公開日 2015/09/30 10:38

空の旅の快適さはノイキャンヘッドホンで決まる! フィリップス「NC1」を20時間フライトで検証

ノイキャン性能から音質、バッテリー持続時間まで確かめる
折原 一也
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機内エンターテイメントやPS Vitaで“Fidelio”NC1を使い倒す

機内での音質を確認するために、エンターテイメントシステムでビヨンセのヒットチャートを聴いてみたのだが、NC1は音場が広く、聴き疲れしないナチュラル志向のサウンドだ。BGM的な長時間リスニングにもぴったりはまる。機内ではエンジン音によって低音がスポイルされがちだが、例えば「Crazy In Love ft. JAY-Z」を聴いても、その肉厚な中低音の沈み込みやリズム刻みの鋭さは確保されているし、特にボーカルのセパレーションも良い。

それでは映画はどうか? 機内エンターテイメントシステムで『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』を視聴してみた。例えば冒頭でアイアンマンが活躍するシーンの爆音は、そのパワーもさることながら突き抜けるエネルギッシュな爆音、そして空間のスケール感をしっかりと表現。個々の音を粒立ち良く鳴らしてくれるタイプなので、機内でも映画のセリフが十分に聞き取れ、ステレオ音声ながら映画の世界に没入させてくれた。

機内テンタ−テイメントシステムで音楽、映画の音質をチェック

映画に音楽にとNC1を使い倒して、「バッテリーの持ちは大丈夫なのか?」と心配になるかもしれないが、フルチャージ状態でのバッテリー駆動時間はなんと連続30時間。成田からモスクワまでの10時間のフライトであれば付けっぱなしでも問題なく、充電することなく使い続けることができた。

さて、自分専用の“エンタメ”を持ち歩くのは長旅のノウハウ。機内エンターテイメントシステムを十分堪能したら、予め用意しておいたPS Vitaを取り出して『ペルソナ4 ダンシングオールナイト』(以下、P4D)のプレイを始めた。いわゆる“音ゲー”に分類されるP4Dを遊び尽くすには、そのサウンドに浸れるかどうかもポイントだ。

アトラスから発売中のPS Vita用ゲーム『ペルソナ4 ダンシングオールナイト』をプレイ

ストーリーモードの1曲目にあたるロック調ナンバー「Time To Make History」では、グルーブを担う重低音をNC1はタイトな質感で聴かせてくれる。“音ゲー”に必須のリズムの取りやすさも十分。オーケストラの伴奏も入る「Reach Out To The Truth(Dancing on PESRONA STAGE)」のような楽曲でも、高域がナチュラルに伸びる。“音ゲー”の求めるリズム感はもちろん、多様な楽曲に対応する表現力も覗かせる。

手持ちの楽曲でNC1のサウンドをチェック

モスクワまでNC1で快適な機内の旅を過ごした後は、IFA前の休暇を取るスペインの首都・マドリッドに向かう約5時間のフライトだ。

搭乗機体はエアバス社の「A321」という中型機で、エコノミーのシートにはエンターテイメントシステムが用意されていない。そこで、手持ちのスマートフォンにNC1を接続して、普段聴き慣れている音楽をじっくりと音質チェックすることにした。

モスクワからマドリッドまで搭乗したエアバス社のA321型

iPhoneを音楽プレイヤーとしてサウンドをチェック

DaftPunkのアルバム『Random Access Memories』を聴くと、そのサウンドは重低音をズシリと沈み込ませつつ、機内の騒音の中でも音楽の空気感をしっかりと味わえる。機内のリスニングではこの低音がやはりキーにるのだが、一方で高域も粒立ちよくキラリと鳴らしてくれ、音楽のバランスが崩れない。

宇多田ヒカルの「Automatic」では、肉厚なビートの刻みはもちろんのこと、声の帯域、そしてコーラスまで騒音下でもしっかり聴かせてくれる実力を確認できた。

最後にアニソンも聴く。藍井エイルの「IGNITE」では、音数の多いメロディラインを持ち前の音場の広さでもって雑味なく鳴らしてくれる。シンバルの刻みとボーカルなど近い帯域の音も正確に分離で表現してくれるのもNC1の持ち味だろう

藍井エイル『IGNITE』

ダフトパンク『ランダム・アクセス・メモリーズ』

長時間のフライトの疲れもあってか、NC1を装着して音楽を聴きながらそのまま眠ってしまうこともあった。ナチュラル志向かつ音場重視のサウンドは、機内でリラックスするのにもぴったりだった。

さて、今回のIFA 2015に向かうまでに経由地の都合、合計約20時間にもなるフライトとなったが、その全期間、さらに空港へのトランジットの時間までも含めてNC1は一度も再充電の必要なく使えたことを改めて強調しておきたい。


航空機による海外出張で使うヘッドホンには、日常で使うヘッドホンとはまた異なるベクトルの性能が求められる。NC1はその性能をしっかりと抑えつつ、音楽の再現力も備えたヘッドホンであることを、今回の長い出張を通じて実感することができた。

(折原 一也)

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