わせて、音量と音質を補正する機能を有している。
そう、基本的な設計はアウトランダーPHEVで採用された「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」を踏襲している。なのだが、全く同じかというと、そうではないという。変更箇所は大きく3点だ、
ひとつは、サブウーファーの容積を10リットルから20リットルへと拡充させたこと。これは荷室容積が増えたことで実現した。容積が増えれば、低域が伸びる。当然、音は変わる。
ふたつ目は、銀色の振動板が目立つという理由でトゥイーターグリルに貼られていた不織布を取り除き、振動板表面に黒色塗装を施したこと。透過率が上がれば、クリアで抜けの良い方向になる。当然、音は変わる。
最後は、車内空間が広くなったことによる、専用チューニングを実施したということ。ただ、全く同じ音に仕上げるのではなく、パジェロのイメージに合う「荘厳さ」をイメージする音に仕上げたという。つまり、アウトランダーPHEVとは音が相当違うということだ。
アウトランダーPHEVでは、フロントドアの防振対策として、専用の補強桟とデッドニングが施されていたが、パジェロでは補強の必要はなかったとのこと。だが、専用のデッドニング処理を施したそうだ。
S/N高く、重厚な音色感を味わえる
百聞は一聴にしかず。早速試聴することにした。今回はスマホ経由でQobuzのハイレゾ音源で試すことにした。サウンドモードはSignatureをメインに、時折Livelyをチョイスした。サラウンドなど他の設定はオフにした。なお右ハンドル車だが、試聴は日本仕様車ではない点をお断りする。
一聴して感じたのはS/Nの高さだ。フロントドアガラスだけでなく、リアドアガラスも防音効果のある張り合わせガラスを使っていること。なにより車両の密閉度が高く、剛体感も比類がない。
大滝詠一の名曲「君は天然色」は、ウォール・オブ・サウンドの圧力をしっかりと再現。アウトランダーPHEVよりも重厚な音色で、フロントガラスいっぱいに楽団が並び、面で音が押し寄せる感覚は、カーオーディオの音とはにわかに信じることができない。
オーケストラも凄い! イヴァン・フィッシャー指揮、ブダペスト祝祭管弦楽団による「ラフマニノフ:交響曲第2番」は、アーシーな香りを漂わせながら、力強さを覚える弦楽器の響きが印象的。ロシアの大地を彷彿させる雄大な低域、鮮烈な金管楽器などの音色・音触に感動した。
しっとりとした音楽も良い。バルバラが1967年に残した「我が麗しき恋物語(Ma plus belle histoire d'amour)に納めらている「マダム」は、バルバラ流の反戦ソング。恋人の母親から彼氏の戦死を知らせる手紙を受け取った女性の気持ちを、感情を押し殺したかのようなバルバラの歌声に乗せて、感情を伝えてくる。アコーディオンやベースなども、明るいのに悲しい。クリアで荘厳さを覚える音だからこそ、辛さがいっそう伝わる。
マッコイ、ギャリソン、エルヴィン、コルトレーンによる「黄金のカルテット」が紡ぐ「チム・チム・チェリー」は、ソプラノサックスとシンバルのメタリックな質感が見事。こうした質感の良さに、楽器も作るヤマハの凄さを覚える。その美質は、パジェロにも活き継いでいる。総じて満足度がかなり高いオーディオシステムだ。
執筆時(9月中旬)において、「Dynamic Sound Yamaha Ultimate」がパジェロのどのグレードに搭載されるのかは不明。そもそもグレード展開はおろか、価格すら明らかにされておらず、詳細は10月29日までお預けだ。
ただ現時点で言えるのは、パジェロはフラグシップらしい見た目と内装、そして音をまとっていることだ。





























