ユニットからキャビネットまですべて「メイド・イン・デンマーク」

DALI、“すべてが新開発”の5ドライバー旗艦スピーカー「KORE」。ペア1650万円

公開日 2022/10/04 11:00 ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
ディーアンドエムホールディングスは、同社の取り扱うデンマークDALIブランドのフラグシップスピーカー「KORE」の国内展開を発表した。価格は1,650万円(ペア・税込)で、10月26日より受注を開始する。なお完全受注生産となる。

DALI「KORE」

今年5月に開催された「ミュンヘン・ハイエンド」にて初披露されたモデルの国内発売が正式に発表されたかたち。「これまでのDALI製品の頂点に立ちながらも、これまでのDALIの方向性の延長にあるモデル」と位置づけられており、40年近くにおよぶDALIの全てを結集した製品となっているという。

約40年の技術を結集したフラグシップモデル

インポートアドバイザーとしてDALIの国内展開に関わる澤田龍一氏は、KOREの開発スタッフの言葉を引用し「設計や予算の制約をなくし、やりたいことをすべて投入してDALIの求めるものを実現したスピーカー」だと紹介。

KOREの技術の核心を解説する澤田氏

DALIは比較的手頃な価格帯のスピーカーを多くラインアップしているが、過去にはアレイスピーカーのMegaLineや、EUPHONIAシリーズなど、エポックメイキングなスピーカーをいくつか発売してきた。2011年にプロトタイプまで完成されたスピーカー「EMINENT ME9」は、当時の金融不安のあおりを受け開発が中止されてしまったモデルだが、このときにアプローチした考え方やテクノロジーが、今回のKOREにつながっているという。

開発途上でお蔵入りとなってしまった「EMINENT ME9」が今回のKOREにつながっている

ユニットはすべてKOREのために新規設計されたものとなる。上下にウーファー、中央にリボントゥイーター、ソフトドームトゥイーター、ミッドレンジという5ドライバー構成。DALI独自のSoft Magnetic Compound(SMC)は最新世代SMC Gen2となり、特許技術であるダブルボイスコイルによるバランスドSMCドライバーとして、ウーファーとミッドレンジに採用されている。

第2世代目となったDALI独自のSMCドライバー

ウーファーに搭載されるダブルボイスコイル

ウーファーは、11.5インチのユニット2基を約85cmの間隔で配置。この間隔を利用して、ディファレンシャル・フィルターによって垂直方向の拡散を制御し、リスニングポジションへの最適な音反射を実現するという。ダイヤフラムは高剛性かつ軽量を実現するために、ウッドファイバーで強化されたハニカムサンドイッチ・ペーパーパルプを採用。ドライバーは軽量の天然ゴム製のロールエッジでサポートされる。

新規開発のウーファーユニット

7インチのミッドレンジはDALI初の専用設計で、ウーファーと同様ウッドファイバーコーン、バランスドSMCドライバーを採用。「重要な中音域に自然な温かみと音楽の一貫性をもたらす」と説明する。

ミッドレンジのウッドファイバーコーン

トゥイーターは35mmソフトドームと10×55mmリボンによる「EVO-Kハイブリッド・トゥイーター」。「EPICON」シリーズにも搭載されるハイブリッドモジュールをさらに進化させ、クロスオーバー周波数でのシームレスな統合や低歪み、コンプレッションの低減などに貢献しているという。

ソフトドームトゥイーター

クロスオーバーネットワークもKORE専用設計で、複合台座内と、ミッドレンジとトゥイーターのハウジング内に搭載。クロスオーバーを分離することでクロストークの可能性を最小限に抑え、バイワイヤリングやバイアンプを容易にしているという。クロスオーバー周波数は390/2,100/12,000Hz。

キャビネットは、曲木を得意とする家具メーカー、フデバールファニチャー社が作成。リア側はU字型にカーブしたバーチ積層材に、フロントパネルは厚さ30mmのフラットな積層板を組み合わせ。筐体内部は補強と内部容積の分割のために複数のバーチ積層材を設置し、内部平行面をなくす構造となっている。またミッド&トゥイーターのバッフルはアルミダイキャスト、ウーファーはコンポジット樹脂キャストで構成される。

KOREの断面図。キャビネットはU字型に曲げられたリア側の積層合板と、フラットなフロントパネルで構成。平行面をなくし容量を調整できるよう内部に積層バーチの棚板が組み込まれている

仕上げはアマーラ・エボニーの突板で、グロスラッカー塗装が施される。台座は34kgで、160kgの総重量を支えるのに十分な強度と剛性を備えている。

スピーカー端子も新設計で、削り出しの金メッキ仕様、バナナとYラグに対応する。またバインディングポストやスパイク付きフットなども新規設計されている。ユニットやキャビネットを含め、すべて「メイド・イン・デンマーク」となっている。

大型のターミナルも削り出しで新規設計されている

ディーアンドエムホールディングスの試聴室でその音を聴かせてもらったが、低域の安定感や高域の伸びやかさ、中域の密度感など、全体域が心地よくまったく自然で素直なサウンドが流れ出してくる。それでいて、パイプオルガンの超低域やピアノの細やかな粒立ちでアーティストの表現をえぐり出すさまはさすがとしか言いようのない安定感で、DALIがフラグシップにかけた情熱とこだわりが伝わってくる。

DALIの「KORE」を試聴

KOREは今年10月28日より開催される東京インターナショナルオーディオショウのほか、全国のオーディオショウなどでもお披露目される予定だという。

サイズは1,675H×448W×593Dmm、質量は160kg。公称インピーダンスは4Ω。推奨アンプ出力は100W〜1500W。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク