公開日 2016/06/16 11:50

遂に発売!Fenderイヤホンの詳細をデール・ロット氏に直撃インタビュー

Aurisonicsと何が変わったのか?
インタビュー・構成:井田有一/小澤 麻実
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
名門楽器ブランド「Fender」初のイヤホンが、本日6月16日からついに発売開始となった。第一弾ラインナップは、ダイナミックドライバー1基とBAドライバー2基(高域)を組み合わせた「FXA7」など5モデル。いずれもFenderの技術や思想をベースにAurisonicsのノウハウを投入して製作されたものだ。いわば、FenderというバンドにAurisonicsというミュージシャンが加わって一緒に音楽をやり始めたようなものと言えるだろう。今回、FenderのJim Ninesling氏、そして元Aurisonicsの創設者で、現在はFenderのイヤホンを手掛けるDale Lott氏にインタビュー。「なぜFenderがイヤホンを出すのか?」「Aurisonics時代のイヤホンとは何が変わったのか?」などについて直撃した。

フェンダーのオーディオ事業部 ヴァイスプレジデント Jim Ninesling氏(右)、Aurisonicsの創始者であり、Fenderに合流したDale Lott氏(左)

―― 楽器メーカーとして有名なFenderブランドがイヤホンに参入するというニュースは、日本のファンにも大きな驚きと期待をもって受けとめられました。何故参入を決めたのでしょうか?

ジム氏:Fenderサウンドはロックンロールの基礎を築きました。創始者レオ・フェンダーがデザインしたギターやアンプがあったからこそ、ロックンロールが生まれたと言えるでしょう。バディ・ホリーはテレキャスターを使い、ボブ・ディランが1965年ニューポート・フォーク・フェスでの歴史的なステージで用いたギターはストラトキャスターでした。ジミ・ヘンドリックスはモンタレーでストラトを燃やしましたし、ビートルズ、ラモーンズ、スティーヴィー・レイ・ボーン、ニルヴァーナ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズなど、各世代のミュージシャンに愛用されてきました。Fenderはギター・ベース・アンプなど、ミュージシャンがベストなパフォーマンスを発揮する手助けをする製品を提供し続けてきたのです。そういった意味で、今回このイヤホンを手掛けたことは非常に自然な流れでした。


一方で、Fender製である以上、だれも真似できない、だれもやっていないベストな音と装着感を兼ね備えたイヤーモニターを作りたいと考えていました。パフォーマンス、クリエイティブ、エクスペリエンスの3つのカテゴリーに相応しく、Fenderにしかできない革新性も備えた製品を世に送り出したいと考えたのです。

―― そして2015年にAurisonicsを買収し、その技術をあわせて製品開発を行ったのですね。デールさんに質問です。Fenderブランドに合流したのは、どんな考えからだったのでしょう?

デール氏:Aurisonicsは日本ではコンシューマー向け製品だけでしたが、アメリカではプロミュージシャン向けモデルも用意していました。昨年10月にFenderから連絡がありまして、そのときに色々考えるところはあったのですが、Fenderという数々の著名ミュージシャンに製品提供しているブランドと協業することに対して「NO」と言う理由はありませんでした。


―― Fenderブランドになったことで、製品づくりがこれまでと変わったところはあるのでしょうか?

デール氏:Aurisonicsの技術とFenderの技術を合わせることで、より高いレベルでのものづくりができるようになりましたね。たとえばAurisonicsのイヤホンは3Dプリンターを使った精密なハウジングを特徴のひとつにしていましたが、こちらにFenderの生産管理/技術のノウハウを活用することで、より沢山の製品を作れるようになりました。外観の塗装も、Fenderのギター塗装を踏襲した美しい仕上がりです。

しかし、ナッシュビルの工場から「Made in USA」のものづくりをしている点はこれまでと変わりません。機械を使わずひとつひとつ手で作られています。全く接着材を使わず組み立てているので、修理もしやすいですし仕上がりもきれいになります。出荷の際も、ひとつひとつ目視と試聴でチェックし、私が意図した性能でみなさんにお届けできるようにしています。確認は3回ずつ行っているので、品質管理は万全です。シリアルナンバーも入っていますので、「お客様専用イヤホン」という雰囲気をより味わっていただけると思います。

製品はナッシュビルの工場で、手作業で丁寧に作られている


出荷前には測定検査や、目視・試聴でのチェックもしっかりと行っているという
新モデルの鍵となる「ポート」の詳細とは?

―― 今回ラインナップされる5モデルについて教えてください。

次ページ3Dプリンター製造だからできる「ポート」が音を決める

1 2 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 レコードの音楽を読み取って光るターンテーブル。オーディオテクニカ「Hotaru」一般販売スタート
2 ダイソンとPORTERがコラボした特別デザインのヘッドホンとショルダーバッグ。全世界380セット限定販売
3 LUMINの進化は終わらない。初のディスクリートDAC搭載「X2」の思想を開発担当者に訊く!
4 Spotif、2025年に最も聴かれた邦楽は「ライラック」。国内外で最も聴かれた楽曲・アーティストの年間ランキング発表
5 DUNU、7ドライバー/トライブリッド構成を採用したイヤホン「DN 142」
6 カセットテープとともに過ごすカフェ「CASSE」。12/17渋谷でグランドオープン
7 Vento、3次元特殊メッシュを採用したハイブリッド拡散パネル「DAP180 / DAP120」
8 AVIOT、最大120時間再生と小型軽量を両立したオンイヤー型Bluetoothヘッドホン「WA-G1」
9 サンワサプライ、省スペース設置できる木製キャビネットのサウンドバー「400-SP120」
10 アイレックス、ALBEDO/AUDIAブランド製品の価格改定を発表。2026年1月1日より
12/5 10:47 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX