PR 公開日 2025/12/15 06:45

北欧の名匠・DALIの新たなる挑戦。最新スピーカー「EPIKORE」シリーズを評論家6名がクロスレビュー

オーディオ銘機賞2026【銀賞】受賞モデル
石原 俊/井上千岳/生形三郎/大橋伸太郎/小林 貢/福田雅光
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デンマークのスピーカーブランドとして、日本でも非常に高い人気を誇るDALI(ダリ)。2012年以来、最高峰として君臨してきた「EPICON」シリーズが、「EPIKORE(エピコア)」シリーズとして刷新された。

EPIKOREシリーズ3機種が並んでいる
写真左からブックシェルフ型の「EPIKORE 3」(ハイグロス・ウォルナット)、フロア型の「EPIKORE 7」(ハイグロス・マルーン)、フロア型の「EPIKORE 9」(ハイグロス・ブラック) Photo by 田代法生

孤高のハイエンド機「KORE(コア)」で完成させた技術を色濃く継承したEPIKOREは、
「オーディオ銘機賞2026」でも非常に高い評価を受け、栄誉ある銀賞を獲得。その実力を石原 俊氏をはじめ、合計6名の審査委員がレポートする。

 

EPIKOREシリーズを特徴づけるハイブリッド・トゥイーター(石原 俊)

DALIの「EPIKORE」シリーズが銘機賞・銀賞を受賞した。EPIKOREは孤高のスーパーハイエンド機である「KORE」を開発する過程で得られた技術をトリクルダウンさせたもので、「EPICON」に代わる事実上の最上級ラインを構成するものだ。2023年に「11」が先行発売され、この度「3」「7」「9」がリリースされ、シリーズが完成した。

シリーズの全ドライバーユニットに共通するのが「SMC(Soft Magnetic Compound) Gen-2」とよばれる磁気回路だ。これは従来のSMC Gen‐1に比べてヒステリシス歪(物質に磁力が加えられたとき、磁力の加減が元の状態に戻っても、元の状態に完全には戻らない現象)が10分の1に抑制されている。これをポールピース全体とトッププレート内側に使用することによりボイスコイル全体で均一な磁束密度を得ている。

SMC磁気回路の説明用断面イメージ
ミッドレンジとウーファーの磁気回路を構成するボールピースとトッププレートには、DALI独自の技術である「SMC(Soft Magnetic Compound) Gen-2」が投入されている。SMCは2013年のEPICONから採用している技術で、鉄粉の表面を化学処理で絶縁したもの。磁界を受けても渦電流が発生しないというメリットがある

シリーズを最も特徴づけているのが「EVO‐Kハイブリッド・トゥイーター」だ。これは35mmソフトドームと10×55mmリボンを組み合わせたトゥイーター・アレイで、ドームの滑らかさとリボンの軽やかさを併せ持つ。クロスオーバー周波数は12.5kHzで、上方をリボンが、下方をドームが受け持つ。

EPIKOREシリーズのトゥイーター部分解剖図
トゥイーターには、55×10mmプレーナー型トゥイーターと35mmソフトドーム型トゥイーターを組み合わせた「EVO-Kハイブリッド・トゥイーター・モジュール」を採用。なお、EVO-KはEvolution KOREの略

ウーファー/ミッドレンジのコーン型振動板素材は軽量・高剛性の木質パルプにダンプ効果に優れた特殊コーティングを施したものだ。コーンに放物線状の凹みをつけることで分割振動をコントロールしている。コーンはロングストロークで動作するので大音量時でも歪が発生しにくい。バスレフポートの内壁は急激な曲率変化のない連続的フレア形状。ポート長をユニット配置に合わせて最適化しているので風切音が抑制されており、低域の立ち上がりが速く、壁際に置いてもブーミーになりにくい。

EPIKORE 9には16.5cmのミッドレンジと20cmウーファーを搭載。いずれも新規開発で、ミッドレンジにはKOREの象徴と言えるクラリティコーンを採用。ウーファーの振動板はDALI独自のペーパー&ウッドファイバー・コーンで、コーン自体の不要な共振を抑えることにより、優れた低域特性を実現しているという

コンティニュアス・フレア・バスレフ・ポートを背面に設置。ダクト部を直線上ではなく、斜めに配置することで、ポートにおける乱流や歪みを抑えている

エンクロージャーの素材は、フロントバッフルに40mm厚MDFを、馬蹄形の胴部は18mmの曲面加工したMDFが用いられる。内部には入念なブレーシング処理が施されており、不要共振が発生する恐れはない。

「3」は3ウェイ・ブックシェルフ型で専用のスタンドが用意されている。「7」は3.5ウェイ・フロアスタンディング型でウーファーがクロスオーバー周波数の異なるスタガー接続されている。「9」は4ウェイ・フロアスタンディング型。フロア型機は全て堅牢無比なスパイクで床面に接地する。全機種とも入力はバイワイヤリング端子で、バイアンプ駆動が可能になっている。

リボンの使い方は同社比最高

輸入元でのデモを聴いた印象を以下に記す。デモにはマランツの最上級プリメインアンプである「MODEL 10」を2台用い、バイアンプ接続で各機種をドライブした。

トータル的な印象を申し上げると、アンプがアンプだけに極上級のサウンドが得られた。DALIは昔からリボントゥイーターの採用に積極的だったが、リボンの使い方は同社比最高で、音が鳴っただけで試聴室の空気が清浄になったかのようなイリュージョンすら感じられる。ステレオイメージは極めて精確で、奥行きの広い立体的な聴き味が享受できる。

「3」はキビキビとしたスピード感と運動性能がすばらしい。「7」は「3」の運動性能に大人っぽい落ち着きを加味したような雰囲気で、音楽がゆったりと楽しめる。「9」は低域の豊かさが印象的だ。3機種とも新時代のDALIを象徴するようなハイエンド機として人気を博すであろう。ぜひともチェックしていただきたい。

トゥイーター部分のクローズアップ
プレーナー型トゥイーターは新設計で、EPICONより強力なネオジム・鉄・ボロン磁石によるモーターシステムを採用し、感度を5dB向上させている

オーディオ銘機賞審査委員5人が語る「EPIKORE」シリーズ

どの帯域でも焦点の合った再現性(井上千岳)

40年間地道に音質改善に努めてきたDALIの努力が、一気に花開いた印象だ。KOREテクノロジーの成果は明らかだが、何よりもユニット同士のスピードがぴったり揃いどの帯域でもピントが整って焦点のくっきりした再現性を得ているのが印象に残る。

またハイスピードで滲みがなく、骨格が確固として芯の強い質感を備えていることにも感じるところが多い。現代的な方向性を躊躇なく推し進めた結果と言っていいが、そこに棘や硬質感が残らないのも大きな特質である。歪みがないためにほかならない。

例えばバロックでは低域にも高域にも無理な強調感がなく、それでいてヴァイオリンもチェロも明快な存在感を示す。艶やかな弦楽器の音色と潤いの豊かな余韻が、鮮明に描かれて大変リアルだ。ピアノも上下に抜けがよく、深く沈んだ低音にも遅れがない。だから音楽像が鮮やかに結実する。

オーケストラは濁りのない伸びやかな鳴り方でダイナミズムが広く、楽器同士の分離に優れて音色が全く混濁しない。純度の高い起伏に富んだ再現性が見事である。

KOREの技術成果の大半を搭載(大橋伸太郎)

KOREで達成した技術のレギュラーラインへの搭載が進んでいるが、そうして誕生した新世代DALIの本命がEPIKOREである。中下位では技術要素の移植に制約があるが、高級機のEPIKOREならそれができる。それを象徴するのが、「EVO-Kハイブリッド・トゥイーター」である。プレーナー型(リボン)と大口径シルクドームの複合ユニットだが、KOREのそれと寸分違わないものをブックシェルフの3まで含むシリーズ全機種に搭載した。

他にも、ウーファーでは幾何学模様を持つクラリティ・コーンテクノロジー、大型の磁気回路には絶縁性2.5倍の第二世代SMCを投入するなど、KOREで達成した技術成果のほとんどをEPIKOREで取り入れている。

エンクロージャーの工作精度も見事。MDFの3分割構成だが、箱に組んでから突き板を手貼りしているため、木目を追いかけていくと切れ目がない。家庭で使うスピーカーは美しくなければならない。北欧の名匠DALIのこだわりである。

新たなレギュラーライン最上位として評論家、販売店両サイドから高く評価され、オーディオ銘機賞2026銀賞を受賞した。

クラリティ・コーン・テクノロジー説明用のミッドレンジ外観
EPIKORE 9に搭載されている16.5cmミッドレンジには、KOREにも採用されているクラリティ・コーン・テクノロジーを採用。幾何学構造をペーパー&ウッドファイバー振動板に用いることで、均一な動作を実現するという

スピーディに立ち上がる低域。クリアな輪郭の音像も好ましい(小林 貢)

ローエンドがスムーズに伸び、帯域バランスも整ったナチュラルなサウンドが聴ける。そして従来機に比べて低音域の反応が高まり、キックドラムのアタックやコントラバスの最低音付近のピチカート音などがスピーディに立ち上がり、音像の輪郭を曖昧にすることがないのも好ましい。またクラシック系でもジャズ系ソフトでも個々の楽器の質感が明らかに向上していることが確認できた。

そして再生帯域内の密度も高まり、情報量も増している。クラシック系オーケストラの大音量の合奏部は重厚感があり、スケール感もリアルに再現される。また弱音部の高音弦楽器のデリケートな響きが正確に引き出されており、艶やかさが感じられる。

一発録音のソフトなどでは瑞々しい演奏が展開され3次元的に広がる透明度の高い音場感と空気感が得られている。ジャズ系ソフトの管楽器などはタンギングや管の鳴りが生々しく再現され、躍動感のあるホットなアドリブ・ソロが展開された。

新技術や独自素材の投入などで高音質化を実現するとともに、音楽表現力を高めている点にも好感が持てる。

コクや旨味を湛えた密度の高い音(生形三郎)

弩級のフラグシップスピーカーKOREの直系シリーズだけに、昨今のDALIの音の方向性が如実に現れたスピーカーに仕上がっている。

すなわち、ボーカル帯域の表情豊かなディテール再現力、耳触り良い上質で滑らかな聴き心地などはそのままに、より鮮明で高い解像力を備えた写実性の獲得、そして、低域方向のタイトで滲みを抑えた表現がこのEPIKOREシリーズで存分に発揮されているのである。

上位モデルにだけ与えられ、なおかつKOREとほぼ同等の内容というハイブリッド・トゥイーター(プレーナー型&ソフトドーム型)が奏でる高音域の再現は、まさにDALIでしか得られない音のコクや旨味を湛えた密度の高いサウンドを聴かせる。とりわけ、磁性流体を排してトランジェントを追求した表現力は、胸のすくような清々しさがある。しかしながらそこにプレーナー型ユニットの美音が加わり、魅惑的なタッチを実現しているのだ。

高級家具を思わせる光沢麗しい木製キャビネットも、DALIならではのオーセンティックなスピーカー像を着実に踏襲している。

前に出る活性的な鳴り方をする(福田雅光)

EPIKORE3は18cmウッドファイバーコーン・ウーファーをベースにした3ウェイ構成のブックシェルフ型である。プレーナー型トゥイーターを含むEVO-Kハイブリッド・トゥイーターを採用しているためか、広がりや音楽の雰囲気を豊かに表現する特徴があり、良好な透明感を背景に優しいトーンを構成する。中間帯域や高域はスピーカーの左右感にも幅を広げ楽しませてくれる。

EPIKORE 7は18cm口径ミッドレンジ/ウーファーを2基搭載する、トールボーイ型フロアタイプの3.5ウェイ構成。このモデルもプレーナー型トゥイーターを超高音再生に使用している。試聴するとヴォーカルのフォーカスは下位よりも優れた性能を見せ、中間帯域の位相特性も揃っている。そして、前に出てくるような活性的な鳴り方を示す。

キャラクターは自然さのある柔らかな傾向が基調になっており、雰囲気を豊かに表現するところに魅力がある。低音、中低音にパワーのある力強さも特色だ。したがって、スケール感のある表現力が魅力になる。

EPIKORE 7の斜め前から写したイメージ図
EPIKORE 7は3.5ウェイの4スピーカー構成。2基搭載された18cm径ウッドファイバーコーン型ユニットは、ミッドレンジとウーファーそれぞれが担当する周波数帯域をずらしたスタガー接続になっている。ミッドレンジが2.5kHz以下を、下側ウーファーは800Hzまでを受け持つ

製品情報・スペック

スピーカーシステム:DALI「EPIKORE 3」

EPIKORE 3の正面写真
「EPIKORE 3」ハイグロス・ウォルナット

SPEC ●型式:3ウェイ・バスレフ型 ●使用ユニット:10×55mmプレーナー型トゥイーター×1、3.5cmソフトドーム・トゥイーター×1、18cmウッドファイバーコーン・ミッドレンジ/ウーファー×1 ●再生周波数特性:42Hz〜34kHz(±3dB) ●感度:85dB(2.83V/m) ●クロスオーバー周波数:2,800/12,500Hz ●インピーダンス:6Ω ●外形寸法:250W×470H×420Dmm(ゴム足、グリルを含む) ●質量:22.0kg(スパイク、グリルを含む) ●価格:1,100,000円(1本/税込)※ペア販売品

スピーカーシステム:DALI「EPIKORE 7」

EPIKORE 7の正面写真
「EPIKORE 7」ハイグロス・マルーン

SPEC ●型式:3.5ウェイ・バスレフ型 ●使用ユニット:10×55mmプレーナー型トゥイーター×1、3.5cmソフトドーム・トゥイーター×1、18cmウッドファイバーコーン・ミッドレンジ/ウーファー×2 ●再生周波数特性:35Hz〜34kHz(±3dB) ●感度:88dB(2.83V/m) ●クロスオーバー周波数:800/2,500/12,500Hz ●インピーダンス:6Ω ●外形寸法:380W×1,120H×420Dmm(スパイク、グリルを含む) ●質量:40.5kg(グリルを含む) ●価格:1,760,000円(1本/税込)※ペア販売品

スピーカーシステム:DALI「EPIKORE 9」

EPIKORE 9の正面写真
「EPIKORE 9」ハイグロス・ブラック

SPEC ●型式:4ウェイ・バスレフ型 ●使用ユニット:10×55mmプレーナー型トゥイーター×1、3.5cmソフトドーム・トゥイーター×1、16.5cmウッドファイバーコーン・ミッドレンジ×1、20cmウッドファイバーコーンウーファー×2 ●再生周波数特性:29Hz〜34kHz(±3dB) ●感度:88dB(2.83V/m) ●クロスオーバー周波数:400/3,100/12,500Hz ●インピーダンス:4Ω ●外形寸法:422W×1,310H×554Dmm(スパイク、グリルを含む) ●質量:64kg(グリルを含む) ●価格:2,750,000円(1本/税込)※ペア販売品

(提供:ディーアンドエムホールディングス)


※本記事は『季刊・オーディオアクセサリー 199号』からの転載です。

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