公開日 2019/04/23 06:00

ペア10万円以下スピーカー一斉テスト(後編) ベストバイ決定! B&WやJBLなどの実力機が登場

KEF、FOCALなども登場の後半戦をお届け

<試聴モデル11>
JBL「4312MII」 94,000円(税抜)

JBL「4312MII」

【主なスペック】 外形寸法:181W×300H×180Dmm、質量:4.0kg、ユニット:19mmテンパード・ピュアチタン・ドームトゥイーター/50mmピュアパルプ・コーン・スコーカー・ミッドレンジ/133mmピュアパルプ・ホワイトコーン・ウーファー、カラー:ウォールナット/ブラックアッシュ、再生周波数帯域:55Hz-50kHz、能率(2.83V/1m):90dB、インピーダンス:6Ω、許容入力:75W、クロスオーバー周波数:7kHz/12kHz、端子:バナナプラグ対応

■開放的で躍動感があり音楽が楽しく聴ける

伝説的なスピーカーブランドとして圧倒的な知名度と人気を誇るのが、言わずと知れたアメリカのスピーカーブランド JBLである。中でも、スタジオモニターシリーズと言われる、ブルーのボディカラーを纏ったラインナップは、根強い人気を誇ると共に、その伝統的なサウンドを守り続けている。

試聴室に設置した4312MII

本機は、そんなスタジオモニターシリーズから生まれた、手軽な価格と大きさを備える大人気のロングセラーモデル「4312」のミニチュア版として誕生したモデルある。サイズダウンしているが、ブルーのバッフルと美しい木目調仕上げを持つとともに、4312と同じく3ウェイ構成をしっかりと引き継いでいる。

JBLらしい、開放的で躍動感のある、音楽が楽しく聴けるスピーカーだ。ペーパー・コーンの振動板らしい、張りのある乾いた音の鳴り方が、音楽に生き生きとした表情を与えている。低音を増強するバスレフポートからは、低域だけでなく中高域も積極的に聴かせることで、独特の臨場感や空気感を持ったライヴな響きが生み出されているようだ。

サランネットを装着したところ

背面端子部

音色バランス的には、下2つのユニットの音量が大きめで、それがこのスピーカーの暖かみある聴き心地の良さを形作っている。総じて、楽器の音は適度に落ち着きながらも、中高域に張り出しがあり、カラッと乾いて陽気な質感なのである。その意味では、4312よりもじゃじゃ馬な、鳴りっぷりの良さがある。現代のスピーカーとは良い意味で、アプローチが全く異なるスピーカーなのだ。

【相性のよかった音楽ジャンルとそのポイント】
ロックとの相性が抜群だ。歌声が機嫌良くピックアップされ軽快に歌い出すと共に、スネアドラムのスカンと乾いたサウンドがよくよく響き渡る。楽器の音が良く混じり合い、一体感が高い。


<試聴モデル12>
FYNE AUDIO「F500」 98,000円(税抜)

ファインオーディオ「F500」

【主なスペック】 外形寸法:200W×325H×320Dmm、質量:7.3kg、ユニット:25mmチタンドーム・コンプレッション・トゥイーター/150mm IsoFlareマルチファイバー・ベース/ミッドドライバー、カラー:ダークオーク/ブラックオーク、再生周波数帯域:45Hz-34kHz、能率(2.83V/1m):89dB、インピーダンス:8Ω、推奨アンプ出力:30-120W、クロスオーバー周波数:1.7kHz、端子:バイワイヤリング/バナナプラグ対応

温かみを持った心地よいバランス

FYNE AUDIO(ファインオーディオ)は、2017年春に設立されたばかりの、スコットランドのスピーカーブランドだ。しかしながら、元タンノイ社の精鋭メンバーを中心に創業されているため、新興ブランドとは言え、事実上は膨大なノウハウを持ったエキスパート・メーカーである。実際、設立と共に、エントリーからハイエンドまで、多岐にわたる戦略的なラインナップをすぐさま展開し、発売と共に各国で高い人気を獲得した。

試聴室に設置したF500

F500シリーズは、同社ならではの3つの革新的な技術である、広い指向性を持った同軸ユニット、振動板の反共振を抑えるエッジ構造、そして、独自の低域エネルギー拡散構造の全てが盛り込まれたエントリーシリーズで、F500は唯一のブックシェルフ型となる。本体は、細やかな木目の凹凸が残されたマットな光沢仕上げとなっており、重厚な質感で高級感がある。

本機が奏でるサウンドは、さすが熟練エンジニアたちの手によるものということだけあり、しっかりとした技術力と成熟を感じさせるものだ。まずは、同軸型ユニットならではの定位感の良さがあるとともに、広い指向性を確保したスケールの大きな音が、コンプレッションドライバーならではの力強い勢いで部屋中に展開する様が快い。

サランネットを装着したところ

背面端子部

ベースの量感は十二分で、歌声や楽器の音色に安定したボトムを感じさせる、温かみを持った心地よいバランスが実現されている。また、底部の独自構造によって低域エネルギーが周囲に均質に伝わるので、包まれるような広がり感を生み出すのだ。

【相性のよかった音楽ジャンルとそのポイント】
エネルギッシュな音楽の再生に特に最適だ。大型ギターアンプから鳴らされているようなギターサウンド、肉付きの良いジャズピアノやウッドベース、炸裂するドラムサウンドなどが堪能できた。

次ページ最後にフォーカル「Chorus 706」を試聴。筆者が選んだお薦めモデルは!?

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