KEF、FOCALなども登場の後半戦をお届け

ペア10万円以下スピーカー一斉テスト(後編) ベストバイ決定! B&WやJBLなどの実力機が登場

生形三郎

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2019年04月23日



<試聴モデル13>
FOCAL「Chorus 706」 106,000円(税抜)

フォーカル「Chorus 706」

【主なスペック】 外形寸法:220W×390H×263Dmm、質量:8.2kg、ユニット:アルミとマグネシウム合金による逆ドーム型トゥイーター/165mmポリグラス・コーン、カラー:ローズウッド/ウォルナット/ブラック、再生周波数帯域:55Hz-28kHz、能率(2.83V/1m):90dB、インピーダンス:8Ω、推奨アンプ出力:25-120W、クロスオーバー周波数:30kHz、端子:バナナプラグ対応

■喉越しの良い爽快な聴き心地

フランスのスピーカーブランドであるFOCAL(フォーカル)は、スピーカーユニット・メーカーとしてそのキャリアをスタートさせた。独創的な設計とエレガントなデザインとサウンドを武器に、コンシューマーモデルから、プロフェッショナル・モニター、カーオーディオやハイエンドスピーカーブランドへのユニット提供、ひいてはヘッドホンやイヤホンまで、幅広い分野に優れたラインアップを展開する。

試聴室に設置したChorus 706

Chorusは、4世代に亘って進化を遂げてきたロングセラーのエントリーラインで、同社の顔とも言える逆ドーム型のトゥイーターと、セルロース製パルプコーンに微粒子の溶融ガラスを塗布した「ポリグラス・コーン」をウーファーに採用したシリーズである。

ブックシェエルフ型となる706は、今回試聴したスピーカーの中でも最大サイズだ。逆ドームトゥイーターが奏でる中域から高域の表現は、定位感が実に明瞭であるとともに、ほんのりと品のよい甘さを持った音色を奏で、それがフォーカルならではのエレガンスを感じさせてくれる。これは、同社の逆ドーム技術が実現する、低歪みな再生能力の賜物だろう。定位感も極めて良好だ。

サランネットを装着したところ

背面端子部

また、ウーファーの強固で重厚なフレームが象徴するように、低域再現はワイルドな描写が魅力的だ。量感が豊かで、バスレフポートからダイナミックな低音を勢いよく響かせるが、余韻があとに濁らず音切れが良好。先述の高域再現と併せて、喉越しの良い爽快な聴き心地が実現されているのである。

【相性のよかった音楽ジャンルとそのポイント】
女性ヴォーカルの甘美で繊細、そしてエレガントな表情には、この上ない美しさがある。同様に、ヴァイオリンやピアノなどの生楽器の中高音にも独特の香りを漂せる様が絶品だった。



<総括>13機種のレビューを終えて

全13モデルを聴き終えて、製品選びの段階でモデルを絞ったこともあるが、改めて各製品の完成度の高さに驚かされた。価格は違えど、どのモデルであっても、大きな不満なく、オールジャンルの音楽ソースを楽しませてくれたからだ。この価格でこのような優れたスピーカーを手に入れられるということは、ユーザーにとって大変好ましいことであると思う。

取り上げるモデルを厳選した結果として、実力という点では拮抗していることを強調しつつ、特に筆者の印象に残ったモデルも挙げてみる。コストパフォーマンスという点で言えば、取り上げた製品の中で最も価格の安いヤマハ「NS-B330」はまさに圧倒的であった。少ない予算で、現代的で高精細なハイファイ再生を楽しめるモデルだろう。幅広いソースを心地よい北欧サウンドで堪能させてくれるダリ「OBERON1」も、コストパフォーマンスが高い。ワンランク上の上質さが味わえるスピーカーであると再確認した。

B&W「607」の極めて現代的で高解像な表現力は、やはり抜きんでていた。個性という面では、JBL 4312MIIがダントツであった。何よりも音楽再生の楽しさが大いに味わえる点が素晴らしかった。最後に、異国のセンスへの憧れとして強く魅力を感じたのが、フォーカル Chorus 706だ。独特のエレガンスを実現する質感は、まさにフランスというお国柄が成せる技だろう。


押さえておきたいスピーカー選びのポイント

最後に、スピーカー選びのポイントについても述べてみたい。先述のように、どの製品も不得手や大きな不満感を感じさせない完成度が達成されている以上、あとは自身が好む音質と、自身が好む音楽ジャンルとのマッチングが決め手となるだろう。

特にスピーカーは、振動板の素材やその発音方式が音の方向性を大きく決定づける。そこに焦点を当ててスピーカーを検討してみると、より自分好みの音を見つけやすくなるはずだ。その辺りは、先のレビュー内で特に意識して触れてあるので、参考にしていただければと思う。

また、デザインも欠かせない要素だ。生活の中で日常的に楽しむオーディオ製品は、日々の暮らしを豊かにする優れたインテリアと同じように、住環境とのデザイン的なマッチングが重要だ。必然的に目に触れる機会が多く、存在感も大きいスピーカーシステムは、デザインが好みに合致しているかも重要だ。そして、サイズについても、使用するスペースとのマッチングが適切に取れている方がその魅力をより十全に発揮してくれる。

こうした点を踏まえつつ、ぜひ今回の試聴レポートをスピーカー選びに役立てていただけたら幸いだ。

(生形三郎)

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