公開日 2019/06/26 11:34

TANNOY伝統のサウンドと最新技術を融合したベストセラースピーカー。「Revolution XT」を聴く

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また、本シリーズを特徴づける要素として、キャビネット構造における2つのポイントが挙げられる。まずは、奥行き方向に向けて台形形状を実現するデザインだ。これにより箱内での定在波の発生を抑制して、音質への悪影響を排除している。

また、フロア型モデルでは、「ツインキャビティー結合バスレフシステム」という独特の内部構造を採用することで、透明感のある中域と引き締まった低域再現が追求されている。

これは、2つの部屋に仕切られた本体内部をバスレフポートで繋ぐ構造で、ドライバーユニットが取りつけられた最初の部屋で適切なダンピングを行って、ブックシェルフ並みにクリアな中域を実現するとともに、ポートで繋がれた2番目の部屋で十分な容積を確保して、フロア型ならではの豊かな低域再生を得るという仕組みだ。開発に3年をかけた渾身の技術という。

本機の台形シェイプは、キャビネット内部の定在波の発生を防ぎ、音質への悪影響を最小としている。フロア型モデルでは、「ツインキャビティー結合バスレフシステム」により、透明感溢れるクリアな中域と引き締まった低域再生能力を獲得。また、Miniを除く全モデルにスピーカーベースを採用。フロア型モデルはスパイク、スパイク受けも付属している

ユニットのネットワーク構成は、XT 8F、XT 6F、XT 6ともに同軸ドライバーは1.8kHzでクロスされ、フロア型のXT 8FとXT 6Fのみ、同軸ドライバーと同口径のウーファーを250Hzでプラスする2.5ウェイ仕様となっている。なお、小型ブックシェルフのXT MiniとセンタースピーカーのXT Cは、同軸ドライバーが2.8kHzでクロスされる。

XT 6Bは位相表現が的確。リアルで鮮明な視界を実現する

早速、ブックシェルフ型のXT 6 Bと、フラッグシップであるフロア型のXT 8F Bの2モデルを試聴してみる。試聴には、エソテリックのSACDプレーヤー「K-05Xs」をDACとして用い、同社のネットワークトランスポート「N-03T」を介してハイレゾファイル再生を実施。スピーカーの駆動は、120W+120W(8Ω)の出力を持つプリメインアンプ「F-05」を用いた。

まずはXT 6 Bから再生すると、手頃なサイズ感のブックシェルフながら、低音域のボリュームの豊かさに驚かされる。しかもそれは、しっかりとしたダンピングでシェイプされており、緩んだ表現にならないことが快い。端正な表情で迫る中域から高音域の描写に対して低域が遅れをとらず、音程によって音楽のリズムが崩れることがないのだ。また、低域量感が豊かなため、重心が高域寄りにならず、バランス良くも快適な音色で音楽を楽しませてくれる。

「オムニマグネット・デュアルコンセントリック・ドライバー」から放たれる描写は、位相表現が的確で、音像や空間がしっかりと像を結んで鮮明な視界を実現する。リアルなのだ。音色感としては中〜高域に程よく明瞭な要素を持ち、ヴォーカルや主旋律を執る楽器の音色が押し出しの良いエネルギーで伝わってくる印象。

このあたりのカッチリとした表現は、このたび新たに纏ったピアノフィニッシュによる、エンクロージャー表面硬度の向上による恩恵もありそうだ。

Revolution XT 6 Bの背面。8F B同様、操作性に優れた金メッキ仕上げのバイワイヤリング対応のスピーカー端子を採用

XT 8F Bはしっかり制御され、キレの良い低域再現が魅力である

続いて、シリーズのフラッグシップとなる、8インチのユニットを搭載したフロア型スピーカーXT 8F Bを試聴する。転じて、押し出しの良い中〜高域表現はそのままに、実に逞しく迫力豊かな低域再生が繰り広げられる。

しかしながら、XT 6同様に低域の余韻が野放図に広がることがなく、しっかりと制御されたキレの良い低音再現が特筆だ。まるで殴打されるかのような重量感を持ったドラムスのタム回し、そして大オルガンの最低音域が響く圧迫感など、低域再生を高い充足感で味わうことができる。

全体的に、程よく温かみのある音色を楽しめるが、それでいて、同軸ユニットからはキレの良い明確な定位描写を伴うことが、まさに本機ならでは。明瞭感と心地良い充実感が両立しているのである。

ヴォーカルはしっかりとセンターに定位するとともに肉感的で、ベースなど低音楽器はもちろんのこと、全ての楽器がリッチでふくよかな表情を帯びている快適なサウンドだ。演奏の一体感が高く、音楽へと心地良く没入させるのである。明瞭かつスケールが大きく迫力があるため、シアター用途にも実に好適だろう。

Revolution XT 8F Bの背面。操作性に優れた金メッキ仕上げのバイワイヤリング対応のスピーカー端子を採用している

次ページロックやジャズなど、勢いやパワーを重視することが多いソースと特に相性が良い

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