• ブランド
    特設サイト
公開日 2017/04/17 11:02

CDでハイレゾ「MQA-CD」徹底解析! MQAエンコードあり/なし音質比較からリッピング方法まで

「ハイレゾ時代のHDCD」
佐々木喜洋
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
先日発表された「MQA-CD」(関連ニュース)は、音楽CDにMQA音源を収録、CDプレーヤーではCDとして再生ができ、MQA対応DACと組み合わせた場合はMQAとしてハイレゾ相当の音質で再生できるというもの。こうやって説明するとなかなかわかりにくいMQA-CDの仕様を整理しつつ、様々なケースで再生しながら仕組みについて分析を試みた。


1、MQA-CDとは何か
「使い勝手」と「音質」を両立させたMQA

MQAは最近オーディオ業界で話題の技術だ。このMQAをCD再生に応用したものが、「MQA-CD」である。本稿ではMQA-CDをさまざまな角度から検証しながら、MQAの可能性についても探ってゆくが、まずその前にMQAの基本的な解説をすることにしよう。

MQA(Master Quality Authenticated)とは、英Meridian(メリディアン)が提唱した音楽データの形式である。今ではMeridianとは独立した組織がライセンスを管理しているため、MQA Ltd.という組織自体の名称でもある。2014年の暮れに発表され、昨年度はメジャーレーベルとの提携が話題となり、今年になってからもTIDALでの採用が話題を呼んだ(関連ニュース)。

MQAが目指すのは、いままでのオーディオでは相反していた「使い勝手」と「音質」を両立させることだ。つまりハイレゾ音源は音質は良くてもデータ量が多くなってしまうが、MQAならばコンパクトでかつ高音質が達成できるというわけだ。

MQAのボブ・スチュアート氏

その目標を達成するためにMQAに導入されたキー技術は大きく2つある。ひとつは時間的なボケ・ぶれを減らして知覚的に高音質化するという点。もうひとつは、“オーディオ折り紙”と呼ばれる独自の圧縮技術によって、ロスレス相当の高品質を保ったまま大幅にデータ量を軽量化しているという点だ。

MQAのさらなる特徴は、従来機器との高い互換性だ。本来MQAは独自形式であり、その力をフル活用するためにはMQA対応のDACが必要だ。しかし内部的には通常のPCMであり、MQAの非対応機器で再生する場合でも、ハイレゾの拡張部分は使えないがCD品質相当の再生ができる。

そしてMQAに注目すべきもうひとつの理由は、その応用範囲の広さだ。現在のデジタルの主要オーディオソースはCD音源、ダウンロード音源、ストリーミング音源の3種類だが、MQAはこのすべてについての応用が可能である。

MQAは当初、2Lレーベルなどをはじめとしたダウンロード音源として知られるようになったが、最近ではTIDALにおけるハイレゾ・ストリーミング(TIDAL MASTERS)を実現する手段としてMQAが採用されたため、ストリーミング音源にも応用されるようになってきている。

MQAの必要データ量が約1.1Mbpsというのは、ロスレスストリーミングの必要データ量である1.4Mbpsを少し下回る程度である。要は既存のインフラを変えずにハイレゾ・ストリーミングができるということで、MQA技術が当初からストリーミングをターゲットとしていたことを示しているとも言えるだろう。

MQA音源を音楽CDに収録した「MQA-CD」

そしてCD音源への応用が、本稿で取り上げるMQA-CDである。特に日本ではまだまだCDがオーディオの主流音源であり、CDでハイレゾ相当のMQA音源が扱えるのならば画期的なことだ。

MQA-CD『A.Piazzolla by Strings and Oboe』

具体的に言えば、MQA-CDは普通の音楽CD(CD-DA形式)に音楽データとしてMQAエンコードされた音楽データが格納されたものだ。CD-ROM(例えばISO9660形式)のようにCDメディアにFLACなどのMQAファイルを格納したものではない。つまりPCオーディオよりも、通常のCDプレーヤーでの再生を主眼としている(エンコードとは録音時にコード化することであり、デコードは再生するために復元するということだ)。

端的に言うと普通の音楽CDとまったく同じである。それでいて、再生機器がMQA対応できていればハイレゾ相当の音質が実現できることになる。CDなのにハイレゾ再生できるというのも、MQAの目指している「使い勝手」と「音質」の両立という目標を実現したものと言えるだろう。

次ページMQA-CDをCDプレーヤーで再生する

1 2 3 4 5 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 小栗旬VS山田孝之!鈴蘭制覇に挑む不良たちの熱く、若く、ギラついた青春
2 米ソニー、ブランド史上最高輝度のMiniLED「BRAVIA 9」や有機ELなど24年新テレビ4シリーズ
3 女子プロゴルフ「42nd フジサンケイレディスクラシック」、4/19からの放送・配信予定
4 ラックスマンの“新Zシリーズ”プリメインアンプ試聴会、4/27にジョーシン日本橋店にて開催
5 どれが好み? 一番人気のミニコンポ「M-CR612」を“売れ筋スピーカー”3機種と相性テスト!
6 LG有機ELテレビ“あえての”22年モデル「OLED C2」が超コスパで狙い目!推す理由をくわしく解説
7 マクセル、“デコれるスティック型ケース”の完全ワイヤレス「MXH-BTW401」
8 ウェブを「耳で聞く」のが意外に便利!iOS 17のSafari新機能を試してみよう
9 TCL、量子ドットMini LEDテレビ「C855」「C755」シリーズ。4K液晶モデル「C655」シリーズも
10 “音質も最高”の「グラミー賞2024」受賞曲、人気のPolk Audioスピーカー3機種で聴き倒す!
4/19 16:45 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー192号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.192
オーディオアクセサリー大全2024~2025
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2024~2025
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.21 2023 WINTER
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.21
プレミアムヘッドホンガイド Vol.31 2024 SPRING
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.31(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2023受賞製品お買い物ガイド(2023年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2023年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX