公開日 2010/12/10 17:20

マンガや雑誌はどう見える? “自炊”ファイルの扱いは? − ソニー「Reader」ハンドリングレポート

編集部記者が試す
編集部:小野佳紀
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■マンガ表示では若干の不満点も…

今や海外でも注目されるコンテンツとなったマンガ。日本における“本”のマーケットを語る上で外せない存在といえるだろう。実際に電子書籍の世界においてもマンガを商材として取り扱う販売サイトも既に多く存在しており、マンガを自炊しているというユーザーのブログなども多く見られる。そこで次はマンガのPDFファイルがどのように表示されるかを試した。

使用したのは、電子書籍の作成・販売プラットフォームを提供するサイト「パブー」で取り扱われている「青空ファインダーロック」という作品。kindleでいち早く日本語マンガを出版したことでも話題になった漫画家「うめ」氏の作品だ(参考:公式ブログのエントリー「日本初? kindleで日本語漫画を出してみよう企画」)。うめ氏からも掲載許可を頂けたので、実際の画面写真などもお届けしながらレポートしていこう。

「青空ファインダーロック」(c)うめ(小沢高広・妹尾朝子)

実際に見てみると、当然だが絵の表示自体にはなんの問題もない。スクリーントーンが貼られているようなコマも、縮小されても特に不自然さはない。

ただし、マンガを読む際に問題になりそうなのが、セリフや細かい書き文字だ。デフォルトの状態でも読めないことはないのだが、ズーム機能を利用しないと少々読みづらく感じる人も多いかもしれない。「本気(マジ)」「刺青(タトゥー)」などといった具合にルビがふってあるようなケースは拡大が必須だ。このあたりはズーム機能をうまく活用しながら読み進めたい。

右上のコマ、女性の体の各所に文字が書き入れられている(※写真のレタッチ指示という内容)のだが、こうした部分は拡大しないと読むのは難しい

また、明暗の差が大きい場合のページ切替えで少々気になるケースもあった。テストに使用した機体が最終製品版でなかったせいなのかもしれないが、テレビにおける焼き付けのような感じで、前のページの絵がうっすらと残っているように見える場合がたまにある。もちろん読み進めるのに支障が出るようなレベルでは全然ないのだが、気になってしまう人もいるかもしれない。このあたりはReaderがどうというよりも電子ペーパー自体の問題だと思うので、今後の技術革新に期待したい。

女性キャラの背景にうっすらと焼き付けのようなものが確認できる

左記画像の前ページ。左上の2コマ分のデータがうっすらと残ってしまったようだ

電子書籍でのマンガと言えば、最近話題になっているのが漫画家の赤松健氏による「Jコミ」だろう。こちらでは基本的に高解像度版と軽量版の2種類をPDFとして提供しているが、軽量版ではセリフなどが少々粗くなってしまうように感じた。Readerで同サイトの作品を読むのならば、高解像度版を利用したほうがよいだろう。

画像として保存されたマンガファイルはどうなのだろうか。テストのために一部で話題となったソフト「コミPo!」のベータ版を借り受け、記者が4コママンガを作成したJPEGファイルを表示させてみた。元ファイルの画像サイズは、コミPo!側でのデフォルト設定のまま460×1,334ピクセルで保存したが、こちらはちょうどいい具合に読むことができた。

コミPo!で作成した元マンガ。内容については触れないで頂きたい

1コマ目の背景にあるハテナ模様などもキチンと確認できる

なお、余談だが電子ペーパーでは、パソコンのモニターよりも(設定にもよるが)若干赤みがかったような表示になる。週刊マンガ雑誌などによく使われている紙と同じような印象も受け、パソコンで読むよりも「マンガを読んでいる感」を味わえるかもしれない。

■軽さと薄さは本当に魅力的 − さりげないデザインも好印象

Readerを手にして何よりも感動的だったのは、その薄さと軽さだ。これに何百冊分ものデータを入れて持ち歩けるというのは本当に画期的だと思う。マンガで言えば「こち亀」「ゴルゴ13」「三国志」などをいつでも全巻持ち歩けると考えると、その凄さが実感できる。

また、シンプルにまとめられた純正ブックカバーも相まって、デザインも過度に主張しすぎないのも好印象。例えば電車内で使用していても自然に風景と溶け込むだろう。街角や電車内でカバンから本機を取り出すときに気恥ずかしさを感じない(周囲からの物珍しそうな視線を感じない)というのは、地味だが意外に大きなポイントではないだろうか。

率直に言ってしまうと雑誌やマンガの表示においては少々不満に感じる点がないわけではない。もう少し大きな画面で見られれば、と感じることもあったため、7型画面搭載で通信機能も備えた“Daily Edition”の日本投入にも期待したいところだ。

とは言え、こと書籍に関しては、高い満足感が得られるハード性能を備えているのは間違いない。書籍ファンにとっては、上記のような不満点を補って余りある魅力を備えていると言ってもよいと思う。多くのユーザーに、店頭デモでまずは一度手に取ってみて欲しいと感じたテストだった。

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