公開日 2026/02/05 06:30

【ソフトレビュー】オーディオファン垂涎、『プリーズ・リクエスト』を100% Pure LPとUSオリジナルで徹底比較!

オスカー・ピーターソンによるジャズ・トリオの名演

アナログファンに朗報だ。高音質レコード「100% Pure LP」が昨年末にパワーアップして復活。4タイトルがリリースされた。早速、そのうちの1枚で、スタンダード・ジャズの名盤『プリーズ・リクエスト』をオリジナル盤と比較試聴してみた。

現代のプレス技術で蘇るジャズの名演

100% Pure LPは、2012年12月に登場。無着色ヴァージン・ヴィニール(180グラム重量盤)という素材と、通常のプレス工程から2工程削減したメタルマスター・プレス製法による高音質効果に誰もが驚いた。

今回はさらに45回転(2枚組)フォーマットを採用。名演の魅力を引き出す、現在考えうる最高のアプローチと言えるだろう。

オスカー・ピーターソン・トリオ『プリーズ・リクエスト』(PROZ-7917/8) 180g重量盤/2枚組

今回発売となるのは、ジャズの名門レーベルVerveの中から、オーディオ愛好家のリファレンス盤としても知られるオスカー・ピーターソン・トリオの『プリーズ・リクエスト』とダイアナ・クラール『ザ・ルック・オブ・ラヴ』、そしてシティポップの間宮貴子『LOVE TRIP』と大橋純子『MAGICAL 大橋純子の世界�V』の4枚。

そのうちプリーズ・リクエストは2013年6月に100% Pure LPで登場しているので、比較しても面白そうだ。

カッティングにはUSアナログ・テープより2018年にトランスファーしたDSD由来の96kHz/24bitマスター(WAV)を使用。音の鮮度とダイナミックレンジをそこなわぬよう、極力フラットにマスタリングしたと謳っている。

オリジナルの帯がつくほか、裏面にはシリアルナンバーも刻印されている

なお生産数は限られており、ジャケットにはシリアルナンバーが刻印されている。コレクターアイテムとしても価値のあるレコードに仕上げられているといえそうだ

ジャケットは見開きで、中には鍵盤の皇帝(オスカー・ピーターソン)の美麗な写真が印刷されている。この点でも満足度の高いアイテムと言えるだろう。

見開きジャケットに大判の写真を掲載

深煎りネルドリップvs 浅煎りサードウェーブ

今回は手持ちのUSオリジナル盤と比較することにした。ちなみにUSオリジナル盤は、気長に探せば未だ手に入れることができるだろう。

USオリジナル盤の『プリーズ・リクエスト』

さらにコンディションを統一すべく、どちらの盤もバキューム式レコードクリーナーであるキース・モンクスのPRODIGYで清掃。

バキューム式クリーナー「PRODIGY」で両方クリーンナップ

さらにクリーニング液の影響を避けるべく超音波式洗浄機のハミングルで洗浄。1日乾燥させてから試聴を行なうことにした。

超音波式洗浄機のハミングルで仕上げ

プレーヤーはEMTの放送用ダイレクトドライブ機950を用い、オーディオファンではお馴染みの、オリジナル盤ではB面の頭、100% Pure LP盤では2枚目A面の「「ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー」とそのまま続く「イパネマの少女」の2曲を中心に聴いた。

まずはオリジナル盤。丸みを帯びたピアノのタッチ、重厚な弓弾きのベース、小気味よく刻むハイハット……。とろりとしてまろやかで深い音色は、どこかネルドリップで淹れた深煎りの珈琲に似ている。

僕たちはジャズ喫茶で店主が淹れる濃厚な珈琲を飲みながら、この音を聴いて育った。だからとても安心感を覚えると共に、リラックスした気分で愉しめる。

EMT950にてオリジナル盤を再生

「オーディオは見た目どおりの音がするもの」とはよくいったものだ。透明の盤に切り替えた途端、霞がサッと晴れ、綺麗に磨かれた窓から見るような景色が拡がった。奏者にスポットライトが当たり、三者三様の細かな動きや機微が見えて新たな発見が幾つもある。

オリジナル盤が深煎りネルドリップコーヒーとするならば、こちらは浅煎りのサードウェーブ系コーヒーだ。

コーヒー豆のポテンシャルを引き出すサードウェーブ系コーヒーのバリスタの如く、マスターテープに閉じ込められた音を最良な形でレコードに転写しようとするエンジニアの執念が音に表れている。

続いて100% pure LP盤を試聴

「デジタル由来ならハイレゾファイルで聴けばいいのでは?」。そういう声も聞こえそうだ。だが、そうは問屋と針が降ろさない。レコード再生でしか味わえない音の実態感が伴っているのだ。アナログとデジタルのいいところどり、100% Pure LPでしか味わえない。つまり聴く価値があると思う。

レコード再生でしか味わえない音の実態感がある

それゆえ「オリジナル盤を持っているから100% Pure LPは不要」というのは早計だし偏見だ。

いっぽうで「100% Pure LPがあるから、オリジナル盤はイラナイ」にもならない。両方を手に入れることで、より深淵に触れることができると言えるだろう。

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