公開日 2025/03/18 06:30

ウルトラマンゼロとイヤホンが“一体化”!想い迸る「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」の開発担当者に話を訊いてみた

こだわりぶりが“final”ウルティメイトゼロ
編集部:松永達矢
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2022年に『ウルトラセブン』をフィーチャーした完全ワイヤレスイヤホンを発売したfinal。それから3年の沈黙を経て、円谷プロダクションとの共同開発モデルの第2弾として「ウルトラマンゼロ」をモチーフとした完全ワイヤレスイヤホン「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」を全世界5,000台で限定販売を行う。

3月7日(金)から予約開始されるや否や、ツブラヤストアONLINEでは予約開始から3日で二次受注を開始するも記事執筆時点では在庫切れ。final 公式ストアにおいても早い段階でSNSにて予約枠の僅少がアナウンスされるなど、ウルトラマンゼロの人気ぶりが表れるといった状況だ。まさに「ウルトラマンゼロファン待望のアイテム」と言えよう。少なくとも記者にとってはそうだ。

2009年の初登場から15周年を祝うメモリアルイヤーが継続中のウルトラマンゼロ。ウルトラセブンの息子という強烈なバックボーンを持つ

というのも、数あるウルトラヒーローがいる中「記者の最推し」がウルトラマンゼロだからだ。世代的にはいわゆる「平成三部作」を幼少の折に浴びてきた身ではあるが、2009年の『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』での鮮烈な初登場とその強さ、これまでのウルトラヒーローに無い型破りな性格に心を奪われたし、もっと言えばテクターギアを身にまとって予告なしに登場した「ウルトラマンフェスティバル2009」のライブステージでの邂逅から、その存在に見惚れてしまったのかもしれない。

そんな最推しヒーローの完全ワイヤレスイヤホンが出るとなると、話を聴かなければならない。少なくとも、数あるAV機器関連メディア編集部員の中でも「一番ウルトラマンゼロが好き」という自負もある。そこで、「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」の製品ページに “大のウルトラマンシリーズ好き” と紹介されている、finalの開発担当者・陳 迎楓(Akki)氏にインタビューを申し込んだところ、快く引き受けて頂いた。

国内営業部マネージャーの森 圭太郎氏による共同開発第1弾モデル「ZE3000」 “ウルトラ警備隊モデル” の話を踏まえながら「ウルトラマンゼロの完全ワイヤレスイヤホン」について、その誕生の経緯を伺ってみた。

ゼロの前に“親父”あり。「『ウルトラセブン』はウルトラ警備隊の物語」

───本日はよろしくお願いいたします。早速ですが、本製品の制作に至るまでの流れをお聞かせいただけますか?

森圭太郎氏(以下、森):ウルトラマンゼロをモチーフとしたイヤホンを共同開発する経緯を説明するにあたって、2022年にfinalブランドから発売した「ZE3000」 “ウルトラ警備隊モデル” の成り立ちをまずお話させていただければと思います。

このモデルは、弊社の提案では無く、ありがたいことに円谷プロダクションさんからお声掛けを頂く形で企画がスタートしました。弊社から発売していた別作品とのコラボモデルが、円谷プロダクションのご担当者様の目に止まりコンタクトをいただいたという流れですね。これが今回の「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」に至る関係性の始まりです。

円谷プロダクションさんは、コンテンツの保持・管理するといったIPホルダーとしての側面以上に、グッズの制作にも並々ならぬこだわりがありまして、共同開発という形で「どんな面白い物が作れるか」という命題に向かって1年ぐらい企画を練りました。「ウチのIP出すから面白い物作ってよ」といったビジネス的なやり取りは一切なく、弊社との二人三脚で作り上げたモデルが「ZE3000」 “ウルトラ警備隊モデル” になります。

2022年に発売された「ZE3000」 “ウルトラ警備隊モデル”

作品としては『ウルトラセブン』をフィーチャーしながら、主役ヒーローの「ウルトラセブン」をモチーフにしたイヤホンになっていないというのが、まさに「面白い物を作る」という表れですね。

「『ウルトラセブン』は侵略者と対峙するウルトラ警備隊の物語だよ」という、ご担当者との熱いディスカッションを経て、ウルトラ警備隊の装備品をデザインモチーフとしました。イヤホンのフェイス部分は、ヘルメットバイザーの意匠を再現するためにグロスで塗り分けるなど、相当なこだわりを注ぎ込んでいます!

───発売時にはインストアイベントの取材をさせていただきました。めちゃくちゃいいアイテムだと思います。ユーザーからの反響はいかがだったでしょうか?

森:製品としては既に完売で、強い引き合いを感じました。特に印象的だったのが、展示会で北海道出張に行った際に「様々なコラボアイテムと比べても群を抜いて良い」「軽ノリで作ったコラボモデルとは全く違うよね」と、実機を展示していないにも関わらず、直接伝えに来てくださった方が居たんです。わざわざ伝えに来てくれたというところに、「時間を掛けて企画した物がちゃんと届いた。一生懸命やって良かった」と本当に思いましたね。

こういった『ウルトラセブン』をフィーチャーした「ZE3000」 “ウルトラ警備隊モデル” が完成度・反響含めてすごく良かったというところに着地できたので、ウルトラセブンとウルトラマンゼロの関係性を含めて、「また熱いコラボをやろうよ」ということで「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」を共同開発させていただくことになりました。

───「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」はfinal からではなく、agブランドからの発売となります。その理由をお聞かせください。

陳 迎楓(Akki)氏(以下、Akki):ブランドとしてのagは、finalで培った品質の良さを活かしながら、手にとっていただきやすい価格を実現させた「ちょうどいい」プロダクトの開発をコンセプトにしています。この関係性はfinalを親としたとき、agはその子どもともいえますよね。先ほど森が言ったような「ウルトラセブンとウルトラマンゼロの関係性」というストーリーを、プロダクトにも反映させたいといった狙いで製品企画を提出しました。

陳 迎楓(Akki)氏 株式会社final SCM部所属。「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」が初の企画担当製品となる。好きなウルトラ怪獣は「炎魔戦士キリエロイド」

森:「ZE3000」 “ウルトラ警備隊モデル” は1万円を超えてしまうモデルでしたが、「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」は、よりお客様の手に取りやすい価格で提供したいという思いがありました。そこで、品質と価格感を両立した「ちょうどいい」プロダクトを出しているagから、というポイントもありますね。

Akki:「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」のお話もちょうど1年くらい前にいただけたので、2024年はさまざまなイベントでウルトラマンゼロを見るたびに「中途半端はできないよなあ……」という緊張感を味わっていましたね。ようやく皆様のお手に届けられるタイミングが来て嬉しい限りです。

話を伺うにあたり、final本社にウルトラマンゼロのシャツ(正装)を着て臨む記者。ビッグバンは止められないのだ。3/11に開催されたZepp Hanedaの15周年ライブに行くくらいウルトラマンゼロが好き。好きなウルトラ怪獣は「電脳魔神デスフェイサー」

───agブランドでは多くの完全ワイヤレスイヤホンを展開されていますが、ベースモデルとして“COTSUBU for ASMR”を採用した理由をお聞かせください。

Akki:「ZE3000」 “ウルトラ警備隊モデル” 同様に、「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」でもボイスガイダンスを収録しています。後ほどしっかりとお話させていただきますが、特にB面のボイスガイダンスの再生においては、ASMRで重要視される「没入感」がポイントになってくるんですよね。そこで、ASMRをフィーチャーした「COTSUBU for ASMR」をベースモデルに採用させていただきました。

森:セールス的なところでいうと、「COTSUBU シリーズ」は発売から50万台以上の出荷を記録している大人気のシリーズです。完全ワイヤレスイヤホンの定番機能となっているノイズキャンセリングは備えていないにも関わらず、装着感の良さから来るパッシブな遮音性能は非常に高く、好評をいただけております。そういった日常における使いやすさに優れたモデルとなっているので、根強いファンの居るプロダクトですね。

ウルトラマンファンの方たちが 「イヤホンを何か買いたいな」って思った時に手に取ってもらえる、もちろんオーディオマニアの方には、使い分けできるサブモデルとしてどんどん手に取ってもらいたいので、価格帯的に非常にぴったりなチョイスなんじゃないかなと。

COTSUBUシリーズ。「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」は、「COTSUBU for ASMR」をベースモデルとしている

「ウルトラマンゼロとの一体化」を果たす“ウルトラすごい”アイデアの数々

───「ウルトラマンゼロ」をフィーチャーした本モデルのデザインについて、改めてその意図と、特にこだわったというポイントとは何でしょうか?

