キャンタイプトランジスタ採用の4段ダーリントン・シングルプッシュプル出力段

SOULNOTE、電流供給能力を2倍に高めたモノラルパワーアンプ「M-3X」

公開日 2025/03/26 14:00 編集部:長濱行太朗
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SOULNOTEは、モノラルパワーアンプ「M-3X」を4月1日に発売する。価格は、1,911,800円(税込)。カラーは、プレミアム・シルバー/プレミアム・ブラックをラインナップする。

△「M-3X」、写真左からプレミアム・シルバー/プレミアム・ブラック

 

本モデルは、同社のモノラルパワーアンプ「M-3」をベースに電流強化を施したバージョンという位置づけ。シングルプッシュの特長である空間表現力や浸透力を損なうことなく電流供給能力を2倍に高めているため、精細な表現力と圧倒的な駆動力を両立したとアピールする。

音楽再生時のトランジスタの電流変化によって、時間軸上で変化するhfe(電流増幅率)の変動率を揃える、新開発のトランジスタペアリング手法を導入。さまざまな電流値でのトランジスタのhfe測定データをインプットさせ、すべての組み合わせで基準値以内のトランジスタペアを選出しているという。

△M-3Xの筐体内部

 

出力段のトランジスタには産業用「TO-3」(メタルキャンタイプ)のペアを採用。2つの「TO-3」トランジスタをドライブさせるために、ドライバー段には「TO-3P」トランジスタを投入しており、トータル4段ダーリントン構成となっている。

メインヒートシンクには、キャンタイプトランジスタの給電バスバーを兼ねた、軽量小型銅板製ヒートシンクを搭載。キャンタイプトランジスタの端子を直下の基板に直接マウントさせることでワイヤリング配線を排除し、インダクタンス成分に起因する不安定さを取り払い、絶縁シートがデバイスをダンプすることで起きる音質劣化も防ぐと謳う。

また絶縁シートを排除したことで、トランジスタペアの温度結合が高まり、温度変化による時間軸での音の滲みも排除できたとのこと。

電圧増幅段には、パワーアンプ専用に再設計した無帰還差動回路である「新型Type-R回路」を採用。バイポーラトランジスタ4 個と抵抗10本のみで構成される新型Type-R回路は、真空管シングルアンプと基本的に同等でありながら、合理的に広帯域フルスイング出力を取り出すことができる無帰還回路だとしている。

1人で持ち運びが可能な範囲で最大サイズを突き詰めたという超低銅損1600VA・未含侵トロイダル電源トランスは、リーケージフラックスの方向が基板と平行になるようにフロントパネルに垂直マウントされており、振動が筐体に伝わらないようにチタンワッシャーで浮かし、直下の1点スパイクで接地させる仕様を採用。

整流コンデンサには、70uF の高耐圧小容量低倍率箔フィルターコンデンサを使用。本数で容量を最適化し、電源トランスへの負荷を軽減させている。また、許容突入電流値が強化されたSiC ダイオードも新たに採用されており、ハイスピードな無帰還電源構成を実現した。

メイン筐体にはスパイク脚を3本、アンプコンテナにも3本使用している。アンプコンテナはメイン筐体から完全分離させた構造にしているが、電源トランスからの給電ラインを最短にすることで、トランスの振動、リーケージの悪影響を排除している。

△M-3Xのスパイク部

 

M-3Xの仕様は、最大出力が240W、全高調波歪率が0.1%、周波数特性が2Hz - 200kHz、インピーダンスが25kΩ、消費電力が156W(待機時38W)、外形寸法が340W×257H×512Dmm、質量が約31kg。付属品として、専用スピーカーケーブル/専用ラック/電源ケーブル/セッティングプレートを同梱する。

△M-3Xの背面端子部。XLR入力とスピーカー出力のみのシンプルな構成

 

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