ダイアモンド・カンチレバー搭載の普及モデル

オルトフォン、ダイアモンド・カンチレバーで“究極のリアル”を追求したMCカートリッジ「Verismo」

公開日 2021/11/04 18:08 編集部:成藤 正宣
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オルトフォンジャパンは、無垢単結晶ダイアモンド・カンチレバーを採用したMCカートリッジ「Verismo(ヴェリズモ)」を12月下旬より発売する。価格は880,000円(税込)。

「Verismo(ヴェリズモ)」

これまでフラグシップモデルにのみ採用していた無垢単結晶ダイアモンド・カンチレバーのサウンドをより広く普及させると共に、“究極のリアル”を目指してコストを度外視して開発したというモデル。

モデル名の「Verismo」は、19世紀末から20世紀初頭にイタリアでみられたリアリズム的な文学運動と、それに触発されて誕生したイタリアオペラの潮流を指す言葉。同社ではこの言葉をテーマに、「徹底的にHi-Fiな、究極のリアルをサウンドとして現した」としている。

無垢単結晶ダイアモンド・カンチレバーは、ボロンやベリリウムといった素材よりも音の伝搬速度が速く、音の立ち上がり/立ち下がりに優れ、またピックアップした音声信号の微細なニュアンスまでも極めて忠実に伝達できるとする。

磁気回路には、ブランド創立80周年記念モデル「MC Jubilee」と同様の新世代型回路を搭載。ブランド最初期のMCカートリッジ“オルトフォン・タイプ”と同等以上の出力電圧を確保しつつ、4分の1程度まで小型化している。

また磁気回路は、四角形のネオジム・マグネットの中心に丸い穴を開け、センター部分にコイルやダンパーなどの振動系を配置するという構造によりほぼ密閉化。外部からの異物混入や、内部への鉄粉などの吸着を防止している。加えて、マグネット中心に開けられた穴には「FSE(フィールド・スタビライジング・エレメント)」という導電性の小型シリンダーを装着し、左右チャンネルのセパレーションやバランスを改善した。

さらに発電コイルの巻枠(アーマチュア)には、一般的な鉄よりも磁力を帯びにくい特殊な合金を採用し、出力向上を図ると共にマグネットとの干渉を抑制。コイル巻線には、6N高純度銅に金メッキを施した「Aucurum(オーキュラム)」を採用。サウンドの明瞭さや解像度、空間表現力を高めたとする。

カンチレバーやアーマチュアを支えるゴムダンパーにも、独自技術の「WRD(ワイド・レンジ・ダンピング)」を搭載。2枚に分割したダンパーゴムの間に重質量のプラチナ製ディスクを挟むという構造により、高音/低音で異なる振動を効果的に制御している。

またゴムダンパーの素材には、微小な炭素微粒子「MWCNT(マルチ・ウォール・カーボン・ナノチューブ)」を配合。振動系のトレース性能やダンピング性能が向上し、サウンドのレンジ感や解像感が飛躍的に高まったとのこと。

ハウジング素材にはチタンを採用。3Dプリント技術の一種である「SLM(セレクティブ・レザー・メルティング)」により金属粉末の状態から一体成型し、高精度かつ曲線を多用したデザインを実現している。天面のネジ穴と3点のコンタクト・ポイントも一体成型され、不要共振を徹底的に排除。コンタクト・ポイントは、2本のネジの締め具合を調整することでカートリッジのアジマス(正面から見た際の左右方向の傾き)微調整を行うことができる。

ハウジングは、天面のネジ穴やコンタクト・ポイントも含めてチタン粉末から一体成型される

出力電圧は0.2mV(1kHz、5cm/sec)、チャンネルバランスは0.5dB(1kHz)、チャンネルセパレーションは25dB(1kHz)/20dB(15kHz)。トラッキング角度は23度。内部インピーダンスは7Ω、推奨負荷インピーダンスは10Ω。適正針圧は2.6g、質量は9.5g。

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