公開日 2018/02/19 11:29

Google、Amazon、LINE。3大スマートスピーカーと音楽サービス、いま選ぶならどれがベスト?

「音楽を楽しむ」用途で考える


日本でのローカライズが道半ばのアマゾン

Amazonの音声アシスタント「Alexa」を搭載するスマートスピーカーは、Amazon純正のデバイスとして「Echo」と、コンパクトで安価な「Echo Dot」、スマートホームハブ機能を内蔵する「Echo Plus」がAmazonのオンラインサイトから招待制で販売されている。

アマゾン代表「Amazon Echo」

オンキヨーの「VC-PX30」、harman/kardonの「Allure」も招待制ながら発売中。年内にはUEの「BLAST」「MEGABLAST」やクリプシュ「Heritageシリーズ」も発売されることになりそうだ。Alexa搭載のポータブルオーディオも、昨年末に発売されたBragiの「The Dash Pro」のほか、今年はJabraやベイヤーダイナミックなどお馴染みのブランドにも広がる。

Alexaと連携する定額制音楽配信のサービスは「Amazon Music Unlimited(AMU)」がメイン。ドコモの「dヒッツ」とauの「うたパス」はスキルを追加すれば楽しめる。AMUは本稿執筆時の配信曲数が4,000万以上。月額利用料金は980円。意外にも邦楽のアーカイブが充実していて、特に昭和歌謡や演歌のカタログが健闘している。

「Amazon Music Unlimited」や「dヒッツ」、「うたパス」に対応。「TuneIn」の選局がアプリからも行えて便利

以前はプライム会員が利用できた、Prime Musicユーザーがオンラインストレージへ手持ち楽曲をアップロードする機能は、2017年12月に提供終了したようだ。Echoスピーカーと一緒に便利に使えそうと考えていたので残念だ。

ラジオサービスは「radiko.jp」や「NHKラジオ」、「J-WAVE」などのスキルを追加して楽しめるほか、「TuneIn」の操作は音声だけでなくスマホアプリからステーションを指定して再生できるので使いやすい。

「radiko.jp」などラジオを楽しむ機能はスキルで追加

同じルーターに接続した複数台のEchoスピーカーによるマルチルームオーディオ再生は、アメリカで先行スタートしているようだが、まだ招待制販売が続く日本には残念ながら上陸していない。ただし、オンキヨーの「VC-PX30」のようにDTS Play-Fiに対応し、これと似た使い方ができるスマートスピーカーもある。

もっとも、日本では音声アシスタントを搭載するスマートスピーカーのブームにまだ火が付いたばかりで、いきなり何台も買いそろえてマルチルームオーディオ再生に挑む人はそんなに多くはいないだろう。Googleアシスタントを搭載するスピーカーの真骨頂はむしろ、Chromecast built-inに対応する高音質なワイヤレススピーカーやオーディオ機器とワイヤレスでつなぎ、Google Homeスピーカーの音声アシスタントとボイスUIで操作しながら音楽を楽しめるところだ。

Amazon Echoシリーズはまだ残念ながらWi-Fi経由で同じことができないが、もっと音の良いスピーカーで音楽を聴きたい場合はステレオミニタイプのアナログ音声出力を使って、あえて外部のオーディオ機器に出力して鳴らす手がある。

Amazon Music Unlimitedにはシブい昭和歌謡もそこそこ揃っている

コミュニケーションツールとしての機能を尖らせたLINE

LINEの音声アシスタント「Clova」を搭載するスマートスピーカーは、初代機の「WAVE」のほか、昨年末にはLINEの人気キャラクターをあしらった「Clova Friends」も発売された。サードパーティーのClova搭載オーディオ機器はまだ登場していないが、Clovaが「外国語のリアルタイム翻訳」に力を入れているので、今後身に着けるタイプのイヤホンやヘッドホンにパートナーの機器が広がる可能性もある。

Clovaを搭載するLINE代表「WAVE」

LINEのスマートスピーカーが連動する定額制音楽配信サービスは「LINE MUSIC」だ。邦楽インディー系アーティストや演歌・昭和歌謡、アニソンのアーカイブが充実する日本ローカル色の強い音楽サービスだが、洋楽のヒット曲も一通り押さえている。配信曲数は4,000万。フルサイズのサービスが使える有料プレミアムプランは月額960円。学割料金をいち早く提供した配信サービスとして、若年層の支持も厚い。

邦楽コンテンツは最も充実する音楽サービス。演歌や昭和歌謡が豊富

ラジオサービスは他の主要プラットフォームと同じくradiko.jpに対応している。個人的にはTuneInなどのサービスに対応していないのが寂しい。海外のインターネットラジオの方が、原稿を書いている時のBGMに適しているからだ。筆者個人としてはなかなかヘビーに使う気になれない。

マルチルームオーディオ再生だけでなく、スマートホーム連携も、発売以来ゆっくりとだが進んでいる印象だ。新モデルのClova FriendsはLINEによる音声通話にも対応しているが、これは国内で発売されている他のスマートスピーカーにない特徴だ。LINEのメッセージを声で送れる機能はWAVEにも乗っている。これからは “オーディオも楽しめるコミュニケーションツール” として独自の道を切り拓いていくのだろうか。

今のところ筆者のベストはグーグル

以上、現在のAIアシスタント&スマートスピーカーの3大ブランドに関連する製品とサービスの特徴をまとめてみたが、情報を横並びに比較するだけでは、一体どれが自分に合っているのかわかりづらいかもしれない。

参考までに、筆者がいまGoogleアシスタントの環境をメインに選んだ理由を紹介すると、まず定額制音楽配信サービスについては、Google Homeを選ぶ前からSpotifyを使っていたので、当面はこの環境をそのまま継続したいと判断したからだ。

最近は、Googleアシスタントを内蔵するボーズのワイヤレスヘッドホン「QC35 II」も使いはじめた。Androidスマホにつなぎ、音声操作でSpotifyから聴きたい楽曲を検索・再生できる機能が便利で気に入っている。

IFTTTアプリから「Spotifyでお気に入りに登録した楽曲をGoogleドライブのドキュメントに記録する」アプレットを走らせると気になった楽曲の情報が効率よくストックできる

邦楽が弱いところは不満だが、関連アーティストのレコメンド表示機能は賢い。またユーザーインターフェースついてもAndroid/iOS、どちらのプラットフォームでも洗練されていると思うので、しばらくはSpotifyを使い続けることになりそうだ。

だからAlexaのプラットフォームがSpotifyに対応してきたら、メインスピーカーの乗り換えも検討したい。これにはEchoシリーズの方がTuneInとの連携もスムーズだからという理由もある。ただ、今年はAndroid TVのGoogleアシスタント対応や、新しいデバイス 「スマート・ディスプレイ」の発売など、グーグル周辺のトピックスが賑わいそう。機器連携も含めてグーグルのスマートスピーカーには引き続き注目せざるを得ないと思う。

(山本 敦)

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