11.2MHz DSDと768kHz/32bit PCM対応

【独HIGH END】CHORD、新世代FPGA採用の旗艦DAC「DAVE」。プリ/ヘッドホンアンプ機能搭載

2015/05/19 編集部:小澤貴信
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CHORD Electronicsは先日開催されたミュンヘン「HIGH END」にて、同社フラグシップとなるプリアンプ・ヘッドホンアンプ内蔵D/Aコンバーター「DAVE」を発表。欧州では2015年秋に発売する。ブースでは、同社CEOであるジョン・フランクス氏自ら、この新製品を解説してくれた。

CHORD「DAVE」。写真は専用スタンドと組み合わせたもの

本機は「QBD76HDSD」の後継機種となるCHORD最新世代の旗艦D/Aコンバーターで、プリアンプとヘッドホンアンプを内蔵する。D/Aコンバーター部を構成するFPGAが新世代となり、従来モデルの10倍のプログラム容量を実現した。USB入力は最大768kHz/32bit PCM、および11.2MHz DSDに対応。そのほか入力として、384kHz対応の同軸デジタルを4系統、192kHz対応の光デジタルを2系統、192kHz対応のAESを1系統搭載する。

アナログ出力はXLR端子およびRCA端子を各1系統とステレオ標準ヘッドホン端子を搭載する。また、“768kHzデュアルデータモード”に対応する2系統のultra high speed同軸デジタル出力を搭載するが、「この端子は来年以降に登場する製品との接続に用いるものなので、楽しみにしてほしい」とのことだった。

CHORD ElectronicsのCEOであるジョン・フランクス氏

FPGAには新たに「Spartan 6」のLX75 versionを採用。このFPGAが持つ高い処理能力によって、高性能なフィルター処理を行う独自の「WTAフィルター」をさらに進化させた。具体的には前世代は26,368タップの処理を行っていたものが、本機では164,000タップでのフィルター処理を実現。これにより、256倍オーバーサンプリングによるフィルター処理をさらなる高精度で行うことが可能となり、正確なタイミングとノイズ除去性能の強化によるさらなる音質向上が実現された。なおこのWTAフィルターにおける高速信号処理を行うため、DAVEは166もの個別のDSPコアによる並列処理を行っている。

出力段についても、20素子によるパルスアレイDACおよび独自の2次アナログノイズシェーパーを新たに採用することで、超高周波帯域におけるリニアリティーを向上。ヘッドホン出力についてはハイ・インピーダンスのヘッドホンにも対応できる駆動力を持っているとのことだ。

背面端子部

従来モデルからの機能面での進化として、大型ディスプレイの搭載が挙げられる。このディスプレイは、CHORDの製品における象徴的なデザインである“のぞき窓”と一体化したユニークなもの。筐体内部とそれを照らすライトに上に重なるように、選択されている入力や再生周波数、音量などを確認できる。本体にはステンレス製のボタンとロータリーボリュームも備えており、さらにリモコンからの操作も可能だ。また、筐体は航空機グレードのアルミを精密加工することで、高い強度と剛性、美しさを兼ね備えた。

同社パワーアンプとスタンドを介して組み合わせたところ。プリアンプ搭載モデルならではの構成が可能

モデル名にこだわるCHORDだが「DAVEは英国人男性のありふれた名前」とフランクス氏。しかしここには「Digital to Analogue Veritas in Extremist」という言葉のそれぞれの頭文字を並べることで、「デジタル/アナログ変換における究極の真実」というメッセージが込められているという。なお、英国では7,995ポンドで発売される予定だ。

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