海上忍のラズパイ・オーディオ通信(40)

ラズパイ・オーディオにバーブラウンのDACチップ「PCM51xx」シリーズが適している理由

海上 忍

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2018年01月24日
「PCM51xx」シリーズのアドバンテージとは

Raspberry Piなどを利用したワンボード・オーディオにおける醍醐味の一つには、「コア・コンポーネントに直接アクセスできる」ことが挙げられる。ここでいう“コア・コンポーネント”とは、デジタルオーディオにおけるハードウェアの中核といえる「DAC(チップ)」であり、それを駆動するドライバーだ。

DACチップは多種多様で、データ(オーディオ信号)の転送規格はI2Sが主流という点では共通しているものの、その制御方法にはI2CやSIPがあり、DACチップにより多少異なる。オーディオ機器においてDACチップというと、対応するサンプリング周波数などスペックに目が向きがちだが、ワンボードオーディオでは必要な信号は何か、内蔵されている機能(ex. DSP)は何か、どのようにコントロールするかという部分を無視できず、かつ音質に与える影響も大きい。

Raspberry PiでI2S接続のオーディオを実現する場合、ハードウェアレベルでマスタークロック(MCK)を持たないために、DACボード上に水晶発振器などの高精度クロックを搭載してDACチップに供給するか、入力したオーディオ信号からクロックを生成するか(PLLを搭載しクロック生成が可能なDACチップを選ぶ)の二択になる。クロックの精度がジッターにおよぼす影響は大きく、DACチップの選定における重要ポイントと言っていいだろう。

この点において、TI/BurrBrownの32bit DACチップ「PCM51xx」シリーズは扱いやすい。I2Sの信号のうちLRCKを逓倍することにより内蔵PLLでMCKを生成できるため、高精度クロックのない環境でもそれなりに鳴らせてしまうのだ。設計の簡素化に貢献できることから、コスト面でも効いてくるフィーチャーといえるだろう。

TI/BurrBrownの32bit DACチップ「PCM5102A」

ただし、PLLを利用したクロック逓倍はジッター増加の原因となりうるので、できれば高精度クロックの搭載が望ましい。PCM51xxシリーズはMCKの外部入力にも対応するため、そうしたほうが一段上の音を目指すことができる(後述する「マスターモード」のメリットもある)。

「アドバンスド・セグメント」のメリットもある。これはPCM1792Aなど24bit DACチップの頃から存在するTI/BurrBrownの技術で、いわばマルチビット方式とデルタシグマ方式(1bit)を融合したもの。大まかにいうと、上位ビットをマルチビット方式、下位ビットをデルタシグマ方式で処理することにより、力強くありながらも繊細な再生を可能にする技術だ。

ラズパイ・オーディオには「PCM5122」が向いている。その理由は?

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