DYNAUDIOなど話題の新製品もチェック!

ハイレゾ・エキスパートの熱戦もAV Kansaiが制す。カーオーディオコンテストの頂点「第10回ハイコン」徹底レポート【後編】

公開日 2025/11/05 06:35 編集部:筑井真奈
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ハイレゾ・エキスパートクラスの注目車両をチェック!

9月6日(土)、7日(日)の2日間に渡って開催された「第10回ハイエンドカーオーディオコンテスト」。初日のディーラーデモカークラス、チャレンジクラスのレポートに続いて、2日目のハイレゾ・エキスパートクラス、そしてカーオーディオメーカーから登場する最新プロダクトについてもレポートしよう。

各地のコンテストで常連参加の竹松正彦さん(AV Kansai)はベンツのC43で参戦。メインスピーカーはモレルの “Supremoシリーズ”、RESOLUTのDSPにオーディオウェーブのアンプと、カーオーディオだけで総額1000万超という超ハイエンドシステムである。

竹松正彦さんの愛車・ベンツC43

その音は決して期待を裏切らない。バックミュージシャンの間にスッと立つウィリアムス浩子さんの声の質感の柔らかさや上質さはまさに極上。ウッドベースが膨らみすぎず、リアルな木質感を備えているのも良い。クラシックではダイナミックレンジの豊かさ、情報量の多さには改めて感激。

DAPはAV KansaiがiBasso AudioのDX300MAXをベースに特別に開発した「DAP300APEX Ti」

サウンドウェーブ(茨城県)からエントリーの宮本弘康さん。クルマをプリウスからクラウンエステートに買い換え、オーディオシステムも新たに構築した。ZR Speakerのスピーカー(4ウェイ)はプリウスから継続して搭載するが、新たにオーディオソリューションの真空管プリアンプ「Studio V6 MKII」を追加。真空管なのでどうしても熱を持ってしまうが、設置のやり方を工夫して車載でもしっかり活用できるように組み込まれている。

車をクラウンに変え、カーオーディオシステムもさらにグレードアップ

「女性ボーカルにさらなるまろやかさが出たように感じます」と宮本さん。確かに浩子さんの艶やかさやサウンドステージの広がり、前に飛び出してくる熱量感には格別の魅力がある。車幅も広くなったそうで、「さらに広いステージ感も狙っていきます!」と意気込みを語ってくれた。

オーディオソリューションの真空管プリアンプ「Studio V6 MKII」

車内の音質チューニングに大変に注力してるのは三好龍彦さん(青森県・イングラフ)。運転席に乗り込んだ瞬間、中央に置かれたアコースティック・リヴァイブの “蓮根” に、ダッシュボード上に置かれたトゲトゲのマットに驚く。

ダッシュボード上のトゲトゲマットに、アコリバの“蓮根”も投入!

定在波が発生しがちな場所に各種対策をするのはホームオーディオではよくある手法だが、ここまで車内空間を “作り込んでいる” クルマも珍しい。クラシックの課題曲「運命」の疾走感は恐ろしいほどで、独特の低域表現も相まって印象的なサウンドを聴かせてくれる。

シルバーのプリウスで参加する谷口大雅さん、鳥取県のジパングから参加する。アウネのネットワークプレーヤー「GTS-1」に、RESOLUTのDSP、クアトロリゴのアンプと、いま旬の製品をしっかり抑えた巧い組み合わせ。「ボーカルの表情を明瞭に届けたい」というコンセプトの通り、肩肘張らない自然な表現が胸に迫る。

谷口大雅さんとシルバーのプリウス

メインスピーカーはBLAMの10周年モデル「Signature Multix Barrel」。「運命」ではそれぞれの楽器の描き分けや質感が見事。カーオーディオは各社の製品をどう組み合わせて音を仕上げるか、ということも重要で、それぞれの魅力をしっかり引き出す組み合わせの妙をたっぷり味わわせてくれた。

BLAMの10周年モデル「Signature Multix Barrel」を装備。左右ピラーにトゥイーターとミッドレンジ

ディナウディオの輸入も再開!新製品もチェック

日本への輸入が2024年より途絶えていたDYNAUDIO(ディナウディオ)は、カーオーディオユニットについてのみ、佐藤商事によって国内展開が再始動。“Esotanシリーズ” など、複数のラインナップの導入準備が進んでいるという。「Esotan 202」はトゥイーター+ウーファーによる2ウェイユニットで、6万円程度とお求めやすい価格も魅力。

ディナウディオの「Esotan 202」(写真はOACサウンドコンテスト時のもの)

ディナウディオのカーオーディオユニットは日本でもファンが多く、中低域に厚みのある独特のサウンドは“ディナウディオでなければ!” という強いファンを獲得している。佐藤商事のスタッフも、「今後よりハイクラスのスピーカーも国内展開していきます」と力強い。

また、同社は昨年より韓国のABYSSというカーオーディオブランドの展開もスタートしている。ABYSSはアンプとスピーカーの双方の開発を手がけているが、特にA級アンプの純度の高いサウンドに大きなこだわりを持つ。社長のキムさんも会場にきており、日本のカーオーディオコンテストの熱気に大きな刺激を受けた様子。

ABYSSの本国スタッフも来日。日本のカーオーディオ市場の熱気にとても驚いたそう

キムさん自身もオーディオマニアで、「デジタルアンプでは得られない、A級アンプのアナログ的な音が気に入っています」と製品開発のこだわりをアピール。韓国にもカーオーディオコンテストはあるそうだが、「日本に比べるともっと小さいので、ハイコンに参加してとてもびっくりしました!」と衝撃を受けた様子。

ABYSSのアンプが装着された車もいくつか試聴したそうだが、ラヴィッド(岩手)の佐々木裕太さんの車の音がとても印象的でした!と語ってくれた。

トライムは光城精工の電源フィルター&仮想アースの新製品「Nve-06」を展示。“スティック型” 仮想カースはカーオーディオ市場でも大人気だそうで、DAPに挿しているクルマを何台も見かけた。オーディソンのスピーカー「Voce」も新製品となる。またBLAMの10周年モデルも引き続き好評を博しているそうだ。

KOJO TECHNOLOGYの「Nve-06」(中央)のほか、カーオーディオ向けのアクセサリーも展示

オーディソンの車載用アンプ「Forza」とスピーカー「Voce」

イースコーポレーションからは、日本ブランドのADONNからDSP内蔵アンプが3機種登場。5万円から20万円台と、ファーストチョイス、あるいはステップアップにちょうどいい価格帯のプロダクト。近年のカーオーディオ製品は海外ブランドが活況を呈していたので、日本ブランドからの新提案は嬉しい。カーオーディオ市場の裾野を広げる製品となってくれるだろう。

ADONNのDSP内蔵アンプ3機種。5万円からスタートできる

またグラウンドゼロからは30周年記念モデルのスピーカーやウーファーが登場するほか、プレーヤーとして注目株のアウネからはDSPの発売も予定されているそうで、精力的な新製品開発に力を入れているようだ。

グランドゼロの30周年記念モデルも人気

「上位入賞の車は抜きん出たクオリティを実現」

朝早くからスタートした審査も夕方にはすべて終了、ホールにて結果発表と表彰式が行われた。前日の「ディーラーデモカークラス」に続き、AV Kansaiは圧倒的な強さを見せつける。ユーザーカー部門「ハイレゾ・エキスパート」は、価格帯別にA/B/Cと分かれているが、最上位のAクラスにおいて上位5位までを独占、10位入賞までに6台を送り込むという驚異の結果を打ち立てた。

「ハイレゾ・エキスパート  Aクラス」の表彰式

Aクラスの審査を担当した小原由夫氏は講評において、上位入賞の車は抜きん出たクオリティを実現したことを賞賛しながら、次なる課題として「ベースの量感」の重要性を強調。

またウィリアムス浩子さんのボーカル曲について、「声とベースばかりに執着し、ピアノやブラシが疎かになっていた車もあった」と厳しく指摘。「運命」についても「オーケストラのステージをイメージした、奥行き感を意識した車が上位に入賞した」と審査における重点項目を解説、次なるコンテストへの奮起を促した。

AV Kansaiはまさに常勝という強さを見せつけているが、ハイレゾ・エキスパートBクラスでは、マリノサウンド(福井県)やサウンドエスパス(福島県)といった気鋭のショップも猛追を見せる。Cクラスの2位に入賞車を送り込んだウィステリア(静岡県)は、今年立ち上がったばかりの新しいカーオーディオショップだが、非常に情熱あふれる音作りを聴かせてくれる。

「ハイレゾ・エキスパートBクラス」の表彰式

「ハイレゾ・エキスパートCクラス」の表彰式

閉会にあたり、モレルとアーク・オーディオを取り扱うジャンライン&パートナーズの柴野氏は、カーオーディオ市場の将来を見据え、「一人でも多くのユーザーを作っていくしかない」と力を込める。カーオーディオショップ、メーカー、輸入商社の力を合わせ、「カーオーディオ市場の未来をさらに発展していけるようお願いしたい!」と力強く表明した。

 

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