OTOTENにても聴き比べデモを予定

インフィニオン、GaN活用のD級アンプ「CoolGaN」発表。スイッチングノイズ低減で低歪みを追求

公開日 2026/06/17 15:39 編集部:筑井真奈
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ドイツの半導体メーカーInfineon(インフィニオン)は、あらたに次世代半導体GaN(窒化ガリウム、ガリウムナイトライド)を使用したクラスDアンプ技術を発表。6月19日よりスタートするOTOTENにも出展するが、それに先駆けてその技術詳細を解説する記者会見が開催された。

「次世代半導体が示すオーディオアンプの新境地」 

パワー半導体としてのGaNは年々注目が高まっており、高効率・小型・低発熱のため、ACアダプターなどへの採用事例が爆発的に広がっている。またスイッチング周波数をより高い周波数に設定できることから、“音質面”でも有利なのではないかと、オーディオファンの間でも一部話題を集めている。

 InfineonがGaNを活用したクラスDアンプ「CoolGaN」を発表

記者会見では、GaNを活用したInfineonのクラスDアンプ「CoolGaN」を紹介するとともに、「CoolGaN」による音質評価ボードを公開。既存のシリコンを活用したボードとの比較試聴も行われた。

「GaN」技術のメリットとして、インフィニオンテクノロジーズアメリカ クラスDアンプシステムズ担当 シニアプリンシパルエンジニアの本田 潤氏は、「高速スイッチングによるフラット特性」「クリーンなスイッチング」「低オン抵抗による熱の抑制」の3点があると解説。その結果、音質面でも広帯域において低歪みを実現できると考えているという。

本田 潤氏

パワー半導体の理想としては、電力損失ゼロ、歪が発生しないことが望ましいが、現実にはスイッチング時の遅れによってノイズが発生してしまう、あるいはオン抵抗が大きく電圧が落ちてしまうと言った課題があり、理想的な波形の再現が難しかった。しかし本田氏は「GaNを使うことで、より理想に近い波形を実現できます」と訴える。

MOS-FETでは、切り替わる際に、ボディダイオードの「逆回復電荷」が発生、この電流が大きなスイッチングノイズになるという課題が指摘されていた。GaNではそもそもこのボディダイオードが存在しないため、よりクリーンなスイッチングが実現できるという。

クリーンなスイッチングを実現できる

また通常のMOS-FETでは、スイッチング周波数は400kHzに設定されているが、GaNでは1MHzとさらに高い周波数に設定。いずれも可聴帯域外ではあるが、GaNではローパスフィルターのカットオフ周波数を100kHzまで伸ばすことができるため、よりフラットな特性を獲得できるという面もある。

スイッチング周波数が1MHzとMOS-FETより高いことも特徴

またオン抵抗が低いため、発熱が少なく、ヒートシンクなしでもチャンネルあたり600Wという大出力を実現できる。本田氏も実験を重ねる中で、「600W2chで試験を行っても、1分後の温度が82度までしかいかない」という結果にも驚いたという(通常では150度程度まで上がってしまうそうだ)。

低発熱のためヒートシンクも不要

記者会見では、DALIの「Menuet SE」という2ウェイブックシェルフスピーカーを使用して、通常のシリコン半導体を使用したD級アンプと、GaNを使用したD級アンプの比較試聴も行われた。

 DALIの「Menuet SE」を使用して比較試聴を実施

シリコンタイプでは特に打楽器の立ち上がり感や切れ味の良さに魅力を感じるが、いわゆる“デジタル臭い”とも言われうる冷たさやそっけなさも感じられた。一方の「GaN」については、グラフ上では立ち上がりの良さが示されていたが、より芳醇さ、また奥行き感を表出する印象。

CoolGaNのクラスDアンプを搭載した評価ボード。100Vまでと200Vまで対応の2種類を用意

シリコンモデルとGaNを切り替えて比較試聴を実施

製品開発にあたっては特に官能評価(聴感上での音質評価)は行っていないと言うが、クラスDアンプ設計に20年以上関わってきた本田氏の実感として、「電気的性能を高めることが、音質的にも良い結果をもたらす」という思いがあると考えているという。

CoolGaNの今後の展開としては、車載向けオーディオ、プロ向けオーディオ、HiFiオーディオへの展開に期待を寄せる。特に車載向けではインフォテイメントシステムとの統合や、空間オーディオも広がってきており、高効率で省スペースなアンプの需要は年々高まっている。

またあわせて「SiC」(シリコンカーバイド)を使用したクラスDアンプについても紹介。こちらはよりタフな状況、プロオーディオ向けを狙って展開を考えているという。

「SiC」(シリコンカーバイド)搭載の評価ボードも作成

OTOTENで同社は東京国際フォーラムD棟「D503」に出展。オーディオ評論家・柴崎功氏と本田氏による「GaNデバイスの魅力解説」といったトークショウのほか、「GaNと金田式DCアンプの比較」「300B真空管アンプのと比較」といった、オーディオファン的にも気になる聴き比べなども予定されている。

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