ワンボードオーディオ・コンソーシアムの説明会にて

ラックスマン、ラズパイ搭載ネットワークプレーヤー「AUDIO OSECHI BOX」披露

公開日 2018/03/07 09:00 編集部:小澤貴信
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他にも、CPUの電圧やクロックを引き上げたり、OSを読み出すブートデバイスにSDカードではなくUSBメモリーを用いるなど様々な設定の調整が行われている。

通常のOSと、海上氏がオーディオ用に設定した1bcの設定のちがいを示す図

こうしたコンフィギュレーションについて海上氏は「ここを変更すれば音が良くなるというような単純なものではなく、様々なパラメーターを調整して聴き比べて初めて音質への影響がわかる」と紹介。「ITは数字の世界だが、オーディオの場合では必ずしもそうではなく、とにかく様々なパラメーターを試して聴感テストを繰り返した」とのことだ。

海上氏は「このように様々な設定を変更して音質を追求できることが、ラズパイオーディオの楽しみのひとつ」とも述べていた。

具体的な製品化のタイミングや価格は?

気になるの製品化のタイミングや価格だ。まずは製品化の時期。同コンソーシアムが策定する拡張ボードとRaspberry Piの間の「ブリッジ役=SHIKISHIMA」(詳細は後述)の仕様が決まり次第、製品化に向けたJU-001の仕様の決定が行えるとのことだった。

次に価格だが、本機の電源やDACはラックスマンの製品でいうとUSB-DAC「DA-150」相当とのこと。筐体なども加味して、「5万円から10万円の間で実現できることを目指している」(小嶋氏)とのことだった。

規格策定のカギとなる「UKISHIMA」とは?

このJU-001は、ワンボードオーディオコンソーシアムが策定した、あるいは今後策定を予定されている規格に沿って作られている。その規格のなかでは、ワンボードオーディオの構成システムを「DEJIMA」「UKISHIMA」「SHIKISHIMA」という3つの要素に分ける考え方を用いている。まずは以下の図を見てほしい。

同コンソーシアムが策定中のDEJIMA/UKISHIMA/SHIKISHIMAの概念図

「DEJIMA」はRaspberry Piなどのワンボードコンピュータが使用するエリア。「SHIKISHIMA」はDACなどのオーディオ器機のエリアだ。そしてDEJIMAとUKISHIMAを繋ぐブリッジにあたるのが「UKISHIMA」だ。

UKISHIMAは、Raspberry Piをコンソーシアムの参加各社が共通の規格の元で使えるようにする、いわばインターフェースの役割をするもの。例えば、SHIKISHIMAには拡張ボード(例:DACボード)を交換できる仕様が検討されているが、この拡張ボードを参加各社が共通規格の元で作れるようにするためにもUKISHIMAは重要な役割を果たすという。海上氏は「UKISHIMAはいわゆる“車輪の再生産”を防いで、共有化できる部分は共有化するためのもの」とも説明していた。

なお、このUKISHIMAは、参加各社にライセンス供与される。

USBメモリーを挿すだけで再生できる「Music Plug & Play」を開発

ラズパイオーディオが実装可能な新機能「Music Plug & Play」の発表とデモンストレーションも行われた。本機能を開発したのは、OTOTOYの代表取締役である竹中直純氏。日本の音楽配信における草分け的存在であり、プログラマーとしても数々の実績を持つ人物だ。説明会では本人が登場して、その詳細を語ってくれた。

Music Plug & Playの詳細

Music Plug & Playは、ラズパイオーディオにUSBメモリーを挿すだけで保存したファイルの再生がスタート、引き抜けば安全に音楽が停止するという機能。シンプルな機能だが、だからこそCDより簡単に誰でもファイル再生を行うことができる。現時点では上述のような大枠の機能が設定されているが、曲順の設定やプレイリストなど様々な機能の付加が可能だという。

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