試聴はヘッドホンを推奨

“空気録音”の実験レポートが「JASジャーナル」に掲載。マイク位置による収録音の聴き比べ音源も

公開日 2021/08/06 18:51 ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
日本オーディオ協会が発行するオンラインメディア「JASジャーナル Vol.61」において、近年話題を集める“空気録音”についての実験レポートが掲載された。また、“空気録音”のマイク位置による音の違いや、マイクの指向性による収録音の違いも聴き比べができるようになっている。

「JASジャーナル vol.61」(2021Summer)

レポートは元ソニーの技術者で、SACDなど高音質のオーディオ技術開発に長く携わってきた西尾文孝氏の執筆によるもの。オーディオ評論家の市川二朗氏のリスニングルームにて、いわゆる“空気録音”で「空間再現性と音のフォーカス感が得られるように」収録するためにはどのようなセッティングが望ましいかを研究したものとなっている。

“空気録音”における望ましいマイクセッティングを研究

スピーカーにはB&Wの「702S2 Signature」を活用し、マイクはソニーの「ECM-100N(無指向性)」「ECM-100U(単一指向性)」「C-100(広帯域・指向性切り替え)」の3機種をペアで用意。マイクの高さは105cmに固定して、スピーカーからの距離やマイク間の距離を複数で収録し、どの位置がもっともオーディオ機器の特性を実現できるかを試したものとなっている。

複数のマイク位置でスピーカーからの再生音を収録

収録音の違い、また具体的なセッティング術についてはぜひレポート本文を参照してほしいが、マイク位置や種類によって大きく異なることが確認できる。

なお、実験の結果わかったこととして、“空気録音”の再生にはヘッドホンが推奨され、スピーカーによる試聴では空気録音そのものを正しく評価することが難しいとしている。

“空気録音”は、多くの人がひとつところに集まってのイベントが難しい昨今の情勢の中で、新しいオーディオ製品のプロモーションの場として注目を集めている。しかし、マイクセッティングや試聴室環境によって収録音が大きく影響されるという課題が指摘されてきた。今回の研究レポートはあくまで市川氏のリスニングルームでの一事例にはなるが、良質な“空気録音”音源のための重要な資料となっている。

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク