アナログ再生からストリーミングまで、再生ソースもバラエティ豊か

<TIAS>エソテリック「Grandioso N1」やクリプシュ「Jubilee」、5000万円級のdCS「Varese」システムなど大型アイテムが多数

公開日 2025/10/18 13:38 編集部:成藤正宣
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10月17日(金)から10月19日(日)までの3日間、国内最大級のハイエンド・オーディオの祭典「2025東京インターナショナルオーディオショウ」が、東京国際フォーラムにて開催されている。本稿では、エソテリック(ティアック)やリンジャパン、ヤマハ、アイレックスなどガラス棟6Fの出展模様を紹介する。

 

エソテリック一体型ネットワークプレーヤー「Grandioso N1」、クリプシュ「Jubilee」に熱視線

今年のエソテリックブースには注目の新製品が多数登場。その中心となるのが、10月1日に発売となった「Grandioso N1」(税込396万円)。今年2月発売のネットワークトランスポート「Grandioso N1T」(税込287万円)のネットワークエンジンを踏襲しつつ、自社設計のディスクリートDAC「Master Sound Discrete DAC G2」も内蔵した一体型ネットワークプレーヤー/DACが、大きくクローズアップされた。

「Grandioso N1」

 

12月から50台限定で受注販売が行われる、SACDプレーヤー「K-01XD SE」の“Black Edition” が実機展示。色だけでなく表面の質感も通常モデルと異なっている

もうひとつ大きなトピックが、Klipsch(クリプシュ)“Heritageシリーズ” スピーカーの最上位モデル「Jubilee(ジュビリー)」(約990万円/ペア)のお披露目。創業者ポール W. クリプシュ氏が最後にデザインした弩級のスピーカーがついに国内に上陸するとあってか非常に注目度が高く、本モデルを用いた17日の講演は室内が満杯となった。

クリプシュの「Jubilee」をメインに据えた講演に多くの人が集う

新開発の7インチ(約178mm)チタンダイアフラム・コンプレッションドライバーと12インチ(約305mm)の繊維複合コーン・ウーファーによる2Way設計で、別筐体のアクティブ・クロスオーバーによりタイム・アライメントと位相を厳密にコントロールしている。

7インチという大口径のコンプレッションドライバーは、これ1基で20kHzまでの広帯域をカバーする。その秘密のひとつは振動板形状にあり、ドーナツ状の振動板の表面に幾何学的な凹凸パターンをつけることで、共鳴や歪みを大幅に低減しているのだとか。

広帯域をカバーするドライバーユニットの秘密も語られた

このほかクリプシュからは、Jubileeとともに発表されたHeritageシリーズの中位モデル「La Scala AL6(ラ・スカーラ)」(約187万円/1台)や、11月から受注開始となる「Cornwall IV(コーンウォール4)」の新カラー “アメリカン・オーバーン” の実機も展示された。

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Jubileeと当時に取り扱いがアナウンスされた「La Scala AL6」(左)や、既存モデル「Cornwall IV」の新仕上げ “アメリカン・オーバーン” (右)も登場

 

スリムでも強力、リンのパワーアンプ「KLIMAX SOLO 500」がデモ

リンは今年もG603/G604の2部屋を使い、それぞれ異なるシステムを設置。G603ではパワーアンプモジュール取り付け済みのネットワークプレーヤー「SELEKT DSM:CLASSIC Hub」(本体のみで約154万円)と3ウェイフロア型スピーカー「150」(約148万円/ペア)によるコンパクトなシステムをアピールする。

「SELEKT DSM:CLASSIC Hub」と「150」のシステム

もう一方、G604の主役は今年発売のモノラルパワーアンプ「KLIMAX SOLO 500」(約1100万円/ペア)。最上位モノパワー「KLIMAX SOLO 800」(約1540万円/ペア)に投入した最新技術を受け継ぎながらも、高さをほぼ3分の1まで縮めたスリムなシェイプのモデルだ。このKLIMAX SOLO 500を使い、フラグシップスピーカー「360PWAB」(約1155万円/ペア)を駆動するデモンストレーションが行われていた。

最上位モデルの技術をスリムに凝縮した「KLIMAX SOLO 500」

 

「360PWAB」やアナログプレーヤー「KLIMAX LP12 SE」などを組み合わせる

 

アナログからネットワークまで、ヤマハは試聴プログラムを複数用意。Qobuzともコラボ

ヤマハブースでは、いくつかにテーマに沿った試聴プログラムを用意。プレーヤーからスピーカーまで同社のフラグシップオーディオ  “5000シリーズ” で染めたヤマハ最高品質システムの試聴会に、ターンテーブル「GT-5000」(ブラック仕上げ:税込82.5万円)とブックシェルフ型スピーカー「NS-3000」(税込110万円/ペア)を軸とするアナログ再生、独自振動板 “ハーモニアスダイアフラム” で音色を統一したフロア型スピーカー「NS-2000A」(税込44万円/1台)とHDMI入力対応のネットワークレシーバー「R-N2000A」(税込42.9万円)によるネットワーク再生などが体験できる。

ヤマハはテーマ別に試聴プログラムを用意

 

スピーカーやコンポーネントの一部を切り欠いた内部構造の展示も

また上述のネットワーク再生システムを使用して、高音質ストリーミング/ダウンロードプラットフォームQobuz(コバズ)とのコラボレーション・プログラムも展開。現在Qobuzが提供しているサービス内容をアピールしつつ、実際にQobuzで配信中の音源の再生や、オーディオ機器とシームレスに連携できるQobuz Connect機能をデモンストレーションした。

