<TIAS>エソテリック「Grandioso N1」やクリプシュ「Jubilee」、5000万円級のdCS「Varese」システムなど大型アイテムが多数
10月17日(金)から10月19日(日)までの3日間、国内最大級のハイエンド・オーディオの祭典「2025東京インターナショナルオーディオショウ」が、東京国際フォーラムにて開催されている。本稿では、エソテリック(ティアック)やリンジャパン、ヤマハ、アイレックスなどガラス棟6Fの出展模様を紹介する。
エソテリック一体型ネットワークプレーヤー「Grandioso N1」、クリプシュ「Jubilee」に熱視線
今年のエソテリックブースには注目の新製品が多数登場。その中心となるのが、10月1日に発売となった「Grandioso N1」(税込396万円)。今年2月発売のネットワークトランスポート「Grandioso N1T」(税込287万円)のネットワークエンジンを踏襲しつつ、自社設計のディスクリートDAC「Master Sound Discrete DAC G2」も内蔵した一体型ネットワークプレーヤー/DACが、大きくクローズアップされた。
もうひとつ大きなトピックが、Klipsch(クリプシュ)“Heritageシリーズ” スピーカーの最上位モデル「Jubilee(ジュビリー)」(約990万円/ペア)のお披露目。創業者ポール W. クリプシュ氏が最後にデザインした弩級のスピーカーがついに国内に上陸するとあってか非常に注目度が高く、本モデルを用いた17日の講演は室内が満杯となった。
新開発の7インチ(約178mm)チタンダイアフラム・コンプレッションドライバーと12インチ(約305mm)の繊維複合コーン・ウーファーによる2Way設計で、別筐体のアクティブ・クロスオーバーによりタイム・アライメントと位相を厳密にコントロールしている。
7インチという大口径のコンプレッションドライバーは、これ1基で20kHzまでの広帯域をカバーする。その秘密のひとつは振動板形状にあり、ドーナツ状の振動板の表面に幾何学的な凹凸パターンをつけることで、共鳴や歪みを大幅に低減しているのだとか。
このほかクリプシュからは、Jubileeとともに発表されたHeritageシリーズの中位モデル「La Scala AL6(ラ・スカーラ)」(約187万円/1台)や、11月から受注開始となる「Cornwall IV(コーンウォール4)」の新カラー “アメリカン・オーバーン” の実機も展示された。


スリムでも強力、リンのパワーアンプ「KLIMAX SOLO 500」がデモ
リンは今年もG603/G604の2部屋を使い、それぞれ異なるシステムを設置。G603ではパワーアンプモジュール取り付け済みのネットワークプレーヤー「SELEKT DSM:CLASSIC Hub」(本体のみで約154万円)と3ウェイフロア型スピーカー「150」(約148万円/ペア)によるコンパクトなシステムをアピールする。
もう一方、G604の主役は今年発売のモノラルパワーアンプ「KLIMAX SOLO 500」(約1100万円/ペア)。最上位モノパワー「KLIMAX SOLO 800」(約1540万円/ペア)に投入した最新技術を受け継ぎながらも、高さをほぼ3分の1まで縮めたスリムなシェイプのモデルだ。このKLIMAX SOLO 500を使い、フラグシップスピーカー「360PWAB」(約1155万円/ペア)を駆動するデモンストレーションが行われていた。
アナログからネットワークまで、ヤマハは試聴プログラムを複数用意。Qobuzともコラボ
ヤマハブースでは、いくつかにテーマに沿った試聴プログラムを用意。プレーヤーからスピーカーまで同社のフラグシップオーディオ “5000シリーズ” で染めたヤマハ最高品質システムの試聴会に、ターンテーブル「GT-5000」(ブラック仕上げ:税込82.5万円)とブックシェルフ型スピーカー「NS-3000」(税込110万円/ペア)を軸とするアナログ再生、独自振動板 “ハーモニアスダイアフラム” で音色を統一したフロア型スピーカー「NS-2000A」(税込44万円/1台)とHDMI入力対応のネットワークレシーバー「R-N2000A」(税込42.9万円)によるネットワーク再生などが体験できる。
また上述のネットワーク再生システムを使用して、高音質ストリーミング/ダウンロードプラットフォームQobuz(コバズ)とのコラボレーション・プログラムも展開。現在Qobuzが提供しているサービス内容をアピールしつつ、実際にQobuzで配信中の音源の再生や、オーディオ機器とシームレスに連携できるQobuz Connect機能をデモンストレーションした。
Piega “PremiumGen2シリーズ” は上品な特別カラーも並ぶ
フューレンコーディネートブースのイチオシは、Piega(ピエガ)ブランドのミドルクラススピーカー “PremiumGen2シリーズ” 。3Wayフロア型の「Premium 701 Gen2」(約137万円〜/ペア)と2Wayブックシェルフ型「Premium 301 Gen2」(約60万円〜/ペア)をラインナップしており、どちらも新開発のリボントゥイーターユニットが特徴。梨地仕上げの特別カラーモデル “Excellence LTD” も展示され、その上品な質感を間近で確認することができる。
試聴システムには、同じくPiegaの3Wayフロア型「Coax 811」(約528万円〜/ペア)も使われたほか、クラスA+クラスD増幅回路のあわせ技で小さくともパワフルな出力を実現したNuPrime(ニュープライム)のパワーアンプ「AMG-STA-SE」(税込49.5万円)にも焦点が当てられた。
Reed初の光カートリッジ登場。ALBEDOの目を見張るほどの低音も響く
アイレックスでは、リトアニア Reed(リード)ブランドの光カートリッジ「Reed SF」(税込220万円)および電源別体の光フォノイコライザー「Reed EQ-PS」(税込715万円)のデモンストレーションを敢行。Reed SFは同ブランド初の光カートリッジであることはもちろん、DS Audio以外のブランドから新しく登場する初の光カートリッジでもある。
針先の動きを光の明暗によって伝達する方式のため、磁気抵抗や質量の影響を受けにくく、針先がスムーズに動くのが光カートリッジの利点。Reed SFではその利点を最大限に活かすべく、心臓部の素材に軽量で音響的なクセが少ないHDフェノール樹脂を採用し、サファイアカンチレバーも組み合わせている。
また、デモンストレーションには伊スピーカーブランドALBEDO(アルベド)のフロアスピーカー「ALECTA Diamond SG」「ACHEMA」を使用。どちらもテーパードトランスミッションラインという低音増幅方式を採用し、特にALECTAは2つのトランスミッションラインを対象配置する「ミラード ツイン トランスミッションライン」を搭載。部屋中に重量感たっぷりの低音を轟かせ、初めて聴く来場者の度肝を抜いた。
VITAVOXのコーナーホーンが久しぶりに音を奏でる
今井商事ブースでは、今回久々の出展だという英VITAVOX(ヴァイタボックス)ブランドのコーナーホーンスピーカー「CN-191」を再生。現在の仕様では、オリジナル図面に基づく木製ホーンと、アルニコ・マグネットのウーファーを搭載しており、完全受注生産にてペア約1700万円(設置費用除く)で取り扱っているそう。
トランスポートが加わって5000万円台に。dCS「Varese」システムのプレミアム・デモ
太陽インターナショナルブースの目玉は、英dCSの「Varese Music System」のデモンストレーション。コア/モノラルDAC×2/クロック/インターフェースの5筐体式D/Aコンバーターシステム「Varese(ヴァレーズ)」に、今年新たに発表された専用CDトランスポートを追加した超弩級システムで、合計価格は5000万円を上回る。
これほどのシステムを披露するからには、dCS本国スタッフも「可能な限り最良の環境で最高の音を体験してもらいたい」と徹底的にこだわり、試聴は毎日10時から配布する整理券による少人数制に。室内には理想的なリスニングポジションで聴ける人数のみ、再生中の入退室も最小限に管理された、プレミアムな時間となっている。
ネットワーク再生機能を内蔵したD/Aコンバーター「LINA DAC X」もdCSから紹介。アルミ削り出しのシャーシ内では、なんと1枚の基板を折り曲げて立体的な配置がされており、これによって伝送経路を最適化しているという。価格は約233万円だが、デモンストレーションでは “明らかに価格以上の音質” だとクオリティの高さに対する自信が述べられていた。


ほか、スイスのNAGRA(ナグラ)ブランドから、今年発売されたMCフォノイコライザー「COMPACT PHONO」とストリーマー「STREAMER」が紹介。どちらも外形寸法185W×41H×166Dmm、質量1.9kgのコンパクト設計で、価格も96.8万円とおそろい。しかし業務用機器などで培われたNAGRAの技術が存分に投入されており、小さくとも高音質が楽しめるとアピールされていた。
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