PR 公開日 2022/11/29 06:35

CDからさらなる高音質を引き出す fidataの新提案! オーディオ的アプローチで生み出されたディスクドライブHFAD10-UBXの可能性

オーディオ銘機賞2023<特別賞>受賞
生形三郎/山之内 正
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CD再生とファイル再生を両立させる新しい試み(山之内)



fidataがネットワークオーディオのリスナー向けにCDドライブを開発した。そう聞いてどこか違和感を持つのは普通の感覚だと思う。あえてファイル再生を選んでいるのにいまさらCD? CDを聴きたいならCDプレーヤーを買えばいいのでは? と疑問符がいくつも浮かぶ。だが、たんにCDが聴けることにとどまらないメリットがあるとすればどうだろう。fidataの提案を吟味すると、なるほどと納得し、疑問符が一つずつ消えていくはずだ。

AD10は既発売のfidataサーバーと全く幅・奥行きはまったくサイズに作られており、重ねての使用も想定されている

その提案の中味とfidataがアピールする長所は次の通りだ。

・CDドライブとオーディオサーバーを組み合わせ、リッピングとリアルタイムCD再生を楽しむ
・ネットワーク上のCDドライブ+オーディオサーバーを共有し、ネットワークプレーヤーでCD再生ができる
・リッピングだけでなくCD再生時にもPureRead4+による高精度な読取りによる高音質再生を実現する
・インターネット経由で曲情報を取得し、アプリで選曲するなど、ファイル再生の使い勝手をCDでも実現する

ひとことで言えば、高性能なリッピング用ドライブとして活用しながらCD再生時にも音質と使い勝手の両方にメリットがあるということ。それを実現するのが、オーディオディスクドライブと銘打って登場したfidataの「HFAD10-UBX」である。

パソコンだとUSB接続の光学ドライブに分類されてしまうところだが、いわゆるPC周辺機器とは設計思想が対極で価格も別格。メカドライブこそパイオニア製のPC用ドライブを使っているものの、筐体や電源回路などすべてをハイファイの基準で追い込み、コストは二の次でじっくり作り込んでいるのだ。

CDトランスポートに近いアプローチで設計。電源やクロックにもオーディオ的ノウハウを投入



まずは筐体の大きさと剛性の高さが目を引く。同社のオーディオサーバーとサイズを揃えた横長のコンポーネント形状で、曲げ加工の鋼板(2.3mm厚)シャーシをベースにフロントにアルミ削り出し材、サイドとトップにアルミに極厚アルミ材を組み合わせた堅固な構造を採用。

CDドライブは、オーディオサーバーで蓄積したノウハウを応用し、フローティングとリジッドそれぞれの長所を活かす独自の手法で固定している。基本的な考え方はドライブの振動対策を徹底しつつ、ケースなどで固めすぎないことだという。フットはアルミ削り出し材を奢っている。ちなみにサーバーのHFAS1と本機を重ねて設置する場合はドライブの上にサーバーを載せるのが基本スタイルだ。

電源部もオーディオグレードの設計にこだわっている。システム制御用とドライブ用に独立した2系統のスイッチング電源を載せ、ディスクリート設計のリニアレギュレーターで降圧するという本格仕様だ。厚膜抵抗やコンデンサーはいずれも高音質部品を吟味し、クロック素子は超低位相雑音タイプを用いるなど、ピュアオーディオ機器の設計手法を貫いている。CDドライブというよりCDトランスポートに近いアプローチだ。

制御用とドライブ用に独立したスイッチング電源を2基搭載、基板のグラウンド処理やクロックも高品位パーツを使用するなど、通常のCDドライブでは考えられない徹底したオーディオ視点で組み上げられている

PureRead4+はパイオニアがオーディオ目線でCDドライブの動作にメスを入れたもので、高音質リッピングにこだわる人にはおなじみの技術だ。読み取りにくいCDを再生したとき、パラメータ変更など複数のアルゴリズムを調整することで、データ補間の発生頻度を抑え、音楽CDの読み取り精度を高めるる効果を発揮する。PureRead4+がパイオニア製品以外に採用されるのは今回のAD10が初めてのケースだという。

