オンデマンド/インターネットラジオ/生放送の3形態

IIJ、DSD 5.6MHzの音楽ライブストリーミングサービス「PrimeSeat」開始

公開日 2015/12/21 13:52 編集部:小野佳希
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(株)インターネットイニシアティブ(IIJ)は、DSD 5.6MHzをはじめとするハイレゾ音源のライブ・ストリーミングサービス「PrimeSeat(プライムシート)」を、12月23日より開始する。

公式サイトより

IIJ、(株)コルグ、(有)サイデラ・パラディソ、ソニー(株)の4社が2015年に何回か行っていた、DSD 5.6MHz音声による演奏会のライブストリーミング配信実験が商用サービスとして正式にサービスインする格好。DSDによるライブストリーミングサービスの提供は、商用サービスとしては世界初のこととなる。

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楽曲の再生には、KORGが開発・提供するPC(WindowsおよびMac)用ソフトウェア「PrimeSeat」を使用。音源のフォーマットにより、対応DACなどが必要になる場合もある。

ソフトのUIイメージ

ソフトの動作要件。資料には掲載されていないがWindows10にも対応している

コンテンツはオンデマンド、インターネットラジオ、ライブストリーミング(生放送)と3種類を用意。H2Aロケットの打ち上げ音からオーケストラ演奏会まで、「きめ細やかなハイレゾ音源の違いを体感いただけるさまざまなコンテンツをオンデマンド、インターネットラジオで配信する」という。また、生放送や、クラシック専門インターネットラジオ局OTTAVA(オッターヴァ)社との共同制作による小編成のサロン・コンサート(1月予定)の配信も予定している。

オンデマンド、ラジオ型、生放送の3形態でのストリーミング配信を行う

すでに公式サイトはオープンしており、12月21日現在で掲載しているコンテンツはすべて無料で視聴可能。今後コンテンツの拡充にともない、一部有料コンテンツも提供していく。本プロジェクトの責任者であるIIJ 冨米野孝徳(ふめのたかのり)氏は「有料コンテンツ販売のための課金システムは現在開発中で、PayPalのような形を予定している」と説明した。

IIJ サービスオペレーション本部サービス企画推進室長 冨米野孝徳氏

配信するコンテンツは、クラシックやジャズ、コンサートの期間限定オンデマンド、日本の古典楽器演奏など音楽に限らず、俳優やミュージシャンによる文学の朗読、自然音、鉄道の音なども用意する予定。公式サイトには各コンテンツの紹介のほか、ラジオサービスでの番組表も公開されている。

ラジオ型サービスの番組表

なお、音源は基本的にほぼすべてDSD 5.6MHz。ただし、ライブストリーミング(生放送)はDSDのみの対応だが、オンデマンドでのストリーミングはWAVやFLAC等のPCMでもシステム上は配信を行えるようになっている。

また、ソフトウェアとしての「PrimeSeat」にはDSD→PCM変換やDSD128(5.6MHz)→DSD64(2.8MHz)変換機能も装備。WASAPIまたはASIOに対応したオーディオデバイスと接続して使用でき、DSDネイティブ再生にはASIO DSDモードに対応したオーディオ機器が必要となる。

スマートフォン等モバイルへの対応については、「将来的な課題として検討している」と冨米野氏は説明。「ただしネットワーク回線の太さや、DSDだとデータ量が大きく、いわゆる“パケ死”と言われるような問題も出てくる。DSDライブストリーミングと謳っているがPCMを否定するものでは全然ないので、例えばモバイル回線からの利用はデータ容量を圧縮できるFLACで配信するなどといったことも考えられるかもしれない」とした。

また、「いい画、いい音を何かしらで実現したい」と、音楽だけでなく映像の配信にも意欲を見せる。「ただ、音と映像をキチンと合わせるのは技術的にも課題が多い。まずはやれる部分からしっかりやっていく」とした。

IIJでは、「サービス開始を機に音楽配信事業に参入し、良質な音にこだわる個人のお客様とコンテンツ事業者のお客様、双方に向けた新たなビジネスを展開していく」と説明。「自社レーベルの楽曲やコンサートをハイレゾ音源で配信したい事業者のお客様は、本サービスのプラットフォームを活用することで、自社で設備を運用することなくコンテンツを配信できる」と、コンテンツホルダーに向けてもサービスの魅力をアピールしている。

外部事業者に向けてプラットフォーム提供も行う

こうした、外部企業へのシステム提供については、「PrimeSeat」ソフトがHTML5ベースで開発されているためカスタマイズが容易であることなども説明。「ハイレゾストリーミングサービスのバックエンドを我々が担当するイメージ」とし、「課金システムを独自で持っているサービス様であれば、その課金システムをそのまま利用することもできる」など、プラットフォームビジネスとしても展開していくと説明した。

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