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クラリネットの素材を活用

<HIGH END>カートリッジ専業ブランド「TEDESKA」創業者インタビュー。バッハへの情熱と製品のこだわり

季刊analog編集部
2019年05月13日
ドイツのカートリッジ専業ブランドTEDESKA(テデスカ)は、代表であるヒュン・リー氏がほとんどひとりで開発をしているブランドである。昨年よりアイレックス(株)が代理店となり日本での輸入がスタートしているが、今年のミュンヘンハイエンドにも出展していたのでお話を伺った。

TEDESKA代表のヒュン・リー氏

ヒュン・リー氏の出身は韓国。学生時代にクラシックギターの勉強のためにドイツにやってきて、それから20年以上ドイツに在住しながらギタリストとして活動してきたという。ギタリストとしての活動の傍ら、自分の納得のいくアナログ再生を目指し、2015年にTEDESKAブランドを立ち上げたという。

「J.S.バッハが本当に好きで、彼についてもっと知りたい、研究したい、と考えた時に、やはりアジアよりもドイツの方が圧倒的に研究資料や書籍が充実しています。なのでドイツにやってきたんです」

バッハに対する情熱は、もちろんカートリッジづくりにも影響を与えている。レコードに刻まれた音楽情報を忠実に再現することは当然のことだが、ミュージシャンでもある自分の耳で判断し、あくまで納得のいったものだけを製品として出荷している。

TEDESKAのカートリッジラインナップ。升の箱もこだわり

「TEDESKAのカートリッジはすべてグラナディラという木材を使っています。これはクラリネットなどによく使われる素材ですが、水や汗につよく、何度も手で触れても性質が変化することがありません。レコードは何十年も保管し、再生することができます。そのためのカートリッジもまた経年で変化してしまうことがあってはならないと考えています。また、カートリッジの正面にはすべて目玉のような丸がついていますね。これもクラリネットで指が当たるところを「frog's eye(カエルの目)」というのですが、それをモチーフにしています」

小さなネジひとつにいたるまでヒュン・リー氏自身の手で組み立てられているカートリッジ。現在はステレオカートリッジを3シリーズ(プログレッシヴシリーズ、クラシックシリーズ、空芯コイルシリーズ)、そしてモノラルカートリッジ1種類をラインナップしている。

いまや音楽再生はCDやストリーミングなどさまざまなメディアで楽しめる時代といえるが、あえていまアナログにこだわるは何なのか。理由を尋ねてみた。

カートリッジの製作ツールや万年筆などを集めたTEDESKAミュージアム

「レコードが回転する、あのゆっくりとしたスピード感が良いのです。私はなかなかに怠惰な人間なので(笑)、CDやストリーミングはなんだか早いすぎる感じがします。ゆっくりとレコードが回転しながら音楽を奏でる様はとてもリラックスしますし、家族の穏やかな時間をもたらしてくれる感じがしますね」

TEDESKAのカートリッジは、プログレッシブシリーズの「DST201 ub」が今年のアナロググランプリ2019を受賞している。そのことについてもヒュン・リー氏は「日本のオーディオ評論家の小原先生が非常に高く評価してくれたと聞きました。とても光栄に思います」と語ってくれた。

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