「NS-2000A」と「R-N2000A」のシステムを使い、Qobuzとのスペシャルプログラムも実施

 

Piega “PremiumGen2シリーズ” は上品な特別カラーも並ぶ

フューレンコーディネートブースのイチオシは、Piega(ピエガ)ブランドのミドルクラススピーカー “PremiumGen2シリーズ” 。3Wayフロア型の「Premium 701 Gen2」(約137万円〜/ペア)と2Wayブックシェルフ型「Premium 301 Gen2」(約60万円〜/ペア)をラインナップしており、どちらも新開発のリボントゥイーターユニットが特徴。梨地仕上げの特別カラーモデル “Excellence LTD” も展示され、その上品な質感を間近で確認することができる。

 “PremiumGen2シリーズ” のフロア型「701 Gen2」(中央)とブックシェルフ型「301 Gen2」(左)。リボントゥイーターには “Coaxシリーズ” (右)の技術が生かされている

 

色合いも質感も上品な “Excellence LTD” 仕様も展示

試聴システムには、同じくPiegaの3Wayフロア型「Coax 811」(約528万円〜/ペア)も使われたほか、クラスA+クラスD増幅回路のあわせ技で小さくともパワフルな出力を実現したNuPrime(ニュープライム)のパワーアンプ「AMG-STA-SE」(税込49.5万円)にも焦点が当てられた。

NuPrimeの「AMG-STA-SE」(中央)は、既存モデル「AMG-STA」(下段右)の基板などをアップグレードしたモデル。その違いにも注目

 

Reed初の光カートリッジ登場。ALBEDOの目を見張るほどの低音も響く

アイレックスでは、リトアニア Reed(リード)ブランドの光カートリッジ「Reed SF」(税込220万円)および電源別体の光フォノイコライザー「Reed EQ-PS」(税込715万円)のデモンストレーションを敢行。Reed SFは同ブランド初の光カートリッジであることはもちろん、DS Audio以外のブランドから新しく登場する初の光カートリッジでもある。

Reedの光カートリッジ「Reed SF」が登場

針先の動きを光の明暗によって伝達する方式のため、磁気抵抗や質量の影響を受けにくく、針先がスムーズに動くのが光カートリッジの利点。Reed SFではその利点を最大限に活かすべく、心臓部の素材に軽量で音響的なクセが少ないHDフェノール樹脂を採用し、サファイアカンチレバーも組み合わせている。

光フォノイコライザー「Reed EQ」は、電源部「Reed PS」との2筐体式

また、デモンストレーションには伊スピーカーブランドALBEDO(アルベド)のフロアスピーカー「ALECTA Diamond SG」「ACHEMA」を使用。どちらもテーパードトランスミッションラインという低音増幅方式を採用し、特にALECTAは2つのトランスミッションラインを対象配置する「ミラード ツイン トランスミッションライン」を搭載。部屋中に重量感たっぷりの低音を轟かせ、初めて聴く来場者の度肝を抜いた。

ALBEDOスピーカーのテーパードトランスミッションが生み出す低音が轟く

 

VITAVOXのコーナーホーンが久しぶりに音を奏でる

今井商事ブースでは、今回久々の出展だという英VITAVOX(ヴァイタボックス)ブランドのコーナーホーンスピーカー「CN-191」を再生。現在の仕様では、オリジナル図面に基づく木製ホーンと、アルニコ・マグネットのウーファーを搭載しており、完全受注生産にてペア約1700万円(設置費用除く)で取り扱っているそう。

コーナーホーンスピーカー「CN-191」

 

トランスポートが加わって5000万円台に。dCS「Varese」システムのプレミアム・デモ

太陽インターナショナルブースの目玉は、英dCSの「Varese Music System」のデモンストレーション。コア/モノラルDAC×2/クロック/インターフェースの5筐体式D/Aコンバーターシステム「Varese(ヴァレーズ)」に、今年新たに発表された専用CDトランスポートを追加した超弩級システムで、合計価格は5000万円を上回る。

dCSの「Varese Music System」。5筐体式のD/AコンバーターにCDトランスポート(画像上から2段目)が加わった

これほどのシステムを披露するからには、dCS本国スタッフも「可能な限り最良の環境で最高の音を体験してもらいたい」と徹底的にこだわり、試聴は毎日10時から配布する整理券による少人数制に。室内には理想的なリスニングポジションで聴ける人数のみ、再生中の入退室も最小限に管理された、プレミアムな時間となっている。

両脇のスピーカーはAvalon Acoustics 「ISIS Signature」

ネットワーク再生機能を内蔵したD/Aコンバーター「LINA DAC X」もdCSから紹介。アルミ削り出しのシャーシ内では、なんと1枚の基板を折り曲げて立体的な配置がされており、これによって伝送経路を最適化しているという。価格は約233万円だが、デモンストレーションでは “明らかに価格以上の音質” だとクオリティの高さに対する自信が述べられていた。

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価格を超えるクオリティと太鼓判の「LINA DAC X」。折り曲げて配置されているという内部基板も披露

ほか、スイスのNAGRA(ナグラ)ブランドから、今年発売されたMCフォノイコライザー「COMPACT PHONO」とストリーマー「STREAMER」が紹介。どちらも外形寸法185W×41H×166Dmm、質量1.9kgのコンパクト設計で、価格も96.8万円とおそろい。しかし業務用機器などで培われたNAGRAの技術が存分に投入されており、小さくとも高音質が楽しめるとアピールされていた。

価格も小型設計もおそろいのNAGRA「STREAMER」と「COMPACT PHONO」

 

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