Akki:製品コンセプトを「ウルトラマンゼロとの一体化」としておりますので、まずは手に取ってもらった瞬間から「ウルトラマンゼロだ!」となるキャッチーさと、普段使いするアイテムとしてのバランスを見ながらデザインを進め、充電ケースは特徴的なボディラインを立体印刷で落とし込みました。ボディーカラーの赤と青については、スーツの縫い合わせの凹凸を狙った処理を施しています。

イヤホンのフェイス部分は、こだわりというよりも「ウルトラマンゼロでイヤホン作るならこれしか無いでしょ」という一点突破のアイデアで「ゼロスラッガー」をあしらっています。装着する都度手に取ると、ゼロスラッガーを構えるウルトラマンゼロになれちゃいます。まさに一体化です。

とくに強調したいのが着脱のタイミング、特に取り外すときは、戦う時に頭からゼロスラッガーを外すゼロと、イヤホンを取り外す動きが同じ動きになるんですよ!

───製品ページでも拝見しましたが、その発想に脱帽しました。ファンとして「そういうアングルがあったか……!」と、素直に感心しました。

Akki:ありがとうございます! 先程もお話した通り、自分がウルトラマンゼロのイヤホンデザインを考えるうえで、これ以外の案は出なかったですね。ただ、自分が良くても周りを納得させないことにはなので、まずは社内でデザインのプレゼンを「実演」込みでやったんですけど、「うーん……Akkiさんがグッとくるなら良いよ!」みたいな感触でした(笑)。

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装着イメージ。そしてイヤホンを取り外す際の動きを「ゼロスラッガーを構える」としたナイスなデザイン

───もし同じ会社に居たら「自分が思いつけないことを悔しがる」くらい素敵なアイデアだと思います。さて、finalとしての第1弾モデルは「作品としての世界観」を表したデザインでしたが、「COTSUBU ULTRAMAN ZERO version」でヒーロー・ウルトラマンゼロをフィーチャーしたデザインとした理由などはありますか?

森:両モデルのデザインに表れるのは「好きだからこそ」という要素だと思うんです。モチーフに応じた世界観を愛するからこそ、それを突き詰めていったものがデザインに表れるといったところでしょうか。そもそもfinalという会社には、オーディオを好きだからこそ出てくるニーズをプロダクトとして表現しようという土壌があります。

その流れで「好きな人がやるのが一番だろう」という判断から、今回のプロダクトをAkkiが担当することになって、ウルトラマンゼロに対する想いが「一体化」というコンセプトと共に、デザインとして形になったというところでしょうか。私も実際に出来あがった物を見てみるとAkkiの言っていることも理解できました。本当にウルトラマンゼロが好きだからこそ、最初から(製品としてのビジョンが)見えていたんでしょうね。

───充電ケースやイヤホンのLEDが緑色に点灯するのも額のビームランプや、関連アイテムの「エメラル鉱石」を想起させるカラーで良いですね。点灯色はベースモデルも同様ですか?

Akki:ありがとうございます。これはベースモデルも同じ色に点灯します(笑)。ほかにデザインでこだわった部分でいうと、色味の再現ですかね。イヤホン・充電ケースともにたくさんのモックを作って完成版に辿り着くまでかなりの試行錯誤を重ねました。特にイヤホンは、このシルバーを出すために10色以上の色味を試しました。

また、ベースモデルではケース背面にあった注意書きの印字を上蓋に移動させています。裏面にもウルトラマンゼロのボディラインの意匠を取りいれているので、非常に気になる部分でした。自分もそうですが、ファンの方が表面見てテンション上がって、いざひっくり返して裏面に印字があったらちょっと冷めちゃいますよね。デザイン上の世界観を崩さないように調整させていただきました。

───パッケージデザインについてはどうでしょうか?

Akki:こちらはイヤホン以上にウルトラマンゼロを抽象化し、身体に奔るボディラインを宇宙の星々に配置しています。イメージとしては「宇宙の何処かで戦い、新たな物語や仲間との絆を繋いでいる」といった、一箇所に留まらないウルトラマンゼロのキャラクター性を表しました。手に取った方にそれを感じてもらえれば嬉しいです。

───ウルトラマンゼロのファンなので今のフレーズで「奴らがウルティメイトフォースゼロ!」(『ウルトラゼロファイト』ED曲)の歌詞をしっかりと思い浮かべました。ウルトラマンゼロのウルトラサインが刻まれているのもカッコいいです。これは飾っちゃうなあ。

Akki:今回の取材が社外の人に初めて手に取ってもらう機会なので、こういう反応の一つ一つで「間違ってなかった。やって良かった」と思えます。本当にありがたいです……!

次ページ「かなり困難を極めた」ガイダンスボイスの選定基準とは?

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