日本とは少し異なるブース展開

【独HIGH END】iFIオーディオ、欧州でのアピールポイントは“コンパクト&ハイエンド・サウンド”

公開日 2015/05/19 10:09 季刊NetAudio編集部・浅田陽介
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5月14日から17日まで独ミュンヘンにて開催された、欧州最大のオーディオショウ、Munich HIGH END 2015。日本で爆発的な人気を博しているイギリスiFIオーディオは、ここ欧州でも“カッティング・エッジなブランド”として徐々に注目度を高めている。

しかし、日本の市場と少々異なる点がある。それはポータブル用途としてではなく、据え置きのオーディオ機器として注目を集めていることだ。

iFIオーディオのブースを紹介してくれたOwen Delehedy氏。その話を聞いていると、日本とは少し違う欧州の事情が見えてきた

このことは実際に展示されている機器を見てみてもよく分かる。micro iDSDにはiUSB Powerを経由してPCを接続するというデスクトップシステムとしての訴求がなされているほか、iTubeやiDAC2などの据え置き型の機器を中心に展開している。

日本でとりわけ人気の高いmicro iDSDの訴求も、今回のショウでは据え置きDACとしての用途がメイン。このほかも、iUSB Powerをはじめとした据え置きラインアップとなるmicroシリーズを展示していた

日本で人気の高いnano iDSDやiOS、ウォークマンを用いてのデモンストレーションではなく、そのかわりにオールインワンシステムであるRetroや新製品の電源アダプターiPowerが展示され、来場者の関心を集めているのだ。

欧州では少しずつポータブル市場が盛り上がりを見せている一方、やはりホームオーディオとしての性能が高く求められているようだ。そんな厳しい欧州のオーディオファンの目を持ってしても、iFIオーディオの製品は高いクオリティを持つハイCPモデルとして認知を広げているようだ。

Retroについては、そのクラシカルな外観が女性来場者の関心を惹きつけ、DSD512への対応や多彩なイコライザーカーブに対応したフォノ入力といった、スペックの高さとサウンドで男性来場者の評価を得ているという。

女性と男性の異なる感性へ見事に訴えかけることに成功したオールインワンシステムRetro。新旧一体のコンセプトが見事に結実していることも注目すべきポイントだ

一方、最新モデルとして展示されたiPowerは、スイッチング電源でありながらノイズフロアを3μVという驚異的な数値としているなど、実にiFIオーディオらしい技術力が大きな話題を呼んでいる。デスクトップオーディオでも電源が音質を大きく左右することを示す好例としても注目されているのだ。

デスクトップオーディオであっても、電源環境で音が大きく変化することを示す好例ともいえるiPowerも高い関心を集めていた

これまでのHIGH ENDを振り返ってみると、会場内各ブースに展示される製品はその名のとおり、多くがハイエンド機器を占めていた。確かに、多くのハイエンド・ブランドが軒を連ねるATRIUMでは、フルサイズのコンポーネントを中心とした展示を行うブランドが多くを占めている。

しかし、今年はその展示内容が少々変化している。SACDやCDといったデジタルディスクによるデモンストレーションを行ってきたブランドも、ネットワークオーディオやUSBオーディオなどディスクレス再生を行うことが多くなってきたのだ。ディスクに縛られることがないということは、サイズなどの制約がなくなり、オーディオ機器の基本的な設計を根本的に覆すことを意味する。

また、いずれのブランドも口を揃えたように話題としていたのが、ハイサンプリング/ハイビットレートへの対応だった。なかにはDSD512までをも視野に入れたブランドもあるなど、その再生ソースにまつわるトレンドは、今年も大きく移り変わりつつあることを実感させた。

iFIオーディオが、こうした“コンパクト&ハイエンド・サウンド”というスタイルの起爆剤となったブランドであることに疑いの余地はない。自由な設計と極めて高いスペック。ライフスタイルと音質を見事に両立させたブランドとしてiFIオーディオは、今後も世界のオーディオ市場へ大きな影響を与えることになりそうだ。

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