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OTOTENに事前登録すると抽選で5名に本作をプレゼント

井筒香奈江の特別アナログ盤がOTOTEN会場で販売。そのこだわりと挑戦を制作陣に聞いた

PHILE WEB編集部
2018年06月07日
6月16日・17日に開催される日本オーディオ協会主催「OTOTEN 2018」(事前来場者登録はこちら)。本会場では、同協会が企画した特別アナログ盤「オーディオ協会監修 井筒香奈江Laidback2018」が発売される。

本作はDSD 11.2MHz・2ch同時録音モニターバランスのマスターからダイレクトにアナログレコード化された、超レアかつこだわりのレファレンスディスクである。その誕生の経緯について、シンガーの井筒香奈江さんと、レコーディング・エンジニアの高田英男氏、そして日本オーディオ協会 事務局長の照井和彦氏に伺った。

シンガーの井筒香奈江さんを中央に、レコーディング・エンジニアの高田英男氏(左)、そして日本オーディオ協会事務局長の照井和彦氏(右)

話題を集める井筒さん新作。同時録音した11.2MHz DSDマスターからのアナログ化

本作は、5月16日にリリースされた同名オリジナルアルバム「井筒香奈江Laidback2018」から3曲を厳選して収録した特別アナログ企画盤である。45回転30cmアナログレコード盤仕様で、定価は¥1,852(税抜)。収録曲は井筒自身のユニット、Laidbackによるトリオ編成での一発録りで収録された待望の新作で、レコーディングは乃木坂にあるソニー・ミュージックスタジオで行われた。

5月16日に発売された井筒香奈江さんのオリジナルアルバム「Laidback2018」

OTOTEN会場で発売される30cmアナログ盤「オーディオ協会監修 井筒香奈江Laidback2018」価格:1,852円(税抜)/送料:900円(税抜)

そもそも、なぜアナログ盤が企画されたのか。

「1980年代の日本オーディオフェアの頃、協会では毎年、独自のアナログ盤を発売していました。オーディオファン向けに音楽だけでなく、テスト信号が入っていたものもありました。しかし、しばらくこういうことをやっていなかった。そんな折、近年のアナログブームということもあり、カッティングサービスを行う会社が増えてきて、もう一度、アナログ盤の企画ができないかと、新譜の音源を探していました」(照井氏)。

録音が行われたソニー・ミュージックスタジオのコンソールはAMS Neve社のNEVE8872Rで、アナログ卓であるNEVE(ニーブ)独特のクリアサウンドが特徴的である。サウンドプロデューサー/レコーディング・エンジニアに日本を代表する、高田英男氏を迎え、オーディオ的にこだわった収録がなされている。

NEVE8872Rアナログ卓

「アルバム用には、録音システムにPro Tools HDを用いて192kHz/32bitマルチ録音してミックスしていますが、実はアナログ盤用に、Pyramix HorusにてDSD11.2MHz/1bitによる究極のハイレゾダイレクト2ch録音を同時に行っていました」(高田氏)。

製作録音プロセスの図

アナログの良さを引き出すべく「やってみたいことを全部やってみた」

本作ではDSD 11.2MHzの2チャンネル同時録音モニターバランスのマスターを使用。ノーマスタリング、ノーエディットのままDSDワークステーションのプレイバック信号をSX-74へダイレクトに伝送し、ラッカーカッティングを施している。またプレス原盤にはメタルマスターを直接投入してスタンパー製造工程を省略し、サウンドフレッシュネスを最大限確保したという。

ソニーミュージックのカッティングレース(マシン)と井筒香奈江さん

そう、本作はアルバムからの単なるセレクトではなく、同時ダイレクト録音していた“別モノ”なのである。

「編集なしのダイレクト録音。11.2MHzマスターからレコードを作るという挑戦はなかなかありません。さすがに(一発勝負の)ダイレクトカッティングは丁重にお断りされてしまいましたけれど(笑)」(照井氏)。

レコードカッティング作業。4月3日 ソニー・ミュージックスタジオ マスタリング11。写真右側のラック内がDSD AWS Pyramix。エンジニアは堀内 寿哉さん

さらに照井氏は続ける。「2012年頃、ユニバーサルミュージックがスタンパーを省略して直接プレスを行う“100% PureLP”がありましたが、これもフレッシュさ、DSDらしさが残っていた。今回は、やってみたいことを全部やってみました。45回転の30cm盤を使い、アナログ盤としては贅沢に外周だけ使っています。ラッカー盤からのプレスはおそらく1000枚で限界。いまのところ日本オーディオ協会での限定生産・販売です」。

写真を見ていただきたい。本作は楽曲を記録する溝がレコードの外周にしかない。レコードはCDと異なり、ピックアップが弧を描いて動作する通常のトーンアームでは、外周に対して内周で歪みが増えるという物理的な欠点がある。また、レコードは回転数が一定なので、内側に行くほど線速度が遅くなる。内側に記録されている音ほど、帯域が狭くなる。本作はレコードの回転数を上げる(33 1/3rpm→45rpm)ことで、多少の回避を狙っているのだ。

本作のこだわりは楽曲を記録する溝がレコードの外周にしかないこと

録音時の緊張感から繊細なピアニシモの美しさまで感じ取れる

高田氏はサウンド創りのコンセプトとして、以下の3つを挙げている。

1.開放感・ピアニシモの美しさ・躍動感・心地良い緊張感。
2.音の色彩感など、アーティストの感性領域を音創りで表現する。
3.サウンドの先にある井筒香奈江の「音楽感動」。

「アナログ3曲は同じテイクであるけれど、未加工のナマモノです。音の鮮度はニーブの音がそのままダイレクトに入っています。そういう意味でマスターにより近い音になっています。開放感だったり、とても繊細なピアニシモの美しさだったり。いい意味での緊張感を3人から感じ取ることができた。3人のレイドバックの音。アーティストとしての感性の音を収録できればいいなと思った。そしてそこから伝わる井筒香奈江の「音楽感動」が伝わればいいかなと思っています」(高田氏)。

サウンドプロデューサー/レコーディング・エンジニア 株式会社ミキサーズ ラボ 顧問 高田英男氏

照井氏は、オーディオレファレンスとしての聴きどころを教えてくれた。

「1曲目の『サクセス』というグルーブの強い曲は、躍動感・グルーブ感、ドライなヴォーカルサウンド、コンガ・エレキベース&ピアノのソロのリアルサウンドが聴けます。音の出だしが強い音で始まるので、この音がシステムで出せればバッチリ。これだけであなたのシステムがわかります」(照井氏)。

一般社団法人 日本オーディオ協会 事務局長 照井和彦氏

「『サクセス』は力強いアレンジですが、音の大きさで攻めるのではなく、音の質でまとめています」(高田氏)。

「2曲目『雨の鼓動』は井筒さんの書下ろしのオリジナル曲で、楽曲の選曲もこだわっています。オリジナルアルバムのフルートのソロは、フェードアウトになっているところが、アナログ盤では最後まで入っている。コンプリートテイク『雨の鼓動』なのです。そしてB面の『You Are So Beautiful』 。こんなに透明感のあるアナログ盤がつくれるとは思っていませんでした」(照井氏)。

ソニー・ミュージックスタジオのSL-1200G。ラッカー盤の試聴とプレス盤(プルーフ)の試聴を同じ環境で行い正確に判断した

「100kHzまでフラットのサンケンのマイクをはじめ、もちろんDSDなので情報量としてはハイレゾ以上のアナログ盤になっています。アナログもハイレゾだと気づくことができます。たとえCDフォーマットで切ってあったとしても、可聴帯域にも影響している。人間のここちよい音のバランスでアナログレコードはつくられているのです」(高田氏)。

OTOTEN会場で本ディスクが限定販売。各ブースでは井筒さんの音源も楽しめる

様々なこだわりと、挑戦で作られた特別アナログ企画盤「オーディオ協会監修 井筒香奈江Laidback2018」。OTOTEN会場で発売が開始されるが、同協会のウェブサイトでも通信販売される。¥1,852(税抜)とほぼ原価で提供するために、ジャケット印刷がない。その代わり、会場の販売分は井筒香奈江さんのサイン入りとなる。

さらに耳より情報。OTOTEN来場者事前登録を公式サイトで行うと、抽選で5名に特別アナログ企画盤の「井筒香奈江Laidback2018」が当たる。しかも当日会場でメールアドレスにて当選発表、後日発送されるというから嬉しい。ぜひこの機会に、OTOTEN来場者事前登録をしよう。

また、発売中のオリジナルアルバムの「井筒香奈江 Laidback2018」のUSBメモリー版は、OTOTEN当日、出展者(メーカー等)が各ブースで自由にかけられるレファレンスソースとなる。

オーディオ協会監修 井筒香奈江Laidback2018」■型番:AD-2 ■ディスクの種類:30cm LPアナログレコード(45回転180g重量盤・簡易パッケージ商品) ■価格:¥1,852(税抜)/送料¥900(税抜) ■収録曲:A面「サクセス」、「雨の鼓動」/B面「You Are So Beautiful」

OTOTEN 2018 開催概要
会場:東京国際フォーラム
日時:2018年6月16日(土) 10:00〜19:00
   2018年6月17日(日) 10:00〜16:00
入場料:無料(入場登録が必要)

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