米Qualcommのシニア・マネージャーに話を聞く

完全ワイヤレスイヤホンを次世代のレベルへ導く新技術、「Qualcomm TWS Plus」に迫る

山本 敦

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2018年06月27日

aptXによるワイヤレスオーディオ伝送の仕組みには、SBCやAACのようないわゆるフレーム単位ではなく、信号をより細かな「ワード」と呼ばれる単位に分割して送ることで、パケットを有効に活用しながら安定した低遅延伝送を実現できる優位性がある。aptXではまた、送り出し側で元もと左右チャンネルの音声信号を別々にエンコードしている。

「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」方式ではこの特徴を応用して、あらかじめL/Rに分割されている信号を独立した音声ストリームとして左右のイヤホンへ個別に送り出すことを可能にした。転送ビットレートが352kbpsまたは384kbpsになるaptXコーデックの信号をL/Rに分けて送る場合、それぞれを約半分の176kbpsまたは192kbps前後まで下げられるため、各帯域の占有率を抑え込みながら、いっそう安定した信号伝送ができるようになる。受信感度が向上したQCC5100の底力も効いてくる。

QC5100シリーズ用の評価基板

このほかにもSnapdragon 845シリーズには、Bluetoothに対応する複数のワイヤレスオーディオ機器へ同時に音声信号をストリーミングできる「ブロードキャストオーディオ」機能が搭載されている。現行のCSR8675シリーズでは、スマホからのストリームを受けた1台のマスターから、他のワイヤレスオーディオ機器へ信号をリレーする方法で同様の使い方を実現していた。相手方がQCC5100を組み込んだデバイスの場合、1台単位でスマートフォンとダイレクトにつながることになるので接続品質がさらに上がるはずだ。

複数のBluetoothに機器へ同時ストリーミングできる「ブロードキャストオーディオ」機能についても、QCC5100なら各端末へ個別ストリーミングが行える


QCC5100を搭載した完全ワイヤレスイヤホンが登場する時期の見通しは?

クアルコムではQCC5100を使った、複数タイプのワイヤレスイヤホンのリファレンスデザインを2018年の第3四半期(7月〜9月ごろ)から提供を始める予定であるという。基板のサイズやアンテナの配置、センサーやANC機能の使い方などワイヤレスリスニングの体験全体を向上させるためのあらゆる情報がパートナーには開示される。

Snapdragon 845シリーズを搭載するスマートフォンについては、ソニーモバイルの「Xperia XZ2」やサムスンの「Galaxy S9」など国内キャリアから2018年夏モデルとして発表された。

Gampell氏に今後、コンシューマー向けイヤホン製品が登場するタイミングの見通しを訊ねたところ、「今年の後半を皮切りに発表が始まり、来年のCESが開催される1月頃には初期採用ブランドからの新製品が出そろうのでは」と見通しを語ってくれた。完全ワイヤレスイヤホンによる音楽体験がどこまでレベルアップするのか楽しみだ。

(山本 敦)

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