• ブランド
    特設サイト
2018/06/27

完全ワイヤレスイヤホンを次世代のレベルへ導く新技術、「Qualcomm TWS Plus」に迫る

米Qualcommのシニア・マネージャーに話を聞く
山本 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
QCC5100を搭載した完全ワイヤレスイヤホンが実現するもの

QCC5100は、左右独立型の完全ワイヤレスイヤホンが提供する体験をさらに向上させるため、アーキテクチャを根底から大きく見直したICチップだ。特にスマートフォンやポータブルオーディオプレーヤーなどの再生機器とペアリングした時の接続性が大きく向上する。

本チップは、2つの接続パターンで完全ワイヤレスイヤホンとつなぐことができる。ひとつは従来通りの接続方式で、プレーヤーから送られてきた信号を、マスターとなる左右片方のイヤホンで受信・デコードして、もう片方のスレーブ側となるイヤホンに信号をリレーする方法だ。技術名称は「Qualcomm TrueWireless Stereo」と呼ばれている。

「Legacy Mode」と表現されている従来からの接続方法「Qualcomm TrueWireless Stereo」

また、QCC5100は現行のICチップよりも受信感度が高く、スレーブ側に信号を送り出すパワーも向上しているというGampell氏。ゆえにSnapdragonの最新SoCを搭載していないスマホやiPhone、ウォークマンにテレビ、ノートPCなど、あらゆるBluetoothによる音楽再生が楽しめるデバイスと接続した場合に「音が切れにくく」「バッテリーが長持ちする」という。つまり快適なリスニング体験が得られることになる。

さらにバッテリーの持続性を高めるための機能として、完全ワイヤレスイヤホンのマスターとスレーブの役割をL/Rで適宜スイッチできる「ロールスワッピング」を搭載した。

これはスマホから信号を受信して、もう片側に絶えず信号を送り続けているマスター側のイヤホンから先にバッテリーが消費されてしまい、結果的にペアのイヤホンとして駆動限界が低く抑えられてしまう課題を解決する注目の機能だ。ロールスワッピングをどのタイミングで、自動・手動で行うのかも含めて仕様はイヤホンをつくるメーカーが決められるように設計されているという。

音声通話は左右のイヤホン間で信号の遅延が発生することなく、クリアなステレオ再生ができる「Voice in the Both Ears」の機能も実現した。CSR8675シリーズではマスター側のイヤホン(片側)だけでしか通話の音声が聞こえない仕様だったので、これでようやく多くの完全ワイヤレスイヤホンでより快適な音声通話ができるようになりそうだ。

左右独立接続の新方式「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」

そして今回、QCC5100のハイライトとなる接続方式が「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」だ。aptXコーデックに対応するSnapdragon 845シリーズを搭載する再生機器にペアリングすると、再生機器の側で先にL/Rの信号を分離してから、左右のイヤホンに独立した音声ストリームをダイレクトに送り出す新技術である。

この方式では各チャンネルの転送ビットレートを低く抑えられるため、信号伝送の安定性が上がり「音がより切れにくく」なる。左右イヤホンのバッテリーも理論的には均等なペースで消費されるため、駆動時の消費電力を下げることも可能になる。

新方式となる「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」。左右イヤホンに向けて個別に音楽ストリームを伝送

「ここで強調しておきたいことは、イヤホンのメーカーは“Snapdragon 845専用”の商品を作る必要がないということです。イヤホンの電源を入れると、スマートフォンに搭載されているSoCをQCC5100が自動で検知して、QTWS Plusともうひとつのアーキテクチャのどちらで動作するべきかを決定します」(Guy Gampell氏)。

再生機器に搭載されているSoCがSnapdragon 845シリーズ以外だった場合は、先述のトラディショナルなリレー方式の接続方法で動作する。最新鋭の「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」方式で接続されたことをユーザーに知らせるポップアップなどは画面に表示されるのだろうか。Gampell氏は「コンシューマーは常にベストな音楽体験を求めているはずなので、あえて接続方法を明示しなくても良いと今のところは考えている」と述べている。

筆者はクアルコムの先進技術をアピールするためと、ユーザーが接続の安定性が担保されていることの満足感が得られることも考えて、何かaptX HDで接続された時のようなポップアップが出てきてもいいと考える。

次ページQCC5100を搭載した完全ワイヤレスイヤホンが登場する時期の見通しは?

前へ 1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 “寝ホン”って結局どうなの? 注目モデルを集めて一晩使ってみた
2 Apple、AirPodsシリーズに新機能。第2世代AirPods Proは「適応型オーディオ」など対応に
3 ネットワークオーディオはアクセサリー追加でもっと楽しめる! 最新7アイテムをトコトン聴き比べ
4 Apple、15インチ「MacBook Air」を6/13に発売。厚みはわずか11.5mm
5 Apple、“大きなマイルストーンになる”「watchOS 10」発表。メンタルと視力もケア
6 SOULNOTE、GND完全分離/SEPP回路を採用したプリメインアンプ「A-3」
7 Apple、「iOS17」発表。電話/FaceTime/メッセージなど大幅機能強化
8 無料公開中の「FANZA 8K VR動画」をマジメにレビューした
9 “最強の内容”だったアップル「WWDC23」、AV関連の注目トピックを総まとめ
10 高音質&低遅延「Snapdragon Sound」を体感可能! 特別イベント参加者大募集!
6/7 10:20 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー189号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.189
ケーブル大全2023?2024
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2023~2024
季刊ホームシアターファイルPLUS vol.15
ホームシアターファイルPLUS
最新号
Vol.15
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.20 2023 SUMMER
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.20
プレミアムヘッドホンガイド Vol.29 2023 SPRING
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.29(電子版)
VGPお買い物ガイド 2022冬版
VGPお買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2022冬版(PDF)
DGPイメージングアワード2022受賞製品お買い物ガイド(2022年冬版)
DGPお買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2022冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX