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モビリティでのカラオケの楽しみ方も提案

これが未来のカラオケ!? トヨタ・ウーブン・シティでDAM「選曲レスカラオケ」に触れた

公開日 2026/04/29 06:30 出水 哲
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新しい発明が生まれるウーブン・シティ

テレビCMなどでその名を耳にしたこともある方も多いであろう、「Toyota Woven City(トヨタ・ウーブン・シティ)」。

トヨタ自動車株式会社およびウーブン・バイ・トヨタ株式会社が静岡県裾野市で開発を進めるモビリティのテストコースの街であり、ウィーバーと呼ばれる住人やビジターが、インベンター(発明家・開発者)が提供するモノやサービスを実際に試すことのできる実証実験の街としても注目を集めている。

「Toyota Woven City Inventor Garage」は、東富士工場の建屋をリノベーションした施設で、高い天井と広がりのある空間が特長。

そこでは、2025年9月に実証が始まったPhase 1エリア(現在約50世帯が生活している)に加えて、新たな施設となる「Toyota Woven City Inventor Garage(Inventor Garage)」が稼働を開始する。

今回はInventor Garageで開催された招待制イベント「KAKEZAN2026」に編集部記者が参加。開発中の技術や、各インベンターが取り組んでいる実証実験の展示を拝見してきた。

今回の「KAKEZAN 2026」では、選ばれたインベンターが様々な興味深い提案を展示していた

Inventor Garageは、トヨタ東富士工場の建屋をリノベーションしたスペースで、今回は建物内を「Introduction」「Woven by Toyota Technologies」「Woven City Inventors」「Others」という4つのエリアに分けて、様々な展示・発表が行われていた。

トヨタの社祖である豊田佐吉さんが1890年に開発した「豊田式木製人力織機」のレプリカも展示。完動品で、実際に織物体験も可能だった

第一興商は、「選曲レスカラオケ」と「モビリティカラオケ」を展示

今回はその中から、「Woven City Inventors」(ウーブン・シティが提供する技術や設備、サービスを伝え、実証の状況などを展示する)のひとつ、第一興商の取り組みを紹介したい。

第一興商については読者諸氏もご存知だろう。LD(レーザーディスク)の時代からカラオケを通じて歌唱文化を振興してきたリーディングカンパニーだ(ブランドはDAM)。そのカラオケは、今では世代や立場を超えて楽しめるエンタテインメントとして、日本はもとより世界中で人気を博している。

同社ではこの状況を踏まえて「選曲レスカラオケ」を提案、ウーブン・シティでの実証実験をスタートする。その名の通りデンモク等の端末を置かないカラオケサービスで、実際にウィーバーの方々に使ってもらい、サービスの基盤となるプレイリストを自動生成するための知見を蓄積するという。

中央が現在のフラッグシップモデル「LIVE DAM WAO!」。内部には大容量HDDを搭載しており、通信経由で楽曲や映像のデータをダウンロード保存する仕組み。そのネットワークは専用回線でセキュリティ面にも配慮されている

カラオケルームに入ったら、お薦めの曲が自動的に流れる!?

Woven City Inventorsの会場で説明を担当していた、第一興商 執行役員 エンターテインメント事業本部 副本部長 兼 宣伝部長 門野坂 功さんに「選曲レスカラオケ」の仕組みと狙いを伺った。

「今のカラオケルームでは、デンモク(リモコン)で歌いたい曲を探していますが、『選曲レスカラオケ』は部屋に入った瞬間に自分にあった曲が流れるようなイメージで、その人専用のプレイリストをAIで自動生成する仕組みを作りたいと思っています。そのために、どういう情報を取れば最適なプレイリストを作れるかを、ウィーバーの皆さんを対象に実証実験させていただきます。

DAMのカラオケには、『フェイサーチ』といって顔の写真を撮って性別や年齢、そのときの感情を自動判断して曲をレコメンドする機能があります。これをもっと進化させて、例えば生活行動だったり、どんな楽曲が好きなのかなど、色々な情報をいただいてその人にあったプレイリストを自動生成する仕組みを作れたら、どのお客様も楽しく歌えるサービスを提供できるんじゃないかという狙いです」(門野坂さん)

デンモク(リモコン)の「Smart DAM WAO!」には、顔を撮影して年齢や性別、感情などを自動判別、お薦めの楽曲リストを提示する機能も備えている

ウーブン・シティだからこそ、精緻なデータを収集できる

カラオケルームに入ったら、自分が歌いたい曲のリストが自動的に表示される、確かにそんなことができたらびっくりするし、とても嬉しい。でも、そこまでの個人カスタマイズが簡単にできるものなのだろうか。

「どこかのお店で実証実験をやろうとしても、どうしてもスポット的になりますし、お客様ともその時限りになってしまうのですが、ウーブン・シティだと長期的に色々なやり取りができるので、精緻なデータが取れるというメリットがあります。

ウーブン・シティの中にカラオケ施設を作りますので、そこで実際に体験してもらい、プレイリスト作成に有効な情報って何だろうというのを模索しながら情報収集を始めていきたいと思います。顔を登録するか、あるいはIDと紐付けるといった形で個人認識を行えば、お薦めプレイリストだけでなく、歌唱の際のキーを下げるといったことも対応できるでしょう。

カラオケに行った時、最初に何を歌おうかと悩む人も多いと思います。そこについても、席に座ったらお気に入りの曲が流れてきて、どんどん歌ってもらうのが理想です」(門野坂さん)

新しい“カラオケの形”が生まれる

ここまでは通常のカラオケルームの進化についてだったが、第一興商ではその他の展開も考えている。

「もう1つが、『モビリティカラオケ』です。車の中ってプライベートなスペースですよね。そこで人目を気にせず自由に歌うっていうのはありでしょうし、カラオケと車って親和性が高いと思うんです。

もちろん安全性には配慮しないといけなのでなるべく音声操作にするとか、テロップとか文字情報も運転中に見るわけにいかないので、歌詞も音声で先読みして案内するといったことが考えられます。

またカラオケは健康にいいということで、多くの高齢者施設に導入していただいています。歌詞を目で追って、声に出して歌うことは脳の活性化にも、口腔機能にもいいんです。

世代も問いませんので、おじいちゃんやおばあちゃんからお孫さんまで一緒に楽しんでいただけます。新しいカラオケシステムをそういった風に活用してもらい、ストレス解消につながれば、1番いいですね」(門野坂さん)

カラオケの新しい楽しみ方として「モビリティカラオケ」も提案。安全性に配慮するために、どんな操作方法や音響設備がベストなのかも探っていくそうです

カラオケを日常的に利用している人は、ひじょうに多いだろう。そのカラオケを楽しむ際に、今まで当たり前に感じていた手間がなくなったら、もっと楽しくなるだろうし、新しい使い方も生まれてくるかもしれない。

「選曲レスカラオケ」は、「KAKEZAN2026」の来場者アンケートでも“推しプロジェクト”として高い評価を受けているそうだ。ウーブン・シティ発の新提案として、多くの店舗に登場する日を楽しみにしたい。

「選曲レスカラオケ」の開発を担当している、第一興商 開発本部 コンシューマ事業部 応用技術課 課長 執行里恵さんにもお話を伺った

ニュースなどでもしばしば紹介されている「自動輸送ロボット」の最新バージョン。センサーが3Dタイプに進化したことで、これまで以上に障害物や歩行者を正確に認識できるようになったとか

株式会社ジェイテクトでは、音声ARアプリの提案を行っていた。ジャイロセンサーを内蔵したヘッドホン(市販品のままでOK)で装着者の位置や向きを識別し、対象物の説明などをより的確に行おうという提案だ

「豊田章男AI」は、直近10年ほどの豊田社長の発言データ(言葉や書籍など)を学習したもの。マイクや電話で質問を投げかけると、本人に代わって答えてくれる

PMV(パーソナル・モビリティ・ビーグル)の「Swake」も展示。3輪タイプなので安定性も高く、観光地などの狭い道でも快適に走れるそうだ。フル充電で30kmほどの走行が可能で、耐荷重は100kgほどとのこと。ライドシェアや個人使用などの使い方はこれから検討するとか

ダイドードリンコは、「“魅せる”自販機」(右)を提案。設置場所に合わせて真っ白な本体にイラストや写真をプリントできるもので、商品の選択や購入はアプリ(Bluetoothで接続)で行う。ライブ会場などでアーティストの顔を大きく描くといった使い方を想定しているようだ

ウーブン・シティの立体模型。写真手前、三角形の部分がPhase1エリアで、ここに実証実験に参加する住人が暮らしている。今回稼働する「Inventor Garage」は写真右上の建物になる

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