オーディオサーバーにつないだ状態で右側の感圧式センサーを軽く押してCDをローディングすると、ネットからアルバム情報を自動的に取得し、アプリ上に曲の一覧が表示される。再生かリッピングを選べるだけでなく、リッピングしながらのCD再生にも対応していて、使い勝手はパソコンのリッピング機能となんら変わらない。というよりPCレスで操作できるfidataアプリの方が使いやすいと感じる人の方が多いのではないか。

3次元の空間情報はリッピング後のデータ再生の方が有利



再生システムの選択肢は主に2つある。AD10とサーバーをUSB-DACにつなぐか、またはOpenHome/DLNAによるネットワークプレーヤーでの再生、どちらでもAD10のCD再生機能を簡単にアドオンすることが可能だ。今回は前者をアキュフェーズのDC-750、後者はエソテリックのN-05XDをそれぞれ組み合わせて、CDのリアルタイム再生とリッピングデータの再生を検証する。

B&Wの「803 D4」をリファレンススピーカーとして音質をチェック! ネットワーク再生はエソテリックのN-05XDを、DAコンバーターとしてはアキュフェーズのDP-750のUSB入力を使用した

AD10+fidata製サーバーをDC-750に接続したUSB再生システムでCDを聴く。CDをいったんロードした後は曲名が表示されたアプリ画面で選曲でき、操作はまさにネットワークプレーヤー感覚だ。ブラスアンサンブルと室内楽を聴いたが、情報量とダイナミックレンジに余裕のある再生音はエントリークラスのCDプレーヤーとは明確に一線を画すもので、アキュフェーズのミドルレンジ一体型プレーヤーと互角またはそれ以上の質感をそなえている。音像定位の精度の高さと立体的な楽器イメージも聴きどころだ。

AD10でリッピングしたデータをUSB再生で聴いても、リアルタイムCD再生とほぼ同水準のクオリティを確認できる。ただし、ヴァイオリンソナタの独奏とピアノの位置関係や余韻の広がりなど、3次元の空間情報はデータ再生の方が緻密さを増し、明らかなアドバンテージがあると感じた。愛用のDACの音調を活かして音を追い込む楽しさはセパレート型のCDトランスポートとDACの組み合わせに通じるものがあり、ハイエンドオーディオの醍醐味である。

“ネットワークプレーヤー”のサウンドを生かしたCD再生も可能



次にネットワーク再生システムにCD再生機能を組み込む方法も試してみた。ネットワークに接続したサーバーとAD10の間をUSBケーブルでつなぐだけなので、配線はこちらの方がよりシンプルになる。

再生機器が異なるのでUSB接続との比較はできないが、ブラスアンサンブルの重心の低いハーモニーや女性ヴォーカルのボディ感など、N-05XDの特徴が伝わる実在感のあるサウンドを引き出すことができた。この接続方法のメリットは普段使っているネットワークプレーヤーの音調を活かしつつスムーズにCD再生をアドオンできることにあり、その長所は使い勝手にもそのまま当てはまる。

たとえば、fidataアプリだけでなくN-05XDのアプリにもCDの曲情報が表示され、サーバー上の音源と同様な操作で選曲もできるのはとても新鮮な感覚だ。既存のCDプレーヤーをシステムに追加しても、もちろんこの使い勝手は手に入らない。普段ネットワーク再生をメインに音楽を聴いているリスナーなら違和感なくこのスタイルになじめると思う。

CDドライブをネットワークオーディオに追加するメリットが最初は理解しづらかったが、実際に試してみると印象は大きく変わる。品質を突き詰めたドライブならではのアドバンテージはリアルタイム再生とリッピングどちらからも伝わるし、日常的に使っているネットワークオーディオの操作環境に違和感なく統合するハイブリッド再生のメリットも理解できる。まだまだ簡単には手放せないCDライブラリをネットワーク再生にシームレスに融合させる提案として注目したい。

(提供:アイ・オー・データ機器)

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