上位モデルのウーファーを搭載

【製品批評】JBLの70周年記念スピーカー「4312SE」でレコード再生を堪能する

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土方久明
2017年07月25日
製品批評


スピーカーシステム
JBL
4312SE
¥260,000/ペア(税抜)



JBLから創立70周年を記念した、4312SEが発売された。4312シリーズは、1970年初頭に発売された「4310」に始まり、現行モデル「4312E」へと進化を続けてきたJBLを代表するロングセラー機である。

僕自身も4312Eを使用しているので分かるのだが、このシリーズが根強い人気を誇るのには理由がある。全ての帯域がストレートかつ力感に溢れ、まるで分厚いステーキを食べるような圧倒的なグルーヴ感を持って音楽を聴かせてくれるからだ。

この“SE”(Special Edition)で大きく変わったのがウーファー周りで、上位モデル「4429」で使われる30cmウーファーをホワイトコーン仕様とした専用ユニット「1200FE-8W」を搭載した。さらに歴代の4312シリーズに共通していた、ウーファーのフルレンジ駆動を変え、新設計のローパスフィルターを追加した3ウェイのネットワーク回路も搭載された。

ミッドレンジに125mmコーン型の105H-1、トゥイーターにアルミ・マグネシウム合金ドームトゥイーターの054Al-Mgを搭載する点はベースモデルと同じ。サイズも現行モデルと同一であるが、重量は7.1s重くなっている。

今回は、このスピーカーでアナログディスクを堪能する。試聴ポイントとスピーカーを正三角形で配置して真正面を向けた。まずは、スティング『57TH & 9TH』を再生した。スティングのベースや、名スタジオドラマー、ヴィニー・カリウタが繰り出すバスドラムの立ち上がりが良い。僕の知っている4312Eとは少し次元の違う鳴り方だ。低域の反応と解像度が圧倒的に高いのである。それにヴォーカル表現がナチュラルなことにも感心した。

ソニー・ロリンズ『Newk'sTime』がまた素晴らしい。ドラムはスピード感にあふれ、垂涎の世界を聴かせてくれる。低域の反応が良くなると、自然と中高域の解像度も上がって聴こえるから、ソニー・ロリンズのサックスも最高だ。アナログ再生と4312SEの組み合わせはとても相性が良い。

4312シリーズはポンと置いても音の押し出しがよく、それ相応に音楽を聴かせてくれるのだが、そこから追い込むためには、フルレンジ接続されたウーファーによりセッティングが難しい印象を持っていた。4312SEは、ウーファー周りの改良により、低域の質が圧倒的に向上した。レコードファン、そして歴代の4312シリーズを所有しているユーザーにも強くお薦めしたい。

Specifications
●形式:3ウェイ・ブックシェルフ型 ●ユニット:300mmウーファー、125mmミッドレンジ、25mmトゥイーター ●インピーダンス:6Ω ●許容入力:100W ●出力音圧レベル(2.83V/1m):90dB ●周波数特性(−6dB):44Hz〜40kHz ●クロスオーバー周波数:640Hz、5kHz ●サイズ:362W×597H×298Dmm●質量:25.2kg ●取り扱い:ハーマンインターナショナル(株)




※本記事は「季刊analog」55号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから

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