ハイエンドからネットワークオーディオまで何でも相談できる

【専門店探訪】70年以上鹿児島のオーディオを支える。中古や修理もサポートする老舗専門店・馬場電機

公開日 2026/07/23 06:30 出水 哲
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鹿児島一番の繁華街、天文館(てんもんかん)。路面電車の「天文館通」停留場を挟んでほぼ南北に伸びる「天文館本通り」を中心に複数のアーケードが交差し、あたかもひとつのショッピングモールのような町並みが構築されている。

鹿児島・馬場電機の外観

そんな天文館アーケード街には、飲食店や映画館、お土産店から生活雑貨まで様々な店舗が並び、雨天はもちろん、鹿児島名物ともいえる桜島の火山灰が降っても気にせず買い物を楽しむことができる。そのメインアーケードから「天神おつきやぴらもーる」に右折して数分の場所に、今回お邪魔した馬場電機(ババデンキ 天文館オーディオ)がある。

馬場電機はビルの2Fに店舗を構えている。広いフロアにはいくつもラックが設置され、目的や価格ゾーンに応じて機材が分類、設置されている。エレベーターを降りた前にはネットワーク関連の小型モデルが並ぶ 

70年にわたって、鹿児島のオーディオを支えてきた

同店は、昭和23年(1948年)に「馬場ラジオ」として鹿児島で創業、以来70年以上の長きにわたって鹿児島の家電・オーディオを支えてきた、まさに老舗オーディオショップだ。実は記者も1980年代に同店にお邪魔していたことがあり、店頭に並んだコンポやレーザーディスクプレーヤーを憧れの眼差しで眺めていたことを覚えている。

そんな馬場電機は、ハイエンド機器を常時試聴できるスペースを備えた、鹿児島では数少ないオーディオショップだ。一昨年に店内をリニューアル、お客様のニーズや予算に応じた提案ができるよう、様々な機器がエリアを分けて並べられている。

メイン試聴室のドアを入った右側には、世界中のハイエンドオーディオスピーカーがずらりと並んでいて、これらの試聴もできる

例えばエレベーターを降りた正面には比較的お手軽にネットワークオーディオ再生が楽しめる機器が展示され、隣のラックはアナログレコードなどを含めた単品コンポといった具合だ。

その先にはふたつの試聴室が並び、右側の部屋の正面にはJBL、タンノイ、B&W、TADなどのスピーカーが並んでいる。これらと、アキュフェーズ、ラックスマン、エソテリックといった機器を組み合わせた体験ができるのは本当に貴重。

馬場電機ではアキュフェーズを始めとする国内外のハイエンドオーディオ製品も取り扱っており、これらの機器を常設展示している。それもあって県内外のお客様から気になる製品について問い合わせをもらうことも多いという。

再生用にはエソテリックやアキュフェーズ、ラックスマンといった音のよさに定評のあるブランドが揃えられている。ハイレゾ、CD、レコードも試聴可能だ

中古オーディオ機器も揃える

さらに部屋の反対側には、フォステクス、クアドラル、フォーカルなどのブックシェルフ/トールボーイスピーカーが設置され、これらでYouTubeなどのストリーミングの音も体験できる。最近は配信コンテンツで試聴したいというお客様も増えているので、そういった声に応えるためにこのシステムを組んでいるそうだ。

試聴室の左側にはブックシェルフスピーカーを中心にしたシステムが設置されている。こちらは音楽ストリーミングやYouTubeを聴きたいといった、若い世代のニーズにも応えられるように準備したとのこと

左側は、ビンテージ機器の試聴&修理用の部屋とのこと。馬場電機では中古オーディオ機器の買取・修理・販売も手掛けていて、こちらもお客様から好評なのだそうだ。実際、取材直前にもJBL「4344MK2」の下取り品が入ってきたが、すぐに売れてしまったとのことだった。その意味では馬場電機は、新品からセカンドユースまで、一連のオーディオ文化を支えているといっても過言ではない。

中古スピーカーのラインナップも、ブックシェルフからトールボーイ型まで豊富に揃っている。馬場電機ではユニットの修理もできるそうで、どれも状態はとてもよかった

さて、そんな馬場電機でオーディオコーナーを担当しているのは、河野芳史さん、野添茂樹さん、今給黎(いまきいれ)聡さん、池田隆広さんという面々。河野さんは40年以上、他の皆さんも数十年にわたって馬場電機に勤務し、もちろんプライベートでもオーディオに親しんでいる、根っからの音楽ファン。

そんな皆さんに、最近の鹿児島のオーディオの状況を伺ってみた。すると今給黎さんから、「地道に頑張ってきたというのも何ですが、最近はハイエンドのオーディオを専門に取り扱っているお店も近郊ではうちくらいになってしまいました。それで、最近は熊本の八代や鳥栖からもお客様に来ていただけます」との返事があった。

オーディオコンポーネントだけでなく、ケーブルやインシュレーターといったアクセサリー類も豊富に準備されている

数十年通う熱心なオーディオファンも

地元のお客様とのつながりについては、「1970〜80年代のオーディオブームの頃からずっとおいでになっている、熱心なオーディオファンのお客様もいらっしゃいます。他にも、スピーカーを何セットも持っている方も結構いますね。広い部屋の片方にビジュアル機器を、反対側にスピーカーを置いてといった形です」(今給黎さん)とのこと。

そんな人達にとっても、30〜40年という長い期間にわたって相談に応じてくれるお店や販売員さんがいてくれるのは、本当に心強いだろう。また最近はレコードブームということもあって、若い世代からの相談も増えているという。

中古品の展示や修理を行う試聴室は、初めて来店したお客様も気になって覗いていくことが多いそうです。珍しいところでは、有田焼のエンクロージャーを使ったスピーカーも並ぶ

「特に若い人たちから、プレーヤーを買ったはいいけど、どうやって音を出したらいいかという問い合わせもあります(笑)。この前も若い女性のお客様で、プレーヤーをネット通販で買ったけど、使い方がわからないという相談がありました」(今給黎さん)

「他にも、ご両親が聴いていたアイドルや歌謡曲のレコードがあるから、それを再生したいという人もいらっしゃいます。また最近は、J-POPアーティストもレコードを出してるじゃないですか。そんなレコードを買って飾っているけど、音を鳴らしてみたいといった気持ちもあるようです」(池田さん)

機材のセッティングだけでも相談可能

そうなるとレコードプレーヤーの設置・調整でお客様のお宅に足を運ぶ必要もあるはず。馬場電機で買った製品でなくても、そこまで対応してくれるのだろうか?

「せっかく相談に来てくれたんだから、設置だけでもお手伝いはさせてもらってます。もちろん設置費用はいただきますけど、鹿児島は義理堅い人が多いし、お付き合いが始まればその後は色々ご提案できますし」(今給黎さん)

取材時には、マイクロのレコードプレーヤー「MR-611」が持ち込まれており、その動作確認も行っていた。50年以上前の製品ながら、回転も安定している良品だそう 

「先程の女性のご自宅にお伺いしたら、レコードプレーヤーを箱から出して、そのまま置いてありました。どうつないだらいいかもわからなかったそうなんです」(池田さん)

では、鹿児島のオーディオファンには、どんなジャンルの音楽が人気なのだろうか?

「そこは昔からあまり変わってないでしょうね。ジャズやクラシックを好きな人はいますし、昭和時代の歌謡曲を聴きたいという人も多いです。若い頃の松田聖子はこんな声じゃなかったから、あの頃の声で聴きたいという人もいます。自分のイメージを追求するのがオーディオの楽しみですから、それはそれでいいと思うんです」(今給黎さん)

デノン、マランツ、JBLといったブランドのフルサイズコンポが並んだラック

真空管アンプのラインナップも豊富

近所の中古レコードショップも充実

ちなみに馬場電機ではレコード盤は扱っていないようだが、若い人たちはどこでレコードを探しているのだろうか。

その点について聞いてみると、「ここから歩いて数分のところに、モッキンバードさんという昔からやっている中古レコード屋さんがあるんです。品揃えもすばらしいので、レコードを探している方にはそちらをご案内しています。逆にモッキンバードさんでレコードを買った方がプレーヤーを探しにうちに来てくれることもあって、お互いに紹介し合っている感じです」と今給黎さん。

馬場電機から徒歩3分ほどの場所にある中古レコードショップ「モッキンバード」

モッキンバードも鹿児島では歴史のある中古レコード店で、邦楽、洋楽、ビジュアルソフトなど様々なジャンルを揃える

モッキンバードは記者も数回訪ねたことがあるお店で、確かに品揃えもいい。ディスク(ソフト)とプレーヤー(ハード)のそれぞれのプロに徒歩数分で会えるという環境があるというのも、鹿児島ならではかもしれない。

