ティアック、ESOTERICブランドのモノラルパワーアンプ「A-70」を発売

A-70（右はシャーシの構造写真）

●ティアック（株）ティアック エソテリック カンパニーは、ESOTERICブランドのモノラルパワーアンプ「A-70」を8月下旬より発売する。価格は70万円。

本機は、アンプ設計の基本に立ち返り、電源及び筐体に徹底的にこだわりました。音楽用パワーアンプとしては世界で初めてWBトランスを採用し、かつてない電流供給能力を獲得。WBトランスは、コイルに鉄心を巻いた内部構造をしており、磁路長が短く磁気抵抗も低い特徴がある。また、平滑用電解コンデンサには、電極用アルミ箔エッチング倍率の低い33,000μFという大型のもの（76mmφ×100mm）を±電源用に2個用い、余裕の大容量を誇る。

電源部は、WBメイントランスにもう一つサブトランスを加えた2トランス構成とし、大出力時にも回路の電源電圧に変動を起こさせない。これにより電圧増幅段の定電圧回路を省くことができ、電源ラインとシリーズに能動素子が介在せず、音質が高まった。

各回路の整流ダイオードはショットキー・バリア・ダイオードを用い、リカバリー時のノイズを原理的に発生させない回路とした。

また、電流増幅段は2段ダーリントン構成で、出力段を3パラレルプッシュプル、更にその初段動作にも工夫を凝らした。電流増幅段の出力段はアイドリング電流を多めに流したAB級動作だが、通常の音楽再生時はA級動作を行う。最良のアイドリング電流値を聴感、安定度から追いこんで決定したという。

電圧増幅段は、初段のカスコード接続された差動増幅回路、2段目のダーリントン接続されたエミッタ接地増幅回路共に充分なアイドリング電流を流し、高速広帯域な設計とした。全段上下対称型プッシュプル動作とすることで、綺麗なクリップ特性を有し、安定して電流増幅段をドライブする。

出力用トランジスターからスピーカー端子へは、金メッキ高純度無酸素銅ブロックで直結。線材を排した設計は、配線引き回しによるロスを低減する。

端子部や各種パーツは、バイワイヤリング接続が可能な2組のWBTスピーカー端子（WBT0735）、金属皮膜抵抗、高周波低インピーダンスタイプの電解コンデンサー、サンケン製トランジスターなど、特性と聴感の両面から徹底的に追い込んで部品選定を行った。3つの入力端子（XLR×1、RCA×2）を装備し、フロントパネルで切り替えられる。これにより、2chプリアンプ、AVプリアンプ、CDプレーヤーからのダイレクト接続など、様々なシーンに応じて使い分けが可能となる。

シャーシ構造も非常に堅牢。マシニングセンターで高精度加工された9mm厚の鋼板をメインシャーシとして使用し、全ての構造物はこのシャーシを基準として固定されている。シャーシにはダイレクトにピンポイントフットを直結させ、メカニカルアースを構成した。低重心構造とする為に、メインシャーシ下部にはトランス、コンデンサ等を吊り下げ構造で固定し、上部には基板を置くことで、漏れ磁束及び振動の影響を回避している。外装筐体もシャーシと同様にマシニングセンターで高精度加工が施され、これにより複数使用時の機器間の振動レベル差を少なくした。

フロントパネルには20mm、トップパネルとサイドパネル、さらにリアパネルには10mm厚の特殊高力アルミニウム合金を採用。このアルミニウムは、半導体製造装置等に使用される特殊な材料で、精度が高く、加工歪みが少ないという特徴を持つ、これにより振動モードの均一化に寄与し、不要振動が発生しづらくなり、音質が向上する。


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（Phile-web編集部）