ウーファーを大口径化

Fyne Audio、独自同軸ドライバー搭載の新フラグシップスピーカー「F1-12」。ペア380万円

2019/07/16 編集部:小澤貴信
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
アクシスは、同社が取り扱うFyne Audioのフラグシップスピーカー「F1-12」を近日中に発売開始する。価格はピアノグロス・ウォールナットが4,100,000円/ペア(税抜)、ピアノグロス・ブラックおよびピアノグロス・ホワイトが3,800,000円/ペア(税抜)となる。

「F1-12」

Fyne Audioはブランド初のスピーカーのひとつとして、フラグシップ“F1シリーズ”の「F1-10」をラインナップしてきたが、今年5月にミュンヘンで開催されたオーディオショウ「Hifideluxe」に合わせて、F1シリーズの第二弾にしてトップエンドとなる「F1-12」を発表。今回、日本導入がアナウンスされたかたちだ。

Hifideluxeのブースに出展された「F1-12」

F1-12は、独自の同軸・点音源ユニット「IsoFlare」による2ウェイ・2スピーカー構成。後述するように、独自のBassTrax Tractrix技術によるポートを底面に備えている。ウーファーユニットはF1-10よりひと回り大きい12インチで、感度は96dBと従来機から2dBアップさせた。これにより、ユニットのより広い面においてさらに俊敏なピストンモーション能力を得ることができ、中低域と超低域における音の厚みを増強したとのこと。また、同軸配置された3インチ・コンプレッション・ドライバーとの融和性もさらに進化したと説明されている。

「IsoFlare」ユニット

スピーカーバッフルが発生させる回折作用と内部定在波を回避するための解析によって導き出されたという特徴的なキャビネット・デザインは、F1-10から継承。サイズはユニットと共に一回り大きくなった。キャビネットの素材には厳選された高硬度ウォールナットを、さらにフロントと天面にはさらに硬度の高いバーウォールナットを配置し、重厚なバーチプライ積層プレス構造としてる。

また、内部の要所に堅牢なブレースを組み込み、さらに底部には約20kgの高剛性アルミニウム・ベースを装備。共振による不要な色付けを徹底排除したという。

20kgにもおよぶ高剛性アルミニウム・ベース

高域ドライバーと低域ドライバーの各ドライバーの音軸の中心を完全に一致させたという独自の同軸・点音源ドライバーシステムです。IsoFlare(アイソフレアー)を採用。一般的な同軸ドライバーは音軸の一致と引き替えに指向性が狭まってしまうが、このIsoFlareは高域ドライバーの開口形状と低域コーンドライバーの湾曲形状を統合解析。その放射角を綿密に計算し一体化することで、高域エネルギーの等方向な拡散放射を可能にし、極めて自然なステレオイメージをもたらすとする。

高域用の3インチ・コンプレッションドライバーは、銅のショートリングを装備したカプトンボビンに巻かれた強力なエッジワウンド・アルミ・ボイスコイルとネオジムマグネットによる、ウーファーから独立した磁気回路を搭載。3インチという大口径のチタン・ダイヤフラムと、最適化されたウェーブガイドにより、750Hzという中低域から26kHz以上にわたる超高域までを、低歪みに再生できる。

ウーファー部には、12インチ口径のマルチファイバー・ペーパーコーン・ドライバーを採用。エッジ構造にはツインロール・ファブリックサラウンドと呼ばれる二重構成を採用し、不要共振による反作用を排除。磁気回路はアルミフォーマーに巻かれた低損失・角型銅ボイスコイルと大型フェライトマグネットで構成される。また、ウーファー部は強靭なアルミダイキャスト・フレームにマウントし、さらに後部を内部ブレースに結合。超低歪みで重厚な低音域再現が可能としている。クロスオーバーは750kHz。

本機も搭載するBassTrax Tractrix(ベーストラックス・トラクトリックス)ポート・ディフューザー・システムは、低域の放射特性を改善する同社の基幹技術。低域ポートはエンクロージャーの底部に下向きに配置され、その開口部にはTractrixと称するディフューザーが設けられている。

ポートから発するエネルギーはここで90度向きを変え、360度にわたるスムーズな水平波面に変換。一般的なバスレフと異なり、壁面からの部分的な強い低域反射が抑えられる。これにより、より柔軟な設置とクリアかつ力強い低域再生が実現できるという。また、内部空間はポートの入り口と出口で2つに仕切られており(ツインキャビティー・レフレックスローデング構造)、これがマフラーのような役割を果たし、内部定在波を大幅低減と共に、ポートチューニング周波数をより広くし、パワーハンドリングの向上にも寄与している。

クロスオーバー回路は、コンピューター解析による最適化設計をベースに徹底チューニング。低損失LF積層コアインダクター、CLARITYCAP製高品位HFポリプロピレンフィルムコンデンサーなどの高品質部品も多用している。また、アッセンブリー時にはクライオジェニック処理が施され、回路部品のとハンダ接合部のストレスを緩和。信号伝送純度をより高めるとしている。

ターミナル部

ターミナル部には、WBTによるNextgenバイワイヤー端子とNeotech PC-OCC内部配線を採用。さらに RF電波などからの干渉による微小信号のマスキング現象を防止するためのアース端子を設けている。

フロントバッフルには2つのコントローラーを装備。高域エネルギー調整として750Hz〜26kHzを±3dB可変、プレゼンス調整として2.5kHz〜5kHzを±3dB可変することができる。

外形寸法は450W×1,350H×680Dmm、質量は93kg。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE