PR 公開日 2025/03/07 06:30

「ただ息を呑む」高画質。エプソンが粋を極めたフラグシップ・4Kプロジェクター「EH-QL3000」を徹底レビュー

中焦点レンズと超短焦点レンズで画質をチェック

■解像力と明るさが重畳し、目を見張る克明さと立体感


EH-QL3000はエプソン自家薬籠中の3LCD方式である。広色域に関して数値上ではLCOSやDLPが勝ることがあるが、実戦ことに映画の再現では必ずしもそうといえず、柔らかで厚みがあり中間色のしたたるような絵画的な発色は3LCDの独壇場。『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』(4K UHD BD)で夜空に舞い上がる色とりどりの風船のクリッと丸く艶やかな立体感、ジェリービーンズをまき散らしたような甘美な色彩は3LCDならでは。

ハイエンドモデル用の画像処理チップを搭載し、さまざまな高画質化機能が使える。「ダイナミックトーンマッピング」は映像のシーンごとにHDR設定を最適化する機能。「シーン適応ガンマ補正」はシーンに応じて階調表現を最適化する機能

以前、開発陣が「今回の画作りはまず白側をきれいに見せることに始まり、白側から中間そこから黒につなぐとことを光学系が徹底してやった」とコメントしており、EH-QL3000は中間から暗部の表現も見事である。

『ゴースト/ニューヨークの幻』(4K UHD BD)では、冒頭のデミ・ムーアがロクロを回すダークシーンに本機の克明な描写力、明暗コンビネーションが実在感、立体感を生み、粘土にまみれたカップルの絡み合う指にもうひとり自分もそこに手を重ねている生々しい触感。これは凄い。続く夜のN.Y.ダウンタウンを散歩する二人のフルショットも光と影の対比が美しい。

「超解像」は複雑な映像や背景を強調する機能。設定画面から度合を調整できる

ビデオ系ソースの画面に吸い込まれるような大きな臨場感は他に並ぶものがないといっていい。『8K空撮夜景SKY WALK』(4K UHD BD)はシネマのままで観たが、特筆すべきは冒頭の夕景で、高層ビル外壁に発生しやすいフリッカーが皆無。2軸シフトテクノロジーのアップスケールが正しく動作している証左といえる。最適化されたレンズの解像力と明るさのパワーが重畳して目を見張る力強さ、克明さ、立体感だ。遠景の曇りない描写、ぎっしりと立ち並ぶ低層の建物を見下ろした時の高低とりどりの立体感も見事だ。

「フレーム補間」は前後のフレームから中間のフレームを自動生成して補間する機能。強度を調整できる

■超短焦点レンズをチェック、ユニフォーミティと密度感の高い映像再現


次に超短焦点レンズ「ELPLX02WS」で視聴してみよう。所要10分程度で画像の通り、長打ちオーバースローが超短焦点プロジェクターに様変わりする。

超短焦点レンズ「ELPLX02WS」

150インチの投写距離は1.12m

『8K空撮夜景SKY WALK』は、中焦点オールガラスのELPLM15ほどの精緻な解像力はないが、歪み、周辺部フォーカスの甘さもなく画面のユニフォーミティは高い。映像の建物の稜線に歪みがなく端正。明るさのパワーで中焦点オーバースローに勝り、ローカルコントラスト、明暗のコンビネーションも十分に高く、近接投写で密度高くスケール雄大な100型大画面を眼前に描き出す。

『彩』(4K UHD BD)は、本機誕生のそもそものミッションを考慮してあえて天井照明オンの明るい環境で見た。シネマ/ダイナミック/ナチュラル/ビビッドの4種のプリセットのカラーモード中、穏やかなバランスのナチュラルで充分明るく快適な視聴が楽しめた。ダイナミックモードは、色調が少々硬めであるが、6000ルーメンの明るさが盛大に発揮される映像だ。

レンズを交換した際は「光源キャリブレーション」を行う

■どの映像作品も強靭な光で描き、組み合わせるレンズで追い込む


家庭用として桁違いのパワー、スケールのEH-QL3000。桁違いのポテンシャルを持つ本機に、ソースの得手不得手というものはない。すべてのソースを呑み尽くし強靭な光でアウトプットするモンスターである分、組み合わせるレンズの選択にはじまり、視聴環境とソースに合わせていかにのりこなし使いこなして本領を引き出すか、カスタムインストーラーも含めて使い手のセンスと技量が問われる映像機器なのだ。

その一方で、中焦点→超短焦点へレンズを交換し一台で二通りのホームシアタースタイルが楽しめる柔軟性、エンターテインメント性も持っている。いずれにせよ、EH-QL3000登場でホームシアターは新しい段階を迎えた。


[SPEC]


■エプソン「EH-QL3000」
●投写形式:3LCD ●投写デバイス:1.04型ワイドポリシリコンTFT液晶パネル ●表示解像度:4K(3840×2160) ●レンズ:オプション ●光源:レーザー ●投写サイズ:60 - 1000型 ●明るさ:6000ルーメン コントラスト比:over 2,500,000:1 ●騒音:28dB ●主な入出力端子:HDMI×2(eARC対応はうち1基)、USB Type-A入力×2、RS-232C入力×1、LAN入力×1、ステレオミニ出力×1 ●消費電力:453W ●外形寸法:568W×181H×568Dmm(突起部含まず) ●質量:約21.1kg

背面端子部

付属のリモコン


(提供:エプソン)

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 BRAVIAが空飛ぶ時代? 動画コンテンツの楽しみ方に押し寄せた大きな変化を指摘するソニーショップ店長。超大画面はさらに身近に
2 ネットワークオーディオに、新たな扉を開く。オーディオ銘機賞の栄えある“金賞”、エソテリック「Grandioso N1」の実力に迫る
3 Nothing、最大40%オフのウィンターセール開催
4 LG、世界初のDolby Atmos FlexConnect対応サウンドバー「H7」。オーディオシステム「LG Sound Suite」をCESで発表へ
5 「ゴジラAR ゴジラ VS 東京ドーム」を体験。目の前に実物大で現れる“圧倒的ゴジラ”の臨場感
6 衝撃のハイコスパ、サンシャインの純マグネシウム製3重構造インシュレーター「T-SPENCER」を試す
7 AVIOT、“業界最小クラス”のANC完全ワイヤレス「TE-Q3R」。LDAC、立体音響にも対応
8 ソニー「WH-1000XM5」に“2.5.1”アップデート。Quick AccessがApple Music/YouTube Musicに対応
9 「HDR10+ ADVANCED」が正式発表。全体的な輝度向上、ローカルトーンマッピングなど新機能も
10 クリプトン、左右独立バイアンプ機構のハイレゾ対応アクティブスピーカー「KS-55HG」新色 “RED”
12/19 11:02 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX