HOME > インタビュー > 遂に発売!Fenderイヤホンの詳細をデール・ロット氏に直撃インタビュー

Aurisonicsと何が変わったのか?

遂に発売!Fenderイヤホンの詳細をデール・ロット氏に直撃インタビュー

公開日 2016/06/16 11:50 インタビュー・構成:井田有一/小澤 麻実
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE


デール氏:「FXA7」「FXA6」がダイナミックとBAのハイブリッドモデル、「FXA5」がBA2つ、「FXA2」と「FXA1」がダイナミック1つというラインナップになります。

―― 「FXA1」は、デールさんが手掛けるモデルとしては初の低価格帯モデルですね。こちらをラインナップしたのはどんな考えからだったのでしょうか?

カスタムメイドの8.5mmチタン製マイクロドライバー1基を搭載した入門機「FXA1」(実売12,000円前後)

「FXA2」(実売24,800円前後)も、9.25mmのレアアース採用ダイナミックドライバーを1基搭載するモデルだ

デール氏:日本市場にはないのですが、アメリカではFenderのギターは100ドル程度から販売しています。Fenderは楽器を始めたばかりの初心者からプロまで、さまざまなレベルのミュージシャンをサポートするものづくりがポリシーにあります。そういった理由から「FXA1」を作りました。このクラスで3Dプリンター製ハウジングは採用できませんが、他のモデルと同じくナッシュビルの工場で作っていますし、カスタムのチタン製マイクロドライバーも使ってきちんと私がチューニングを行なっていますので安心してください。

―― Aurisonics時代にはBAドライバー2基という組み合わせのモデルはありませんでしたが、今回は高域と低域用に1基ずつ搭載する「FXA5」が登場しましたね。

「FXA5」(実売37,800円前後)。2基(高域+低域)のBAドライバーを搭載する

デール氏:BAの音が非常に良いということが分かったため、今回挑戦してみました。BAドライバーを2つ使うことで、非常にナチュラルで、他ブランドのイヤホンでは聴けないような音ができたと思います。革新性を掲げるFenderブランドの製品としても、チャレンジした価値が十分にあったと思っています。

―― そして上位モデルとなる「FXA7」「FXA6」に搭載されたハイブリッドの技術は、Aurisonicsがアメリカで特許も取っているとのことですが?

今回のラインナップの最上位機となる「FXA7」(実売62,800円前後)。ダイナミックドライバー1基とBAドライバー2基(高域)を組み合わせたモデル。内部にはネットワークを使用せず、ドライバーの配置や筐体の設計で工夫。これによりクロスオーバーを発生させない仕組みとしている

「FXA6」(実売49,800円前後)。ダイナミックドライバー1基と BAドライバー1基(高域)を組み合わせ。こちらもネットワークは一切使っていない。

デール氏:ええ。実は市場に出ている全てのBA/ダイナミックハイブリッドイヤホンは私の特許に引っかかる…というくらい基本中の基本の技術なんです。

―― その詳細について、もう少し教えていただけませんか。

デール氏:ダイナミックドライバーとBAドライバーを組み合わせ、ネットワーク不要できちんと鳴らせることがいちばん大きな特徴です。なのでまずドライバーの選択が非常に重要になります。低音を出す方法が異なるダイナミックとBAでドライバーをどう組み合わせるか。BA2基の場合は、最適な組み合わせ方をどうするか ― これは非常に難しいポイントです。

そして、ダイナミックとBAのいいところを活かせるよう、各ドライバーの配置も重要です。スピーカーならキャビネットの容積も大きくてドライバー同士の距離もとれるため、定位は簡単にとれるのですが、イヤホンの場合は容積が取れず、しかも耳元で鳴るので、ドライバーのポジショニングは非常に難しくなります。

―― 一方、外観のデザインはAurisonicsからそのまま引き継いでいるように見えます。

デール氏:本体の形状はAurisonics時代から私の理想型なので変化はありません。しかし、内部構造は更なる進化を遂げています。3Dプリンターで作ることで、各モデルに最適化した内部構造にすることができるのです。さらに今回は「ポート」を巧く使うことで音づくりをしています。モデルごとにポートを変えることでチューニングを施していることが、非常に重要なポイントです。

今回のモデルでは「ポート」(写真中央、メッシュの部分)が音のチューニングに大きな役割を果たしているという

―― なるほど……その「ポート」とは、いったいどのようなものなのでしょう?

デール氏:バスドラムの帯域のために、「Groove-tunedポート」を設けています。このポートがあることで、より正確な音再生を実現し、音楽を聴く楽しみを広げられるのです。このポートは、各モデルごとに形状やダンパーの材質が違うのですが……詳細は秘密です(笑) 完成までには数百回トライアンドエラーを繰り返しました。

―― それと、各モデルに最適化した内部構造、というのも気になります。

デール氏:お話ししたようにドライバーのポジショニングが大事な要素のひとつになるので、その設置場所を、3Dプリンターを使ってきちんと作ることも重要になります。これにより、私が意図する音を出すことができるのです。Fenderのギターにも言えることですが、シェルの形状ひとつで音は当然変わってきます。これからも3Dプリンターを使ったハウジングづくりの技術をさらに進化させていきたいですね。

―― 既にアメリカでは発売がスタートしていますが、反響はいかがでしょう。

ジム氏:Fenderのギターユーザーである多くのミュージシャンの方々がレコーディング等で使ってくださり「非常に良い」「長時間使っても疲れにくい」というコメントをいただいています。

―― 今後FenderブランドのイヤホンでカスタムIEMをリリースするお考えはありますか?


デール氏:Fenderのギターには、カスタムオーダーを請け負う「Custom Shop」というシリーズがあります。ユーザーの希望に沿った製品づくりをするのはFenderの思想にもあるのです。なので、将来的にはカスタムIEMもぜひ手掛けたいですね。お客様の要望に応えて音のチューニングをする…というところまでやっていければと思っています。

―― 今後の展開も含め、Fenderのイヤホンを楽しみにしています。有り難うございました。

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: