約5年ぶりのモデルチェンジで更なる進化

【レビュー】ラックスマン「 L-550AXII」を聴く - 純A級プリメインのミドルレンジ機

大橋伸太郎

前のページ 1 2 次のページ

2016年10月04日
ラックスマンの純A級プリメインアンプ「L-550AXII」を大橋伸太郎氏がレビュー。5年振りのモデルチェンジを果たした本機の実力を分析していく。

「L-550AXII」 ¥360,000(税抜)

ラックスマンの純A級プリメインのミドルレンジ・モデル

ラックスマンの魅力のひとつが、純A級動作のプリメインアンプのラインナップを複数擁することだ。かつては、電力効率が低く発熱量の多い純A級動作は、一体型アンプに向かないとされた。しかし日本のユーザーの使用実態を考えた場合、大出力は最大要件ではなく、むしろ純A級の雑味がなく素直な音質の価値は大きい。かくして素子の選択や回路の工夫等地道な研究開発で、効率に優れた純A級プリメインアンプを製品化したのがラックスマンだった。

ただし、ラックスマンもフラグシップのセパレート型アンプはAB級だ。国境を越えて愛用される同社ハイエンドの位置付けを考えた場合、欧米のライバルに伍するスケール豊かな大出力とパワーハンドリング能力は譲れないのだ。

一体型においても決して純A級をAB級の上に位置付けているわけでなく、AB級のダイナミックで躍動的な音質も同時に追求し、同社プリメインアンプは純A級「AX」とAB級「uX」の2ラインで構成されている。ラックスマンによれば、両ラインナップの出荷台数はほぼ互角だという。

つまり、A級かAB級かはユーザーの音質の好み如何というわけだが、音楽をノージャンルで幅広く聴く層は「uX」、特定の音楽ジャンルや楽器の音色ニュアンスに傾倒する層は「AX」を選ぶ傾向があるらしい。同社の場合、管球式プリメインという第三の選択肢もある。つまり音楽を聞かせるツールの最善の方式は1つでなく、最後はユーザーの感性に託されているのだ。

独自の増幅帰還回路ODNF4.0や新LECUA1000を上位機から継承

ラックスマンの純A級プリメインアンプのミドルレンジ・モデルとなる「L-550AX」は、2016年3月に「L-550AXII」へと発展した(関連ニュース)。約5年ぶりのモデルチェンジだ。希望小売価格36万円は純A級であること、高級機オーディオ専業メーカーのステータスを考えると非常に魅力的。5年間の進化が音質にどう反映されたか興味が尽きない。

「L-550AX」から5年ぶりのモデルチェンジとなった「L-590AXII」

L-550AXIIを一言で集約すると、純A級プリメインの最上位「L-590AXII」(関連ニュース)の構成要素を継承して誕生した製品だ。その第一がボリューム機構で、プリアンプ回路一体型の電子制御式(デジタル)アッテネーターである新「LECUA1000」を採用。入力段バッファー回路を刷新し、88ステップのスムーズな音量調整が可能だ。基板が立体配置され、アッテネーター回路と増幅回路をダイレクト接続して信号経路を最短化しただけでなく、オーディオの大敵である外来振動の影響に強い設計とした。

パワーアンプ部増幅回路には、ネガティブフィードバックへの同社独自のアプローチから生まれたODNF Ver4.0(AXはVer.3.0)を採用した。初期スルーレート(入力に対する出力が要する応答速度の指標)改善と広帯域が狙いで、本機のVer.4.0はパワーアンプ「M-700u」や「L-590AX II」に準ずる最新バージョンだ。三段ダーリントン・パラプッシュプル構成で純A級動作で定格出力20W+20W(8Ω)/40W+40W(4Ω)を得る。

筐体内部

電源部には、振動対策を施した大容量EL型トランスと大型ブロックコンデンサー(10,000μF×4)を組み合わせたハイイナーシャ(高慣性)電源回路を採用。出力部に低抵抗値大容量スピーカーリレーをパラレル接続した上で、スピーカーターミナルにダイレクト配線することで、ダンピングファクター(スピーカー駆動能力の指標)を従来モデルの160から一挙に200にまで引き上げた。

プリアンプ回路出力段は、フラグシッププリアンプ「C-900u」同等のディスクリートバッファー回路を採用。次段のパワーアンプ回路の駆動性を大幅に改善した。内部配線も見直され独自のOFCワイヤーを採用。新開発の高音質低頭ブロックコンデンサー等新規カスタムパーツが随所に採用された。ファンクション(機能)と外装面も地道に改良され、同社プリメインCIのアナログメーターパネルのLED照明色がイエローからアンバーに変更され最新モデルらしい清新な印象を醸す。

SACD/ハイレゾ/アナログで音質をチェックする

前のページ 1 2 次のページ

関連記事