ネットワークオーディオ機器も人気

さらに馬場電機では、最近はネットワークオーディオ機器も動きがいいそうだ。

「昨年の秋に、ネットワークオーディオを中心にした試聴会を開催したんです。そしたら昨年の暮れくらいから、20万〜50万円クラスがぼちぼち動き出して、今年になってハイエンド機器にも注文をいただいています。

ネットワークスイッチやLANケーブルについてわれわれも勉強をして、具体的なアドバイスもできるようになってきました。特に製品のレスポンスは、実際に音を聴く時にすごく重要なんだけど、こればっかりは使ってみないとわかりません。そのあたりも自分たちで確認するようにしています」(今給黎さん)

ネットワークストリーマーに関しては、高級DAコンバーターを使っているお客様から導入を検討しているという相談があり、エントリー価格帯と、中堅モデルを持って行って聴き比べをしたこともあるそうだ。そこでも音質に差があることが確認でき、お客様もびっくりしたという。

「わからんことは気軽に聞いてください」

ここまで親身になってくれれば、確かに末永くおつきあいをしたくなるだろう。そんなお客様とのお付き合いで、印象に残っていることを聞いてみた。

「最近の事ですが、タンノイの『Berkeley』についての相談があったんです。義理のお父様が使っていたけど、もう一度鳴らせますかというお話でした。実物を見たら初代のアルニコバージョンでしたから、絶対直した方がいいですと説明して、修理してもらいました。ちょうど弊社の中古品で300Bの真空管アンプがありますので、これを持って行って、どんな音になるか体験してもらおうかなと考えています。そういう出会いがあると、こっちもわくわくしますね」(今給黎さん)

そんな言葉からも、馬場電機の皆さんがいかに“ユーザーファースト”の姿勢を貫いているかが伝わってくる。しかもみんなオーディオ“同好の士”なのだから、気になることを質問すれば、親身になって答えてくれるはずだ。もちろん2チャンネルだけでなく、大画面ホームシアターの施工についての知見もあり、現在もビクターのプロジェクターとJBL「S4700」を核にしたサラウンドシアターの施工をお手伝いしているそうだ。

「わからん(わからない)ことは、気軽に聞いていただきたいですね。ぜひ、お店に来て我々に声をかけてください」(今給黎さん)とのことなので、南日本エリアでオーディオに悩んでいる方は、馬場電機まで足を運んでいただきたい。

馬場電機でオーディオファンを支えている皆さん

左から河野芳史さん、今給黎 聡さん、池田隆広さん、野添茂樹さん

営業部長 ハイエンドオーディオ 河野芳史さん
河野さんは、40〜50年にわたって真空管アンプを愛用してきた、オーディオの先達。ご自宅ではタンノイ「Canterbury」とJBL「4343」のふたつのスピーカーを使い分けているそうで、よく聴く音楽はクラシックやジャズ、たまにロック。「ソースはやっぱレコードが一番いいですね。」とのコメントも。

オーディオコーナー 今給黎 聡さん
今給黎さんは、「オーディオはケーブルを1本変えても音が変化する。そこが面白くて、若い頃は形状の違うスピーカーケーブルを聴き比べることにハマっていました」と逸話を語ってくれた。自宅では、セレッション「SL700」をUESUGIのプリ&アキュフェーズのパワーアンプでドライブしており、ケンブリッジオーディオ「CXN」でストリーミングを楽しんでいるそうです。

外商部 主任 池田隆広さん
高校生の時にGLAYやL'Arc〜en〜Cielを聴き、自分でもギターを弾き始めた池田さん。「もともとは演奏する側だったんですが、馬場電機に入ってから少しずつオーディオにはまっていった感じです」。昨年、トーレンスのアナログプレーヤーを手に入れてからは、レコードの深みがある、ウォームな音に夢中だそうです。

オーディオコーナー 野添茂樹さん
野添さんがオーディオにハマったきっかけは学生時代に登場したCDで、そこからラインケーブルやスピーカーケーブルを変えて音の変化を楽しんだり、スピーカーの下にインシュレーターを置くなどのチューニングに目覚めていったとか。現在はB&Wのスピーカー「702」で、J-POPや70〜80年代アイドルのハイレゾ音源を中心に堪能中。

馬場電機 店舗情報

株式会社 馬場電機 ババデンキ 天文館オーディオ
鹿児島市中町3-5 ババデンキビル 2F Tel 099(813)7707
https://babadenki.com/audio/

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