松下、新世代のよりパワフルな乾電池「オキシライド乾電池」を発表

左）パナソニックの「オキシライド乾電池」　右）松下電器産業（株）佐藤嘉信氏

●松下電器産業（株）ナショナルマーケティング本部は本日、筒型乾電池としては同社が40年ぶりに市場に送り出す新製品「オキシライド乾電池」を発表した。本製品は現在最も一般的なポータブル電源のひとつであるアルカリ乾電池と比較した際、約1.5倍の性能アップを実現した、よりパワフルで長もちな乾電池となる。同社は2004年4月1日から単三型のオキシライド乾電池を発売し、月産1,500万個のペースで製品を市場に展開していくことを明らかにした。製品の価格は2本入りパック（型番：ZR6Y/2VB）で360円となる。

今回発表されたオキシライド乾電池は、正極材料に新たにオキシ水酸化ニッケルと、新技術により開発された新二酸化マンガン、新黒鉛を採用し、電池内部への注入量を増量。さらに配合をコントロールすることにより、維持電圧を高くし取り出せる電流を多くすることを実現した製品だ。また、圧力の変化を利用した高注液システムにより、電解液を増量する事に成功した。これによりアルカリ電池と比べて約1.5倍、パワフルで長持ちな電池を実現している。「オキシライド」のネーミングは材料の一部に用いられたオキシ水酸化ニッケルを英語表記した際の「Oxy Nickel Hydroxide」の各単語の文字を取得し命名されたものであるという。

本製品では長持ち、パワーアップを実現しただけでなく、アルカリ電池との完全互換性も実現している。電源にアルカリ電池の使用が可能な機器には、本製品を電源として用いることができ、大きさやデザイン面においてもアルカリ電池と変わらないスペックを持っている。また使い終わった製品を廃棄する際には、地方公共団体の指示に沿った、従来のアルカリ電池やマンガン電池と同様の廃棄方法に対応している。製品のパッケージにはとうもろこしを原料とする植物系生分解性プラスチックを採用するなど、環境への配慮も行われている。

同社では単三型のオキシライド乾電池製品について、2本/4本/8本/12本/20本のパッケージごとに、4月1日から日本国内での販売を開始する。その後、2005年4月をめどに単四形電池の発売を予定している。海外各国での販売も順次展開していく予定であるという。

同社は本日、都内の施設においてオキシライド乾電池の記者発表会を盛大に開催した。発表会場ではナショナルマーケティング本部本部長の佐藤嘉信氏が登壇し挨拶を行った。佐藤氏は本製品の登場背景として「家電製品におけるデジタル化が進み、よりパワフルで長持ちする乾電池を求める声がユーザーの間で高まってきた」ことを指摘し、「アルカリ電池においても高い人気を誇るパナソニックブランドがつくった、デジタルライフをより快適にお楽しみいただける“オキシライド乾電池”にご期待いただきたい」と意気込みを語った。

以下に本日の発表会で行われた質疑応答の模様をお伝えしていく。

Q：アルカリ乾電池の販売は引き続き行っていくのか
A：アルカリ乾電池の販売は継続して行っていく。オキシライド乾電池はアルカリ乾電池の上位製品として販売を展開していくつもりだ。製品は互いに互換性があるものなので、お客様の多様なニーズをカバーしながら乾電池製品全体の需要を膨らましていきたい

Q：オキシライド乾電池の商標を取得する予定はあるのか
A：現在手続きを進めている所だ

Q：用途別にアルカリ乾電池との住み分けを提案していくものか
A：そのつもりはない。ポータブル電源を必要とするお客様に色々な用途で各電池製品を使っていただきたい。オキシライド乾電池は新しい用途も作り出していくものと期待している

Q：現在パナソニックブランドが展開しているニッケルマンガン乾電池との違いは
A：ニッケルマンガン乾電池はデジタルカメラ専用のパワフルな電池として訴求してきた。オキシライド乾電池はニッケルマンガン乾電池の性能をさらに洗練させたものであり、今後はデジタルカメラのみならず、全てのポータブル電源を用いる製品において真価を発揮する、長持ち・パワフルな乾電池として提案していきたい。なおニッケルマンガン乾電池の生産はオキシライド乾電池の発売とともに終了する予定だ。

Q：海外ではいつ頃発売する予定か
A：海外での発売はただ今準備中だ。本製品の生産には高い技術力を要するため、発売当初は国内の工場で生産し、輸出のみでの対応になるだろう

Q：現状でパナソニックブランドの乾電池はどのくらいのシェアを獲得しているのか。どこまで伸ばしていきたいと考えているか
A：現在弊社の製品は30%前半のシェアを獲得している。今後オキシライド乾電池を発売して、40%の確保を目指していきたい

Q：新製品の開発・販売への投資規模はどのくらいか。生産拠点はどこになるのか
A：投資額は本製品の開発スタートから合計し、「○億円」の一桁後半くらいと考えていただきたい。生産拠点は大阪の工場になる


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（Phile-web編集部）